第1日 10月29日

第2日 11月5日

第3日 11月12日

第4日 11月19日

最終日 11月30日


(全5日間20回戦)





最高位決定戦。
それは最高位戦選手なら、誰しもが憧れる大舞台。
対局会場に向かう途中、神楽坂を登りながら空を見上げた。
青い空、白い雲。
今朝の天気予報どおり、まさに小春日和だ。
これから熱い闘いが始まろうとしていることが不思議なくらいに‥‥

第3節終了時スコア
金子正輝 +101.3
張敏賢  +15.6
飯田正人 +2.1
佐藤崇   △119.0


13回戦(金子・飯田・張・佐藤)

東1局 ドラ裏ドラ
7巡目に佐藤がテンパイ一番乗り。闇テンに構える。
北家佐藤ロン
河には共に1枚切れ。
前巡に張が手出しでが切られたばかり。
8巡目に飯田から出アガリ
第4節は佐藤のアガリで静かに幕をあけた。

裏ドラ
親の飯田がもらった配牌を丁寧にまとめ13巡目に立直
ツモ
メンピンツモドラ2600オールをつもりあげた。

続く1本場ドラ裏ドラ
ご覧あれ!これぞ大魔神の配牌である。

なんとテンパイではないか!
大魔神は静かにを縦に捨て、ひとまず単騎に受ける。
4巡目にドラのツモ。ドラ単騎に待ちかえ。
7巡目にツモ。ドラを切って立直と出る。
河にが2枚切れ。がかなり良さそうにみえる。
読みどおりは全山。は1枚生き。
そして2巡後、高めのツモ!
裏も乗せて4000は4100オール
恐るべし!大魔神!

続く2本場ドラ裏ドラ
飯田またもや三色が見える好配牌
東家飯田の配牌
2巡目に飯田が切った初牌のを佐藤が仕掛け、チーしてテンパイ
西家佐藤   
2巡後張がをツモ切り。ハネマンの放縦となる。

東3局
東家張がピンフツモ700オールツモ

続く1本場ドラ裏ドラ
トップ目の飯田が8巡目に役アリの先制立直を打つ。
待ちは山に5枚残り。
しかし立直がなければ金子がツモ切る可能性の高いを止められ、
東家張がペン待ちで追っかけ立直
飯田がつかむことになった。
飯田はトップ目でもあり闇テンを選択していたら
違った結果になっていたかもしれないと感じる1局だった。
東家張ロン

続く2本場ドラ裏ドラ
もしかしたらなかったかもしれない張の親番
ひとり金子だけ静かなのが何とも不気味である‥‥
張が丁寧な手作りで9巡目立直
飯田、234の三色イーシャンテンから役無しになるをツモり
これ以上連荘されないよう追っかけるが、
張、一発ツモで一気にトップ目に立つ。
東家張ツモ
北家飯田

南1局ドラ裏ドラ
東家金子、配牌で暗刻
3巡目にドラのも暗刻にする。
5巡目にチーしてテンパイ。
東家金子  
12巡目にツモ!4000オール!
静かだった金子が暴れだすのか!?トップ目に立つ。
ここまでの点棒状況
東家金子36000
南家飯田31400
西家張25800
北家佐藤26800

南1局1本場
飯田が佐藤から立直裏1 2600は2900出アガリ

南2局ドラ裏ドラカンドラカン裏
飯田、佐藤、金子の手がぶつかり合う。
トップ目の金子がピンズのホンイツに対し、
飯田と佐藤がアガらせまいと仕掛け返す。
東家飯田   
西家佐藤  
北家金子   
金子が切ったに飯田が大ミンカン。カンドラはモロ乗り
金子がをつかみ佐藤に1000点放銃。

南3局ドラ裏ドラ
東家張がチャンタ三色が見えるイーシャンテンから
14巡目にポンテンをとる。
門前で仕上げたかっただろうが、この巡目とならば仕方なしといったところか。
  
ドラのをつもり1000オール

続く1本場ドラ裏ドラ
9巡目に金子が純チャン三色のテンパイ
西家金子
張が11巡目にドラ暗刻でを切ってカン待ち。
両者とも闇テンのままツモ切りを続ける。
15巡目に金子がツモ!3000・6000
金子がラス前にして点差を広げた。

