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【第38期Aリーグレポート】

Aリーグ最終節

3月から半年に渡って開催されているAリーグもいよいよ最終節。

上位3名が最高位決定戦へ進出、下位3名がB1リーグへ降級となる。

 

開始時スコア
1     新井 啓文    391.4
2     村上 淳    261.7
3     金子 正輝    223.3
4     中嶋 和正    190.4
5     佐藤 聖誠    180.1
6     平賀 聡彦    75.1
7     石橋 伸洋    21.1
8     石井 一馬    -93.9
9     土田 浩翔    -124.4
10     坂本 大志    -204.4
11     水巻 渉    -246.6
12     山口 まや    -275.3
13     張 敏賢    -452.5

1.2回戦、中嶋はトップ・2着で一気に金子を抜き去り猛追!そして、佐藤も2連勝を飾り村上の上へと立った。
この佐藤の2回戦は、薄氷の上でのトップだった。

(詳しくは佐藤聖誠のメンバーズブログ参照のこと)

残すはいよいよ2回戦(5人打ちは3回戦)。

2回戦終了時スコア
1     新井 啓文    405.9
2     佐藤 聖誠    263.5
3     村上 淳        259.1
4     中嶋 和正    248.7
5     金子 正輝    174.5
6     平賀 聡彦    48.0
7     石橋 伸洋    45.1
8     石井 一馬    -105.3
9     土田 浩翔    -158.6
10     坂本 大志    -163.7
11     水巻 渉    -238.9
12     山口 まや    -348.0
13     張 敏賢    -484.3

3回戦
C卓

村上-金子-坂本-山口(抜け番佐藤)
佐藤が抜け番の3回戦、村上としては金子を抑え付けながら自身の得点を重ねてゆくのみ。
そんな村上は東1局の親番からお化け配牌を貰う。


   ドラ

 

1巡目に出たにポンの声をかけると、打
これで誰がピンズの本手が入っていると思えるだろうか。
早くも7巡目にテンパイを果たすと、をツモって4000オール。

 

さらに勢いは留まるところを知らず、


   一発ロン   ドラ 裏


わずか6巡目にして坂本から12000でダントツに。

ここから、筆者はAリーグの重さを、凄みを知ることとなる。

東2局3本場

 


 

坂本がポン、ポンでホンイツへ。そこへ金子・坂本の仕掛けに村上がリーチで被せる。
更に金子もここが勝負所と見て加カンしてツモ!
時にハイリスク・ハイリターンな選択を迫られるのも最終節ならではか。

しかしここから、ラス目の坂本がしぶとく粘る。1000/2000ツモ、親番ではリーヅモ七対で3200オール。

東4局2本場



 

超門前派、あるいは「リーチ派」の域の村上。
この最終節も、誰よりもリーチの声を会場内に響かせていた。

結果は放銃となってしまったものの、
自分の信じた戦いを、貫く――
そんな気持ちが、最終節の村上からは溢れ出ていた。

南1局
坂本のヤミテンタンヤオ三色に放銃し、あれよあれよという間に村上は3着へと転落してしまう。
坂本は、村上への12000放銃から、なんとトップ目へと返り咲き。

南2局
金子が2600オールをツモ。これで金子がトップ目に。
南2局1本場
村上のリーチがついに実り2000/4000。これで再び村上トップ・2着金子・3着坂本に。

一局・一局毎に3人の順位が入れ替わっていく激戦。
勝ちたい理由は、負けられない理由は、それぞれに等しく存在する。

村上の、金子の、坂本の意地や矜持がぶつかり合い、観戦していながらも思わず震えが来た。

迎えたオーラス1本場。
山口 15800
村上 40300
金子 33800
坂本 28000

まずは坂本が先制リーチ。


   ドラ

 

ツモ・裏に賭けることになろうとも、これ以上は望むべくもないリーチ。
ここへ追いついたのが金子。

 

   ドラ

2巡後、重く感情を込め牌を手繰り寄せたのは
金子。大激戦となった3回戦を制した。

54000点持ちのダントツから極々平凡な2着となった村上。しかし目立った悪手があったわけではない。

全員がまさに鬼気迫った様子の修羅場。一筋縄ではいかない、ということだろう。

 

1     新井 啓文    357.3
2     村上 淳        279.4
3     佐藤 聖誠    263.5
4     金子 正輝    217.6
5     中嶋 和正    193.1

続く4回戦。

これまで村上・金子・佐藤と抜け番だったが、いよいよこの決定戦争い3人が顔を合わせた。

東1局1本場
村上が6巡目にリーチ!

