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【第21期發王戦ベスト16・準決勝レポート】

2月16日(土)、發王戦トーナメントのベスト16・準決勝が行われました。


發王戦は1回戦~準決勝まで、全てが卓内2名が勝ちあがるというトーナメント方式のタイトル戦です。
ここベスト16に至るまで、1回戦から勝ちあがるには単純な確率で32分の1。一般予選・プロ予選を含めれば、この場に立つというそれだけでも十分に凄いこと。

 

しかし、この中から決勝へ行けるのはわずか4名。
ベスト16・準決勝共に1セット3半荘の戦い。
狭き門を潜り抜けてきた強者達の骨肉の争いが始まる。

☆ベスト16☆

◎1卓 

 

左:櫻井秀樹(日本プロ麻雀連盟) 中央:山田昌和(招待選手) 

右奥:佐藤聖誠(現發王位・最高位戦) 手前:宇野公介(最高位戦)

1回戦、プロ連盟の櫻井選手が63500点の大トップ。非常に有利かと思われたが、続く2回戦、南1局に親の山田さんに満貫を放銃してしまう。
1回戦ラススタートの宇野も2回戦後が無いにも関わらず、佐藤、山田さんに大きく離されてしまう。何とか連対が欲しい宇野は、

 

 

から打!これを仕上げ執念のホンイツ小三元をトップ目佐藤から直撃するも、追撃及ばず。

2回戦終了時
佐藤 +31.7 山田 +20.2 櫻井 +14.0 宇野 -66.9


佐藤・山田・櫻井の三つ巴。最終戦の着順勝負となったが、櫻井選手は手牌と展開に恵まれず終了。1回戦ダントツからよもやの敗退となってしまった。

通過者:佐藤聖誠
     山田昌和

◎2卓 

手前:近藤誠一(現最高位) 左:嶋村俊幸(最高位戦) 

奥:平賀聡彦(最高位戦) 右:坂井秀隆(最高位戦)

奇しくも最高位戦4名での戦いとなった2卓。近藤最高位の戦いぶりに注目が集まったが、
2回戦を終えスコアは
平賀 +63.6 嶋村 +54.0 近藤 -58.8 坂井 -58.8

と上下くっきりわかれてしまう。

近藤、坂井と2位嶋村との差は112.8ポイント。およそ5~6万点差のトップ・ラスを決めなければならない。
そんな3回戦東1局、起家の平賀が無邪気なドラアンコリーチ!これをツモると裏にも同じ牌がめくれ、8000オールスタート。
もはや終了か・・・と思いきや次局近藤が平賀から渾身の12000!

更にはまたも平賀から8000を直撃する近藤。こうなると嶋村も黙ってはいられない。キッチリとアガリを重ねてゆく。

 

迎えたオーラス、ラス親の近藤に入った手は

 


 

よもや逆転があるというのか!?
気合を入れて摸打を繰り返す近藤だったが、テンパイを入れることはできず、ここで敗退となった。

通過者:嶋村俊幸
     平賀聡彦

◎3卓 

 

左:松ヶ瀬隆弥(RMU) 中央:張敏賢(最高位戦) 

右:青山征司(北海道予選) 手前:三原孝博(麻将連合) 


北海道予選から見事ベスト16までたどり着いたアマの青山さん。力強い麻雀で、1回戦もトップ。2回戦も安定した立ち回りを見せる。

 

1回戦大きなラスを引いてしまった松ヶ瀬選手は、トップ目で迎えた2回戦オーラスにドラの白アンコでリーチ!1回戦のラスを帳消しにするため、高打点を選ぶと見事にツモ。この親被りで三原選手は3着に落ちてしまう。松ヶ瀬選手にとっては値千金。

2回戦終了時
青山 +45.9 松ヶ瀬 +2.3 三原 -22.4 張 -25.8


青山さん以外の3人はほぼ着順勝負に。
3回戦は松ヶ瀬選手が三色ドラツモなどで先行。しかし青山さん、更に三原選手も追いすがる。

 

オーラス

青山 36200 松ヶ瀬 35000 張 19900 三原28900

 

松ヶ瀬選手と・三原選手の差は6100。ところが先制リーチは青山さん!役なしドラドラの待ちで勝負を決めに来た。更にはラス親の三原選手も追いかけリーチ!
苦渋の選択を迫られる松ヶ瀬選手。三原選手の一発を消し、勝負したのは

青山さんからのロンの声。5200ならば松ヶ瀬選手はセーフ。裏が一つ乗れば三原選手が通過となるが・・・
松ヶ瀬選手の生命力がわずかに勝る結果となった。

通過者:青山征司
     松ヶ瀬隆弥

◎4卓

 

左:板川和俊(日本プロ麻雀連盟) 中央: 鷲見まゆ(北海道予選) 

右:水巻渉(最高位戦) 手前:坂本大志(最高位戦) 

青山さんと同様北海道代表としてここまで勝ちあがってきた唯一の女性選手の鷲見さん。1回戦でトップを取るが、2回戦は1回戦と全員が正反対の着順で、最終戦は4名全員が着順勝負となる。
2回戦終了時
板川 +5.1 水巻 +1.5 坂本 -1.2 鷲見 -5.4