ここまでの点棒状況
東家佐藤20800
南家金子46300
西家飯田30200
北家張22700
南4局ドラ裏ドラ
なんとしてでも連荘したい佐藤
配牌はまあまあ。
8巡目にチートイのイーシャンテンからツモ
東家佐藤ツモ
佐藤が選んだのはリャンシャンテンに戻す打
三色含みの面子手に移行する。
しかしツモがきかない。
14巡目にツモやっとイーシャンテン
16巡目にツモ立直!
東家佐藤
一発目のツモは6000オール
佐藤の冷静な判断と心意気で仕上げた1局である。

4者が1度はトップ目に立つ大物手炸裂の13回戦。
最後は飯田が1000は1300で終局する。
金子がトップで依然首位独走!

13回戦終了時スコア
金子正輝+141.6
飯田正人△12.4
張敏賢△27.7
佐藤崇△101.5


14回戦(飯田・佐藤・張・金子)

東1局ドラ裏ドラ
開局早々、親の飯田をのぞく三者の手がぶつかる。
7巡目に南家佐藤が三色崩れのを引き入れ先制立直。
同巡に西家張もテンパイ即立直。
北家金子も続いて同巡に文句なしのツモで追いかけ立直。
南家佐藤
西家張
北家金子
三軒立直を受けての一発目、8巡目の東家飯田の手が以下のとおり。
ツモ
三者の河
南家佐藤
西家張
北家金子
東家飯田は三色含みの好形イーシャンテンであり、
オリるにはもったいない。
少し粘りたい手であるが、飯田のツモは長考する飯田。
さすがに親といえども三軒立直には勝負は避ける。
三者に通るを中抜き。
結果は佐藤が金子のロン牌のをつかむ。
14回戦も金子の勢いが止まらない。

東4局ドラ裏ドラ
小場で局は進み親は好調な金子。
トータルトップの金子を独走させるわけにはいかない。
三者にとっては金子の親は落としたい。しかし、軽いアガリで流したくもないだろう。
できれば金子に親かぶりをさせることがテーマとなる局だ。
しかし早くも金子が5巡目にペン役無しテンパイ
待ちはドラ表示牌。ひとまず闇テンに構え、次巡のドラをツモり、
待ち変えシャンポン立直。
東家金子ツモ
唯一対抗できるのはピンズのホンイツの張であったが、
立直を受けた時点では悪形のイーシャンテン。
金子がをツモり、6000オール

朝は穏やかな天気だったが外の風がゴーゴーと窓ガラスに吹き付ける。
しーんと静まりかえる対局会場。
何とも言いがたい暗雲たちこめる空気が漂う。
14回戦も大荒れの模様。外の嵐とともに‥‥

東4局1本場ドラ裏ドラ
北家張が7巡目にドラ切り立直
待ちはイーぺーコーのカン
ただし西家飯田がピンズに染めている。
張はダントツトップ目の親の金子の上家でもあり、
無防備になる、この立直はどうか?
金子はチンイツのイーシャンテンから場に3枚切れのを飯田に鳴かれて、テンパイさせる。
金子も次巡チーして追いつく。
結果は最後まで押し切った飯田が張から8000出アガリ。

南2局2本場ドラ裏ドラ
ここまでの点棒状況
東家佐藤26100
南家張13000
西家金子50100
北家飯田30800
佐藤が10巡目に、カンテンパイ。は場に2枚切れ。闇テン。
東家佐藤
続いて西家金子が12巡目に追いつく。闇テン。
西家金子
13巡目に佐藤が手変わりしないまま、カン待ちでツモ切り立直と出た。
張の手がすごいことになっている。
14巡目に張が国士無双テンパイ!!
配牌は5種6牌だった。なんと1枚も余らずにテンパイ。
待ちは山に3枚残り。
同巡に金子のツモは
前巡に張が佐藤の立直に無筋のを押している。
金子は張が切ったをにらみつけ、深くため息をつき、を合わせる。
15巡目、張はを力強くツモりあげた。
ラス目だった張が一気にトップ目に!!
親かぶりをした佐藤、今節も苦しい展開。

南3局ドラ裏ドラ
ホンイツ仕掛けの南家金子から佐藤出アガリ、
裏ドラも乗せて立直オモウラ5200

南4局ドラ裏ドラカンドラカン裏
12巡目に西家佐藤が立直。
続いて東家金子が追いかけ立直。
東家金子   ロン
南家飯田
西家佐藤
飯田が金子のロン牌をつかみ、カン裏は
12000の手痛い放銃となる。
金子が張をまくりトップ目に。

