コラム・観戦記

第7期アマ最高位戦決勝観戦記

アマチュアだけのタイトル戦として誕生した
「アマ最高位戦」は今回で第7期を迎えた。
毎回、プロに負けず劣らずの猛者が各地から集い、熱闘を繰りひろげている。
この大会の参加した事をきっかけに、後にプロを志す者も多い。
事実、筆者もそうであった。

今回も各予選を勝ち抜いた19名と前回優勝者の西村健志を加えた総勢20名が、2009年12月13日(日)決勝大会の会場となる横浜「シルバー」に集結した。

各自4半荘を打ち、ベスト8を選出。
トータルポイントを持ち越したまま5回戦目を打ち、決勝進出となる4名が出揃う。

強豪揃いとなった今大会、プロ顔負けの激戦の結果、決勝進出となった4名を起家から順番に紹介していこう。

木村誠
足切りを逃れる為には連対条件の4回戦目、会心の大三元をツモ和了り大トップで勢いに乗り決勝進出。
社会人リーグという競技麻雀の練習セット会で、毎週若手プロと共に腕を磨いている。

穴澤晃一
5回戦目、決勝に残る為の最低条件であるトップをもぎ取り滑り込みで決勝進出。
11月の王座戦の決勝にも進出し、準優勝した実力派。

加藤浩義
初戦からいきなりの3連勝で一時は独走状態。
その貯金をしっかり守り切りトータル1位で決勝に進出した。

有田幸司
終始安定した戦いぶりで、危なげ無く決勝進出。
積極的に競技麻雀の大会に参加しているようで、経験値はかなり高いのではないだろうか?

決勝開始前ポイント

木村 123.9
穴澤 64.9
加藤 138.8
有田 120.6

当大会はポイントを全て持ち越しで勝敗を決める。
最高位戦ルールは30000点持ちの30000点返し。
順位点がいわゆるワンスリーとなっている為、優勝する為には穴澤以外の3者は着順勝負。
穴澤に限り、超大トップが最低条件という厳しいものになった。

東1局 ドラ カンドラ
静かな立ち上がりを予想したが、7巡目に加藤がイーシャンテンでアンカンし、一気に煮詰まり始める。

 

アンカン

東初からいきなりの勝負手で意気込む加藤だが、テンパイ一番乗りは超大トップ条件の穴澤で、12巡目にリーチ。

 

マンズは悪くない。
打点こそ安いが、裏ドラが2枚ある為、大化けする可能性もある。
穴澤としても是が非でも和了っておきたいところだろう。

しかし、和了ったのは有田。
14巡目に加藤がツモ切ったをしっかりチーテンとし、すぐに穴澤から討ち取り3900。

 

 チー ロン

こういう舞台で最初に和了れるのは精神的に良い影響を与える為、点数以上のアドバンテージを得たのではないだろうか?
有田、優勝に向け一歩前進。

東2局 ドラ 裏

またしても有田が和了る。
わずか3巡目にして両面リーチで数巡後にツモ和了り。

 

 ツモ

東3局は木村の1人テンパイで流局し、向かえた東4局1本場 ドラ

南家の木村がオール手出しで6巡目にテンパイ

 

五ツモやイーペイコウの振り変わりがある為、当然の闇テンに構える。
そして次巡に木村の手が止まる。
ツモって来た牌は

東家 
南家 
西家 
北家 

全員の捨て牌は以上の通りで、じっと手牌と河を見渡す木村。
少考後、二に手をかけテンパイを外す。

手順としては自然だが、ソウズのから上が全て3枚見えとあっては、せっかくの連続形が機能低下を起こしてるので、この状況でテンパイを外すのにはかなり勇気がいるだろう。
すぐに加藤からが打たれ、緩手になったかと思われたがをツモり、14巡目には4枚目のが鳴け、牌山に4枚生きの絶好の待ちテンパイを果たす。

 

