全5日間20回戦

第1日(坂本大志)

第2日(平賀聡彦)

第3日(風祭学)

第4日(須山いづみ)

最終日(佐藤崇)

 

〜第1日〜(坂本大志)


2006年10月18日水曜日、正午より
神楽坂「ばかんす」にて第31期最高位決定戦の第1日が行われた。

今期のAリーグで、現最高位である古久根英孝への挑戦権を得たのは以下の3名。

2年振り2度目の決定戦進出となった村上淳。
今回が決定戦初挑戦の張敏賢。
3年連続4度目、前最高位の尾崎公太。

大方の予想としては、古久根・尾崎が本命対抗といったところだろうか?
村上はプロ10年目にして悲願の初タイトルとなるか?
また張は初挑戦での最高位獲得となるのか?

対局前に感じた印象としては、村上がやや緊張していて固くなっているように見えた。
また、張は少々風邪気味なのだろう。マスクとポカリを持参している。
古久根、尾崎はいつも通りで特に変わった印象はなかった。


〓1回戦〓



起家から古久根・尾崎・村上・張の順。

東一局は親の古久根が1300オールで連荘。

そして一本場、尾崎の配牌がいい。

ドラ

既に二面子、ドラも二枚ある。
九巡目に平和ドラ2の待ちテンパイ。
リーチもあるかと思ったが、が河に三枚見えている事もあり、慎重に闇テンに構える。

その後、古久根がダブ東ポンで前に出てきてる事もあったのだろう。
十四巡目にツモ切りリーチとした。
対する古久根も一歩も引かずに押し返すが結果は流局に終わる。


その二本場、北家・張の七巡目の手牌。



大物手に仕上がりそうな手牌。
その後、をポンして高め満貫の対々テンパイ。

対する古久根も十四巡目にドラ暗刻のタンヤオで追いつくが、張が高目の中をツモ。
嬉しい決定戦初アガリとなった。

その後、村上にも今決定戦の初アガリが出る。

張は親番でさらに加点し、東場を終えた時点での四人点棒状況は以下のとおりになった。

古久根 27300
尾崎 17500
村上 32300
張 42900

村上がトップ目の張に満貫圏内まで迫り、迎えた南二局。
ここまで見せ場の少ない尾崎の親番。
北家・古久根から四巡目にしてリーチが飛んでくる。待ちはドラのペン


このリーチに果敢に向かっていったのは、トップ目の張。
張は古久根の待ち牌であるドラのを三枚使い、十巡目にタンピンドラ3のテンパイを果たす。
待ちは、リーチしている古久根の河にがある為だろう、闇テンにする。

しかし、既に村上はベタオリ。親の尾崎はある程度前に行かざるをえない。
そして、他家からみて張のテンパイはほぼ明白。

闇テンにする旨味はあまり無いと判断したのだろうか?
十四巡目に持ってきたでツモ切りリーチとした。

実はこの時点で、既には純カラである。

そして同巡に尾崎も追いつく。

 ツモ

は河に四枚、は張の河に一枚のみ。二が初牌では古久根の河に一枚。
単純に見た目の残り枚数は同じ三枚である。
は二巡前に尾崎自身が切っていて、ツモ切りリーチの張にもほぼ通るだろう。


しかし、尾崎は強気に切りリーチを選択する。
張の切りが早いというのもあったのだろうが、この決断が結果的に張に打ち込みとなり、尾崎にとっては痛恨の跳満放銃となる。
ラス前とオーラスは古久根が二局続けてあがり、二着目の村上を捲る。

尾崎は一回戦から手痛い大きなラスとなってしまった。

一方の張は五万点オーバーのトップとこれ以上ないスタートとなった。

一回戦終了時スコア
張 +54.7
古久根 +15.5
村上 −6.3
尾崎 −63.9




〓二回戦〓

起家から古久根、尾崎、張、村上の順。

東一局、北家の村上から先制リーチ。

 ドラ

高目ツモで跳満になるチャンス手。
古久根もクイタンのチーテンを入れ、張も役なしテンパイながら粘るが、村上が終盤に高目のをツモあがり、3000・6000。
東一局から大きくリードする。

東二局、前局ハネマンを親かぶりした古久根が七巡目リーチ。

 ドラ

よほどツモが好感触だったのだろうか?
一段とリーチに気合いが入っていたように感じた。
他の三人はオリにまわるが、三巡目からイーシャンテンだった村上は二巡で安牌が尽きてしまう。
比較的安全そうな端牌を切って凌いでいたが、ついに手牌は中張牌だけになってしまう。