続く1本場ドラ裏ドラ
佐藤がツモ平和ドラ1をツモリ終局。

苦しい佐藤。1節目の佐藤は好調なスタートを切ったのだが、
3節、4節と手が入らない。アガリ切れる局は安く本手が決まらない。
チャンスが来るまで我慢なんだろうが麻雀の神様はどこまで我慢させるつもりなのか?
対照的な金子。絶好調!このまま一気に逃げ切ってしまうのか?
国士無双をアガッた張。役満。決定戦の大舞台で役満。
現最高位、最強位のスターはやはり、華がある。
ラスをひいてしまった大魔神飯田。
トータルポイントは苦しいが、まだ残り6回戦。

これだけの高度な雀力を持つ4人。
決定戦に残るということは雀力と運。それも強運。いや、豪運の持ち主が揃ったということ。
そんな4人が揃うとこんなにも大物手が何度も出るものなのか。
見るものをここまで興奮させられる14回戦だった。

14回戦終了時スコア
金子正輝+190.9(+49.3)
張敏賢△1.9(+25.8)
飯田正人△63.6(△51.2)
佐藤崇△125.4(△23.9)


15回戦(飯田・佐藤・金子・張)

東1局ドラ
親の飯田が8巡目に立直。

ドラ単騎のチートイで親で押さえ付けも兼ねての立直。
これに向かっていったのが張。
イーシャンテンの形から立直一発目に無筋のをツモ切ると、その後をツモって暗刻のを一枚切ってそっとテンパイ。

しかし、すぐさま飯田がツモって6000オール。開局早々ロケットスタート。
飯田は次局も2600オールをツモり着々と点棒を増やしていく。

東2局ドラ
終盤に飯田が仕掛けてテンパイ。
  
役牌の後付けが濃厚で見えてない字牌は東と中。
金子が東2枚中1枚持ちの形から3枚目のを持って来て空切りすると、親の佐藤からロンの声。

チートイドラドラ9600、ちょうど今テンパイしたところであった。
金子の手はまとまっておらず、他家に対する牽制もあっての東切りだったのかもしれないが、やはりここは慎重にいくべきだったか。手痛い放銃となる。
その後、張が5200、3900とアガり二着に浮上して南入。

南入時の点棒状況
飯田 49900
佐藤 26800
金子 7400
張  34900
(供託1000)

南1局ドラ
東家飯田が5巡目に立直。

佐藤から一発で出アガリ5800。
飯田はさらに小きざみに連荘して六万点越え。
持ち味である親番での爆発力を見せつけ他の三人を突き放す。

続く6本場ドラ
張が6巡目に立直。

一発目に持ってきたをツモ切ると佐藤にドスン!

佐藤、ダマできっちりと高目を出アガリ、満貫をものにする。

南2局ドラ
先ほどのアガリで勢いづいたか、東家佐藤11巡目に切って先制立直。

は4枚切れは1枚切れで、は確実に山にいそう。
一発目にをツモってアチチアチチとなるも、すぐにをツモって4000オール。
連続のアガリで二万点を稼ぎ出す。一方、金子はこのアガリで持ち点が箱下に、苦しい状態が続く。
南3局耐えに耐えてやっと回ってきた親番、親の金子は2000オールをツモって箱下から復帰する。

続く1本場ドラ
金子4巡目立直。

4巡目にしてドラ暗刻の爆弾リーチである。爆弾は飯田のところで爆発し、飯田満貫放銃。
金子は三着目の張まで2400点差と肉薄する。

続2本場ドラ
こうなると黙っていられないのが尻に火のついた張、負けじと4巡目に立直。

高目のをツモりあげて30006000!

南4局ドラ
点棒状況
東家張  29400
南家飯田 48000
西家佐藤 34400
北家金子 8200
12巡目に金子が仕掛けると、14巡目に親の張が立直。
北家金子  
東家張
結果は張がツモって裏がのって2000オール。佐藤をまくって二着になる。
次局はトップ目の飯田が仕掛けてアガり切って終了。

15回戦終了時スコア
金子正輝+136.5(△54.4)
張敏賢+12.4(+14.3)
飯田正人△15.3(+48.3)
佐藤崇△133.6(△8.2)


16回戦(張・金子・佐藤・飯田)

正午に開始して、すでに6時間半がたつ。
選手の顔も疲労が隠せない状態。
ギャラリーも続々と増え、対局会場は熱気で酸素が薄く感じる。
選手のスタミナは、計り知れないものがある。
さあ、今日の最終回となった。スタート!