 チー
しかし、さすがは決勝に残った4名というべきだろうか?
一気に手牌がぶつかり、全員テンパイとなる。

まずは加藤が、フリテンながら中が暗刻ののテンパイを木村よりも数巡前に果している。

そしてこの2人に追いついたのは西家の穴澤。

ドラ

 ツモ

16巡目ながら、木村の和了り牌であるを重ねて生牌の東を叩きつけ単騎でリーチ。

どちらも生牌だが、東は残り1枚、は残り2枚。
木村がソウズの一色手の為、危険は百も承知だが東よりはの方がマシだと判断したのだろう。

この巡目に字牌が生牌という事は、当然他家が固めてるケースが多い。
今回も同様で、穴澤の宣言牌である東を親の有田がポンをし、こちらも生牌の中を勝負し、これで全員テンパイ

 

 ポン

一歩も引かない捲り合いになるかとも思ったが、決着は一瞬であった。

すぐに木村が、自力で1を引き寄せ、大きな大きな2000・4000のツモあがりとなった。

余談ではあるが、後日にこの局の牌譜を見た最高位戦Aリーガー佐藤崇は、木村の重厚な選択に対して大絶賛していた。

その重厚な選択が功を奏した木村が、頭一つ抜けだし東場が終了した。

東場を終え、各自の点棒状況は以下の通り。

木村 41800
穴澤 20000
加藤 26400
有田 31800

南1局、トップ目木村の親番。
木村としては、ここで少しでも他家を引き離しておきたいところ。
そして、他三者にとって木村の連荘は、自身の敗北へと繋がっていく。

その木村、6巡目にこの局最初の分岐点。

ドラ

 ツモ

東は生牌でそれ以外はこれといった情報もない。
ややソウズが高いくらいか?

ピンズか東からの選択になるだろうが、一手進んだ場合の厚い形や、トップ目なので先手をとられた場合の受けの利き易さも加味すると打がバランスのとれた1打な感もあるが…

少孝後、木村はに手をかける。

なるほど、形を決めずに攻撃に関しては柔軟に対応できる上、最も高打点が期待できる1打である。

他家がテンパイを組めずに四苦八苦してる中、木村が12巡目に先制リーチ。

ドラ 裏

親のリーチに戦える手牌の者はおらず、全員がオリへと向かう。

「頼む、頼むから流局してくれ!!」

三者の表情を見てると今にもこんな心の声が聞こえてきそうな感じであるが、すぐに木村がダメ押しのツモ和了り。

裏が1枚乗り、優勝を決定付けたと言っても過言ではない渾身の6000オール!!

次局は、加藤が2フーロし、必死に木村の親番を落とす事に成功する。
まだ親番を残してる為、加藤からは諦めた様子は微塵も感じられない。

南2局は、有田が七対子の難しい待ち選択を外さずに1発ツモも、裏は乗らずに2000・4000の和了りとなる。

これで親番が無くなった穴澤の優勝は事実上消滅した。

南3局 ドラ

有田がかなり速そうな配牌。
1巡目から以下の形

 ツモ

ここからドラのを切ってしまう。
どうせほぼ使えないだろうし、他家に重ねられる前に、という先切り的な意味合いも含まれてるのだろうが、最終戦のトップ条件という現在の状況においては少々損な感じがする。
何よりトップ目の木村を楽にさせてしまってる気がしてならない。
赤の無いこのルール、ドラを使えてない以上闇テンはさほど怖くないからである。

有田は7巡目リーチとなり、現物の無くなった木村から2000点の和了りとなるのだが、楽になったのは和了った有田よりもむしろ放銃した木村ではないだろうか?

ちなみに今大会の有田が、筆者の目からミスと思える選択はこれが初めてだったかもしれない。

これで加藤も事実上の敗戦。

オーラス
東家 有田 34500
南家 木村 55800
西家 穴澤 10000
北家 加藤 19700

各自の優勝条件を整理すると…
有田はとにかく木村を捲りトップで終了する事。
木村は和了れば優勝。
穴澤は、現状での優勝条件は無し。
加藤は、木村から3倍満以上の直撃か役満ツモ。

2巡目、早々に木村が役牌を仕掛ける。

ドラ

 ポン

ここから打とし、早くも好形イーシャンテン。

決着はそのわずか3巡後だった。

すぐにを引き入れテンパイ。
前に行くしか選択肢のない有田からを討ち取り最後は自力で優勝を決めた。

 

 ポン ロン

対局後、興奮してるようにも、ホッと安堵してるようにも思える木村の表情が非常に印象的であった。

「第7期アマ最高位」は横浜代表の木村誠さんでした。
おめでとうございます!!

 

文:坂本 正志

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