最終戦、鷲見さんが微差のトップ目で南入するも、南2局勝負が動く。
親の坂本が12000、4000オールとほぼ通過を磐石に。12000を放銃してしまった板川選手は相当苦しくなった。


熾烈な2着争いは水巻と鷲見さんの一進一退の攻防を繰り広げ、迎えたオーラスは鷲見38200、水巻33600とわずかに4600差。しかし最後は水巻が条件を満たし、ギリギリのところで通過となった。
惜しくも涙を飲んだ鷲見さんだが、ここまでの活躍に健闘を称えたい。
 
通過者:水巻渉
     坂本大志

 

 

 

☆準決勝
いよいよトーナメントも最終準決勝に突入。果たして決勝への切符を手にするのは?

 1卓 

   

        佐藤 聖誠                  青山 征司 さん

 

   

       坂本 大志                     平賀 聡彦


◎1回戦
超超攻撃的スタイルを持つ平賀が、開幕から猛スパートをかける。
青山さんのタンピン高め一盃口リーチに一発でドラをかぶせて追いかけリーチ。

2600オールを引くと更に4000オール、12000と遥か天上人に。

 

12000を放銃して苦しくなった青山さんだが、

 リーチ一発ツモ  ドラ

この3000/6000で追いすがる。

發王佐藤も南2局、

   ドラ

 

7巡目にこの本手リーチ。これには誰も向かっていけない。そう、あの人以外は。


70000点のトップ目平賀。これだけ点棒を持っていても貪欲に手を進めてゆくと、佐藤の当たり牌である
をアンカン、リンシャンツモをツモりあげ2600オール。
平賀は1回戦を8万点近いトップで終了する。

1回戦 平賀+79.6 佐藤-4.8 坂本-25.6 青山-49.2

◎2回戦
平賀のターンは終わらない。
東1局からまたしてもドラアンコリーチ。ツモって3000/6000
東2局には坂本が高め三色ドラ1のリーチを放つも、既にテンパイを入れていた平賀はメンホンチートイドラドラで追いかけツモ切りリーチ!!
これは流局するも、すぐさま次の親番では6000オール。

青山さんも果敢に仕掛けてゆく。ポン、ポンで


   ポン   ポン   ドラ


テンパイ気配が濃厚な中、ドラの
をツモると少考後に打
も打たれ、単騎がほぼほぼ濃厚になってくる。流石にここまでわかりやすいと誰にも打たれないので待ち頃の単騎に変えるか?と思っていると平賀があっさりと打で8000放銃。
暴走モードの平賀はとにかく良くアガリ良く打つ。常にオリないという訳ではないので、独特な押し引きバランスを持ち合わせているのだと思う。


南1局、親の佐藤の
ホンイツ仕掛けを3900で平賀がかわすも、次局は佐藤の逆襲。

  リーチロン  ドラ

 

を先切り決め打ちしてある美しい8000を平賀から取り返す。

それでもまだまだ平賀の背は遠い。
青山さんも乾坤一擲のこの仕掛けを入れるが、坂本が必死の2900でかわす。


  ポン

親の坂本は続く1本場に

  ドラ

 

この超本手リーチが入る。普段淡々としたタイプに見える坂本だが、心なしか気持ちが乗っているように見える。祈るように引き寄せた牌は、トップを捉えようかという8000オール。惜しくも続かず2着に終わるが、かなり決勝が見えてきた。

2回戦 平賀 +50.9 坂本 +30.1 青山-25.7 佐藤 -55.3
トータル 平賀 +130.5 坂本 +4.5 佐藤 -60.1 青山 -74.9

◎3回戦
もはや前に出るのみの發王佐藤と青山さん。

まずは東1局、6000オールを含む3連荘で佐藤が一気に6万点近いダントツに。
逆に坂本は苦しい展開が続く。


東4局には青山さんもリーヅモドラドラで4000オール。
坂本はついにラス目に落ちてしまう。
しかし、この時坂本は驚くほど冷静だったと後に語ってくれた。

「特に自分に悪手があったとも思えなかった。ラス目とはいえ、差は60ポイント。トップ・3着であれば25000点差内につければよいので、例え瞬間トータルまくられても最後まで条件は残るだろうし、焦りはあまり無かった。」

決勝のかかった1戦で、追い抜かれれば誰しも焦りは出るだろう。坂本は同年代ではタイトル戦決勝経験など場数はかなり多く踏んでいる。そのお陰もあるのだろう。

オーラスを迎えて、点棒状況は
佐藤 48900 青山 39000 平賀 17100 坂本 15000

平賀は通過確定として他3者の通過条件としては、

佐藤・・・このまま終われば通過。
青山・・・ラス親なので連荘可能。佐藤をまくれば通過。
坂本・・・佐藤から5200直撃か満貫ツモ。

一点追う立場となった坂本。その手牌は

   ドラ

 