東1局ドラ
全員がここはスピード優先で手を進める。
安牌を抱えるものはいない。あれよあれよという間に全員イーシャンテン。
9巡目に張から立直。
 ロン
飯田から出アガリ5200

東2局ドラカンドラ
西家金子が7巡目にこの牌姿からアンカン
   ツモ
もう少し手がまとまるまで、とりあえず打とする打ち手が多いのではないだろうか?
いずれアンカンするなら早めにカンしてツモを増やし、カンドラを見て、
自分の手に有利に打つ。もっとも金子らしいアンカン。
しかし、張から立直の声!
うなる金子。アンカンした時点では三者とも早そうな河ではなかった。
シャンテン数を読み間違えたか?
なんとかテンパイにこぎつけた金子だがあえなく放銃。
張の手は立直、平和。カン裏を乗せて5800。
願ってもない金子からの出アガリとなる。

東2局2本場ドラ
北家張がマンズのホンイツに寄せる。
9巡目に4トイツからポン
   打
腰の重い張がこの牌姿から仕掛けるのは非常にめずらしい。
金子への牽制の意味で自分のアガリより金子の親落しに徹するポンだ。
もちろんまだアガリをあきらめるわけではないが。
この戦法が吉と出るか?凶と出るか?
金子は完全無視して手を進める。
重い配牌だった金子だがタンヤオチートイドラドラをテンパイ。
イーシャンテンの張が金子のロン牌をつかむ。
東家金子 ロン
北家張  
どうあがいても金子に有利に局が進む。

東4局ドラ
親の佐藤が2000オールをツモリあげ、
この局は連荘する気合いが感じさせられる佐藤のするどい目つき。

続1本場ドラ
無風状態だった飯田がホンイツ満貫を佐藤から出アガリ。
全くテンパイ気配のない驚愕のアガリ。
ここでもまた大魔神ぶりを見せつける。

オーラスを迎えたここまでの点棒状況
佐藤24800
飯田32700
張32700
金子29800

南4局ドラ
飯田、張はアガリトップなわけである。
8巡目に飯田がチートイテンパイ
飯田の待ちはドラ単騎になってしまい待ち変えしたいが、さすがにドラは切れないよう。
クイタンでイーシャンテンの張から出アガリ。
南家飯田  ロン
西家張  

16回戦は飯田のトップ!
最終節に向けて望みをつなげた。

16回戦終了時スコア
金子正輝+146.3(+9.8)
飯田正人+23.8(+39.1)
張敏賢△1.3(△13.7)
佐藤崇△168.8(△35.2)


大波乱となった第4節。
スタミナも全て使い果たした選手の顔は血こそ出てないが、まさに格闘技を終えたような様子。
最終節に向けてどんな思いで今夜眠りにつくのだろうか‥‥

おまけコーナー
第4節終わってからの感想をひとこと

金子正輝選手
今日は前半に集中しすぎて途中から具合悪くなった。
最終節は守ってばかりではやられちゃうので最後まで攻めます。
だって3人守って勝てる相手じゃないものーー。

飯田正人選手
何度も決定戦でカネちゃん、いや金子と戦ってるけど今期の金子はひるまない。
いつもはポイント持つとひるんでたんだけど今期は違うなぁ。
デキもいいから最終節まっすぐこさせないようにしたいんだけど‥‥んーでもまっすぐくるからねー。
まあ16回戦トップとれたおかげで希望がでてきたし頑張ります!

張敏賢選手
今日は何やっても駄目でした。
今期は立直を減らしワンステップ自分を向上させるために
決めたことをやり通します!
最終節もその気持ちは変わりません。

佐藤崇選手
最終節は自分のいい麻雀を打ちます。
応援してくれる人のために最高のパフォーマンスを精一杯見せるから!
最終節は華々しく散ります。嘘!最終節は4連勝!






文責・宮本祐子
(文中敬称略)