 

   ドラ

 

跳満を引きにいくリーチ。これをしっかりと引き当て3000/6000。
更に東3局でも2巡目リーチのペンをツモり満貫。

南2局、佐藤も親番でこのリーチ。


   ドラ

 

瞬間ヤミテンに構えたものの、が2枚切り出されたのを見てすぐさま空切りリーチ。これをツモって裏ドラも乗せて4000オールで追いすがる。

一人大きく置いていかれてしまったのは金子。
10200点のラス目で3着目とも2万点の差が開いて迎えた南3局の親番。
ここでも金子が意地を見せる。

   ツモ   ドラ

   一発ツモ   ドラ1m

 

2000オール・2600オールで追いすがる。

尚も続く親番も、村上のツモアガリで落ちてオーラス。

村上 45000
山口 24900
佐藤 24500
金子 25600

 

村上は決定戦への切符を確実なものにするべくホンイツトイトイのテンパイ。佐藤も七対子のテンパイをいれた。
山口も仕掛け、苦しいのは金子。
放銃すればラス落ちが濃厚。しかしテンパイ取らねば村上が伏せた場合もラスになる。
一打一打、丁寧に打牌をする金子の動きが、佐藤のでピタリと止まった。


      

 

佐藤は、自身のブログで2回戦6000オールの局を勝因にも敗因にもなりうると書いていた。
しかし、金子と村上の間で観戦していた筆者から見ると、この一局こそが、佐藤と金子の明暗を分けたように思える。

大長考の末、金子の選択はチーして打
金子から見れば、3者のテンパイはかなり濃厚(実際は山口はイーシャンテンだが)
初牌の全て危険に見える。
なんとか単騎にして勝負でテンパイに持ち込もうという算段だろう。
このチーで、佐藤が掴んでいたはずのを金子が掴むことに。そして、金子が重ねるはずので村上が佐藤に放銃。

金子のチーが果たして必然か?と問われれば難しい所だと思う。ましてや選択したのは金子。様々な読みの上での判断なのは間違いない。

たら、ればの話になってしまうが、仮にチーせずにいると、佐藤が掴むは恐らく止まらず(本人談)、12000横移動で最終戦の展開も変わったかもしれない。


最終戦前スコア

1     新井 啓文    357.3
2     村上 淳    322.8
3     佐藤 聖誠    269.6
4     金子 正輝    203.2
5     中嶋 和正    193.1
6     石橋 伸洋    100.2
7     平賀 聡彦    23.9
8     石井 一馬    -87.7
9     土田 浩翔    -173.2
10     坂本 大志    -178.8
11     水巻 渉    -182.7
12     山口 まや    -431.4
13     張 敏賢    -470.3

首位新井は、ポイントこそ減らしてはいるもののほぼ安泰。
最終節もこれまでと同様に常に攻めの姿勢を続ける姿が非常に印象的で、決定戦進出の更にその先を見据えているように感じた。

 

ここまで来て昇級争い・残留争い共に熾烈なポイント。特に残留を巡る戦いは、わずか10ポイントの中に3人がひしめき合う大混戦。

そして、運命の最終戦が始まった。

B卓

現在中嶋はボーダーの佐藤まで76.5ポイント。決定戦進出へは、自身が大きめのトップを獲得し、あとは佐藤のマイナスを祈るのみ。


 

そんな東1局、のことだった。
親番の中嶋に絶好の好配牌。わずか3巡目でこの形。


   ドラ


しかし、水巻・土田は着順勝負の残留争い。
黙って指を咥えて見ている訳が無い。
互いに役牌を仕掛けると一気にホンイツへと仕掛けていく。
水巻・土田共にテンパイを果たし、張もドラ暗刻のイーシャンテン。そして明暗を分けたのが9巡目。

     


イーシャンテンとなった中嶋。
トップ条件でこの牌姿になれば、押す。
ならばと、明らかにマンズの土田に対し、まだテンパイでない可能性や手変わる可能性を考慮して、
を先切り。
皮肉にもこれが仇となった。張がツモでリーチ。水巻もに変化すると、中嶋から零れたのはであった。