当然現物は一枚もない。たった今中筋になったEが一枚あるものの、
ドラがのため打ち辛いが、この際止むを得ないだろう。
しかし、村上の選択は古久根のアガリ牌の

ドラがのため単純両面ならで打ち込んでも安目。

そういう思惑も当然あったのだろうが、対局後にこの放銃について訪ねてみると、が中筋になった事に気付いてなかったらしい。
村上らしくないなと感じた。

よほど緊張していたのだろう。
この決定戦という舞台と独特な雰囲気が生み出した放銃だったような気がしてならなかった。
村上には手痛い満貫放銃となってしまった。

次局も、古久根は張から2600をアガリ、わずか二局で村上を捲りトップ目に立つ。
東四局は張が満貫をツモアガリ、前局の失点以上取り返す。

南一局、ついに尾崎に初アガリが出る。

 ドラ ウラ

このリーチをトップ目の古久根から一発でを討ち取り、わずか一撃でトップ目に浮上する。
尾崎は実に十九局目にして、決定戦初アガリとなった。

その後、古久根の一人テンパイと村上から尾崎に満貫動き、オーラスを迎えた時点での点棒状況は以下のようになっていた。

古久根 26600
尾崎 41300
張 31400
村上 20700

中盤に南家の古久根からリーチ。

 ドラ

ツモか裏ドラ一枚乗れば、張を捲り二着に浮上する。
尾崎、張はオリにまわり、ラス目でラス親の村上は必死にテンパイを組みにいくが、ノーテンのまま流局。
村上は東一局に跳満をアガリながら終わってみたらラスで終了。

この時の村上の心理状態はどんなだったのだろうか?
自分には全く予想すらできない。

余談ではあるが、テンパイ連荘のルールであるにも関わらず、
この半荘は誰も連荘できずに、わすが八局で終了という珍しい半荘となった。

二回戦終了時スコア

張 +65.1
古久根 +4.1
尾崎 −23.6
村上 −54.0




〓3回戦〓


起家から張、尾崎、村上、古久根の順。

東一局は村上の一人テンパイで流局する。

次局も親番の尾崎がの四面張リーチも、アガリ牌が他家に流れ、流局してしまう。

尾崎の500は700オールを挟んで迎えた東二局三本場。
手なりで進めていた北家、張の八巡目の手牌。

 ドラ

いつの間にか、このようなイーシャンテンになっていた。
十一巡目に、尾崎の鳴きによってが流れてしまうが、張は全く気にする様子もなく平然とポンテンを入れる。
一方の尾崎も、張のテンパイ打牌のをチーして高目18000のテンパイが入る。

 チー ポン

そして、村上もドラ対子の七対子で追いつく。

大物手のぶつかり合い、この半荘の主導権を握るためにも是が非でもアガリたい勝負を制したのはまたしても張であった。

高目のをツモ。三暗刻もついて、大きな大きなハネマンとなった。

こんな事を言うのは失礼かもしれないが、ここまで観ていて今日の張は本当にツモに恵まれてるなと感じた。
たまたま自分がそういうイメージが強かっただけかもしれないが…

東三局は全員ノーテンで流局し、向かえた東四局、親番の古久根が村上の四巡目のを以下の牌姿から仕掛ける。

 ドラ

かなり遠い仕掛けである。急所の牌でもあり、面前で仕上がるのは厳しいと考えれば理にかなってるとは思うが、どうなのだろうか?次巡に發を暗刻にし、イーシャンテンとなるが村上からリーチの声がかかる。
筋とはいえ、ドラの@を持ってきたので、オリの選択もあるかとは思ったが、古久根は怯まなかった。

四枚目のをチーしてを勝負する。

そして次巡にをツモり、1300は1400オール。
あの遠い仕掛けを見事アガリに結びつけてしまう。
これで古久根はラスを脱出する。

そして次局。
まずは村上の配牌を見ていただきたい。

 ドラ

この苦しい配牌からは全く想像できないようなテンパイをする。

十二巡目、村上がリーチ。

 ドラ カンドラ

配牌で対子が一つもなかったが、気付けば七対子のテンパイ。

同巡に南の暗カンをしていた尾崎からもリーチが入り、他の二人はオリを余儀なくされてしまう。
尾崎の待ちはカン。お互い待ち牌は一枚ずつ生きている。
この勝負を制したのは村上。
十四巡目のツモ牌のを静かに手牌の横に置く。
裏ドラも乗り、ここまでの不調を一気に払拭するほどの倍満となる。

