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村上コラム

 

7回戦終了時スコア

 

村上+58.9  小林-7.3  井出-20.2  下出-31.4

圧倒的有利な立場で迎えた8回戦。

 

トータル2着目の小林が大量リードして迎えた東3局、ドラアンコの井出から2役ホンイツの8000出アガり。

ラスの可能性が低くなりかなり一息ついたのだが…。

南1局、3着目の親下出がダブルリーチ。5巡目まではしのいだが、6巡目北待ちチートイツに飛び込み9600放銃。後で牌譜を見直しても、この放銃は避けられない。

ちなみに放銃は初日に1300一回、この日も小林に1000一回(打ってもよい状況)、決勝戦で3回目の放銃だった。これで3着目に落ちたが、大量リードもあって焦りは全くなかった。

 

牌譜

その気持ちの余裕が、次局の5巡目ドラタンキリーチにつながった。流局オッケーのこのリーチが、またもツモれて2000・3900。こうした牌譜だけ見ていると単なるバカヅキにしか見えないだろう。決勝が終わった後小林が言った。「4人の中で村上が間違いなく一番ツイていた。ただ村上の打ち方でなければあそこまで差はつかなかった」なんだか褒められているんだか微妙だが、ようはツイている時にちゃんと勝つのが実力だということだろう。結局この半荘もなんとか2着でしのぎ、残り半荘二回を残すのみとなった。

 

8回戦終了時スコア  村上+65.9  小林+24.7  下出-38.1  井出-53.5 

 

 9回戦開始時、小林とのポイント差は41.2。この半荘の結果次第で最終戦の戦い方は変わってくる。他3人の着順を気にせず今まで通りしっかり打つことを心がけた。

 

仮に小林にトップをとられたとしても、自分が素点を減らさなければかなり有利な最終戦なのだ。今までと同じく、しっかり守ってしっかり攻める、やれることをやるだけだ。実際には東場は下出に手が入り、下出が4万点オーバーのトップ目に。小林はノーホーラで南入する理想的な展開。南場に入って小林がリーチ攻勢に出るも実らず、村上3着、小林ラスでオーラスへ。

オーラス、自分の親番。このままの並びならば最終戦二位小林と50以上離れるのでじゅうぶんなのだが、なんとチートイツをツモって井出を捲って2着になってしまう。本当に出来すぎな1日だ。ちなみに自分は他の人よりもチートイツのアガりが多い。それは山読みが得意とかそんなことではなく、極端に泣きが少ないからという単純な理由だ。メンゼン派の武器はリーチとチートイツ、それとメンゼンツモの1ファン。今回はそれらが存分に生かされ、ここまでのダントツ態勢を作りあげることができた。まさに自分の麻雀の集大成であったと思う。

 9回戦終了時スコア     村上+74.2  小林+1.9  下出-16.3  井出-60.8

そして、いよいよ最終戦が始まった。

2着小林と72.3、3着下出と90.5ポイント差。トップラスで24ポイントしか縮まらないこのルールでは、正直ここから逆転されるほうが難しい。とはいえプロ入りしてから14年の間に、奇跡の逆転を何度も見て来た。

油断だけはすまいと思いつつ、最後まで普通に打とうと思った。

観戦記にもある通り、とにかく親への放銃だけは避けた。アガらなければ連荘できないこのルールで、連荘の手助けだけはバカバカしい。逆に子供にならある程度の手に打っても、優勝に近づくだけだ。

役満放銃は一気に逆転されるが、役満などそうそう出るわけがない。コクシの捨て牌だけ多少ケア、後は普段通りに打った。
最終戦はトータルラス目の井出に手が入り、東パツに下出にマンガンを放銃したにもかかわらず、その後アガり続けて大トップ。またも自分にとって大有利な展開となって、最終局は小林、下出に役満直撃された時のみ逆転、という大差であった。

最終戦がそんなふうであったので、今回は優勝が決まった瞬間も涙は出ず、笑顔のみだった。

 

勝因は?とよく聞かれましたが、内容に関してはまあ牌譜を見る通りで、小林くんの言うとおり「ツキを最大限に生かした」ようはツイてたから勝ったんですよね。でも麻雀って昔偉い人が言ってた通り、「負けたら実力、勝ったら運」このくらい謙虚でないといけないと思います。ですから勝因と言えるものはないかなと。

 

この世界(麻雀プロ業界)はビックタイトル一つではフロックと思われがちなので、2つ目をとれたことで実力が認められる可能性が高くなるので、その点では非常に嬉しかったです。
ただ、たまたまタイトルを2つ獲ったからと言って、急に麻雀が強くなった、というわけでは決してない。

14年間努力して来たことが結果として表れたのはものすごく幸運だと思うが、自分の今の実力がトッププロとして納得行くレベルでないことは自分が一番良くわかっているのだ。もっと圧倒的な力を身につけるまで、ひたすら努力あるのみである。「麻雀なんて運ゲーだから努力なんて意味ないじゃん」こう思った瞬間、その人の成長は止まる。というより、麻雀プロでいる意味がないと思う。

これからも慢心する事なく、ひたむきに麻雀と向き合い続けてもっともっと強くなりたい!思うのはただ

それだけです。

 

クラシック編はこれで終了です。駄文にも拘わらずこれまで呼んで頂いた方に感謝します。

 

 

 

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