しかし中嶋も諦める訳にはいかない。
東3局1本場、渾身のリーチを放ち、安めながら1300/2600で望みをつなぐ。


   ツモ    ドラ 裏

そして南1局。
中嶋の戦いはここで終焉を迎えた。


親番の先制ドラ1。恐らく誰が打っても最善のリーチであるだろう。しかし現実は無情だった。
水巻の追いかけメンタンピンに放銃し、8000。ここから引っ繰り返すだけの余力はもはや残されてはいなかった。

勝負はいよいよオーラス。残る土田・水巻の残留争い。別卓の坂本次第ではあるが、着順勝負の二人。


水巻 38400 

中嶋 15700 

土田 30700 

張   34200

水巻は配牌からオリ。土田は十八番の七対子へと向かうが、テンパイがはいったのは最終手番直前。
水巻をまくるには、リーチをかけてツモるしかない。

しかしここでの土田の選択はヤミテン。
水巻をまくれば確実に残留。しかし、その場合残り1巡のツモに賭け、ダメだった場合は3着で終わりかなり厳しい。
しかしこのまま一人テンパイで流局すれば、張をギリギリまくって2着に浮上する。
その場合、別卓の坂本が39700以上の2着、あるいはトップでなければ残留。
より可能性の高い選択は果たしてどちらだろうか。
土田はベストを尽くし、2着で終了。
残留争いの結果は、坂本の手に委ねられた。

 

 

C卓
村上は、同卓の金子に6万点差のトップラスを決められなければセーフ。
佐藤も金子とのトップラス・あるいは2着順+27000点差をつけられなければ大丈夫。
金子は逆に上記の条件をクリアしなければならない。
対して坂本は、ほぼ確実に連対以上、出来ればトップが欲しい。

それぞれの思惑が絡み合った条件戦のため、普段とはかなり違う特殊な戦いとなった。
東1局、坂本が金子から5200を出アガるも、その後は目立った動きもなく粛々と局が進んでゆく。
迎えた南1局。

   ドラ

 

と引き入れかなり感触の良いリーチを放った金子が、一発でを手繰り寄せ3000/6000。トップ目に立つものの、条件クリアにはまだ足りない。

南3局、金子の親番を迎えて点棒は
金子41500
佐藤28400
村上16800
坂本33300
現状の金子、佐藤をまくる為にはあと14000点程、村上をまくるにはあと35000点ほど必要。
となると、当然のようにこういった結末を迎える。


 

佐藤、村上共に坂本へアシストしに行っているのがわかる。
金子もかなりの好形だったが、連合軍相手にはいささか分が悪かったか。

勝負はいよいよオーラス。
残留を狙う坂本。現状の2着目はかなり微妙ではある。
水巻トップ・土田2着という自身にとって最悪の展開を知らぬ坂本だったが、あくまでも最善を尽くすため、自然なリーチ。満貫のアガリをモノにした。

 

 

仮にこれをアガれていなかったら。あるいはヤミテンにしていたら。悪夢の降級をするのは坂本の方だった。

最終結果
1     新井 啓文    321.3
2     村上 淳    279.6
3     佐藤 聖誠    248.7
4     金子 正輝    224.7
5     中嶋 和正    148.8
6     石橋 伸洋    137.9
7     平賀 聡彦    34.3
8     石井 一馬    -99.8
9     坂本 大志    -136.2
10     水巻 渉    -145.3
11     土田 浩翔    -159.5
12     山口 まや    -431.4
13     張 敏賢    -477.1

新井は初の、村上は5回目、佐藤は3年連続3回目の決定戦進出を決めた。

鳴り物入りでAリーグに参戦した土田、女流初のAリーガー山口、最高位連覇・最強位獲得の張の3名が降級となった。
スター選手、有名選手が集うAリーグ。しかし、その中で誰かしらは降級の憂き目を見ることとなる。勝負の非情さを感じる。

新井・村上・佐藤という新進気鋭の若手3名。
迎え撃つのは昨年悲願の最高位を獲得した近藤誠一。

攻撃派が揃った今年は激しいぶつかり合いの予感がする。
注目の最高位決定戦第1節は10月6日(日)、神楽坂ばかんすにて開催となります!

最高位決定戦
第1節 10月6日(日)神楽坂ばかんす
第2節 10月13日(日)神楽坂ばかんす
第3節 10月20日(日)スリアロチャンネルにて生放送
第4節 11月3日(日)スリアロチャンネルにて生放送
最終節 11月17日(日)ニコニコ公式生放送

記:小山直樹
(文中敬称略)

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