本人は平然としていたが、内心は相当嬉しかったに違いないだろう。
結局、村上はこのリードを最後まで守りきりトップで終了。
二着は張、三着尾崎、ラスは古久根となった。

三回戦終了時スコア

張 +74.8
村上 −5.7
古久根 −33.0
尾崎 −36.1

 

〓4回戦〓

起家から村上、古久根、尾崎、張の順。

起家の村上が三回戦の好調そのままに、親満ツモニ連発で一気に突き抜ける。
続く3本場、村上はこのままの勢いでいきたいところだが、またしても痛恨のオリ打ちをしてしまう。

まずは南家の古久根が、七巡目に以下の牌姿からカンをチー。

 ドラ

そしての対子落とし。十巡目に中を暗刻にして、テンパイ。

この時の古久根は河は以下の通り。

と二枚目のはツモ切りである。

十二巡目に尾崎からリーチの声がかかる。
ちなみに待ちは待ち。
そして、手牌をパンパンにしていた村上はオリにまわるが、十五巡目に手が止まる。

以下村上の手牌。

 ツモ

尾崎の現物がしか無い。
が、 古久根がマンズのホンイツ気配なので打ち辛い。
他の打牌候補では。尾崎が八巡目に手出しで、二巡ツモ切りの後に手出しでと切ってのリーチ。

で放銃となるケースはあまりないと思うのだが…

古久根の仕掛けがドラのが暗刻で、ホンイツでないケースもあるのかもしれないが、
その場合はの前にを先に切ってが当たる事はあるのだろうか?
それ以外には三枚見えのワンチャンスでもあるが、それならのほうがはるかに安全度は高い。

の対子落としで、ホンイツでないケースもあると思ったのか、
窮した村上は結局を選び古久根に満貫放銃となってしまった。

しかし、その後は崩れる事もなく東場が終わった頃には、また点棒を50000点以上まで戻していた。
このあたりはさすがAリーガーである。

南二局、古久根の反撃が始まる。
二人テンパイで親権を維持した一本場。村上の第一打のをポン。
その後を暗カンしてもポンと派手に仕掛け、待ちのテンパイ。

一方南家の尾崎。

 ドラ カンドラ

上記の牌姿から新ドラのを引き入れ、初牌のを勝負して渾身のリーチ!!
しかし同巡に古久根がをツモって、尾崎はあがれず。
次局も古久根の先制リーチの同巡にテンパイした尾崎が追っかけようとするが、宣言牌で7700は8300の放銃となる。

三本場も古久根の一人テンパイで流局し、村上に猛追している。

しかし、次局に尾崎が満貫をつもり、長かった古久根の親番が終わる。

迎えた尾崎の親番。
尾崎と張の二軒リーチに挟まれ、古久根は完全に手詰まる。

親の尾崎にだけは放銃したくない古久根は、尾崎には通りそう牌を切って、張に3900を放銃する。

オーラスを向かえ、四人の点棒状況は以下の通り。

村上 45600
古久根 36600
尾崎 18600
張 19200

前局のアガリで、三回戦までのトータルトップ目の張が三着に上がったが、
ポンテンの村上が張からアガリ、張がラスに落ちて終了した。

初日の結果は以下の通り。

四回戦終了時スコア

村上 +41.9
張 +32.0
古久根 −17.2
尾崎 −57.5


二連勝で首位で終了した村上は、普段より攻めに比重をおいていたような印象を受けた。
結果何度かオリ打ちする場面もあったが、その分アガリに結びついた局も多かったのではないだろうか。

二位で終了した張は、「緊張」とは無縁なのだろうか?
初の決定戦にも関わらず、普段通り飄々と打っていた印象があった。

今日ノートップで終了した古久根だが、さすがは現最高位と思わせてくれるような麻雀であった。
その為だろうか、古久根の後ろは常に観戦者が溢れている。
二節目以降の巻き返しに期待したい。

初日は最下位に甘んじた尾崎だが、たまたま結果がついてこなかっただけではないだろうか?
このまま終わる事はないと思うので、二節目以降が非常に楽しみである。

今節は村上首位で終了したが、ポイント差があまり開いていないため、今後の予想ができない。
第31期最高位の栄冠は一体誰の手に渡るのだろうか?

二節目以降も全く目が離せない。


最高位決定戦・第1日
観戦記担当・坂本大志(さかもと まさし)