ここからツモで早々にドラのを放してゆく。
リーチツモ一通が本線、メンタンピンイーペーコーなども視野に入れた形か。
ツモ
、打でイーシャンテンに漕ぎ着ける。

親の青山さんはというと、

  ドラ

 

非常に苦しい。ここからと重ねるとチャンタ三色ドラドラに照準を絞ってを仕掛けてゆく。

両者の望みを無情にも断ち切ったのは平賀。
軽く仕掛けて1000点を青山さんから討ち取り終了。
佐藤も手牌から平賀に差し込む準備は出来ていたので時間の問題だったろうか。

通過者:平賀聡彦
     佐藤聖誠

一般予選からここまできた青山さんだったが、決勝手前で惜しくも敗退してしまった。競技麻雀はほとんどやったことが無いそうだが、その麻雀は力強く、またとにかく麻雀を楽しんでいる姿が印象的だった。是非また来年チャレンジして頂きたい。

2卓 

 

    

        水巻 渉                     山田 昌和 さん

 

   

       松ヶ瀬 隆弥 選手                嶋村 俊幸

 
◎1回戦

打点力が高いイメージの4名が揃った感のある2卓。
それを裏付けるように、開幕から水巻の2000/4000、松ヶ瀬選手のタンピンドラドラ8000と満貫クラスの応酬が続く。


例えば松ヶ瀬選手。
南3局1本場南家 ドラ



この形から5巡目の
をスルー。すぐさまダブをアンコにして一気に手がしまる。
結局リーチを受けてオリに回るのだが、門前打点志向の高さが伺える。

皆が皆こんな調子と言って、それでは攻撃的なのかというとそんなことは無く、


南2局に松ヶ瀬選手が
のシャンポンリーチ。そこへ既にダブドラ1のテンパイを入れていた嶋村がを掴む。
正直なところ嶋村はすんなり押すだろうと思っていた。少なくとも筆者はそういったイメージを抱いていた。
しかし長考の末撤退を選択!結局もつれて流局となる。
全員が非常に高い精度の読みと押し引き、そして高い得点力を持ち、正に一進一退の攻防を繰り広げる。

1回戦は満貫ツモ3回で一歩抜け出した水巻がトップを攫った。

水巻 +53.7 松ヶ瀬 +12.6 嶋村 -17.9 山田 -49.4

 

 

◎2回戦
東1局、このままでは終われないと、起家の山田さんがペン
一通リーチ。
気合を入れてこれをツモりあげ、4000オール。

東2局、南家松ヶ瀬選手がこの仕掛け。


   ポン  ドラ


この仕掛けに水巻が珍しく長考。そして打ち出されたのは満貫の当たり牌の

思わず顔をゆがめる水巻。終了後も「あの
は打っちゃだめだったな」と省みていた。

その後も清一仕掛けから余り牌で8000放銃など水巻の点棒はどんどん出て行く。

オーラスを迎えて
嶋村 43600 山田 40000 松ヶ瀬29700 水巻 6700

山田さんに超速のテンパイが入ったのは5巡目。



早い高いの三暗刻。ツモ
で両面に振り変わるとすぐに嶋村から6400。
1回戦とは正反対の着順で勝負は振り出しに戻った。

2回戦終了時
松ヶ瀬 +2.3 水巻 -0.4 嶋村 -0.7 山田 -3.0

 

 

◎3回戦
東1局。先のラスから完全に切り替えた水巻が猛攻。


まずは先制リーチを一発で嶋村から討ち取り12000。

この放銃、嶋村の選択次第ではアガリのあった牌。この放銃は嶋村にとっては非常に悔やまれるだろう。

 

失った点棒は取り返す― 次局は嶋村渾身のリーチ。

 

   ドラ

 

松ヶ瀬のあわせた宣言牌を水巻がチー。そして、完全に手詰まった松ヶ瀬選手から放たれた牌にロンの声がかかる。

   チー   ロン

あがったのは親の水巻。決定打ともなりうる12000。開局から大きく場が動く。


しかし放銃した松ヶ瀬選手もしぶとい。東4局の親番でじわじわと点棒を回復。2着目の山田さんまであとわずかまで戻してくる
この二人の攻防は非常に激しいものとなった。

山田さんが白・ホンイツをリーチの松ヶ瀬選手から直撃して差を広げれば、
松ヶ瀬さんもヤミテンの5200を出アガリ追いすがる。


オーラスを迎えて、2着目山田さんと3着松ヶ瀬選手の差は11000点。
水巻はほぼ当確、嶋村はハネマン直撃・倍満ツモクラスが必要なのでかなり厳しい。
勝負は二人のもの。松ヶ瀬選手もラス親だがアガリ止めがないのでやや苦しいか。

松ヶ瀬選手は早めから積極的に仕掛けていく。


   ポン   ドラ

ここからドラのを重ねると打としてバック・あわよくばトイトイへと渡ってゆく。

この仕掛けを見た水巻は瞬時に反応。瞬く間に2副露して300/500。自力で勝負を決めた。

通過者:水巻渉
    山田昌和

決勝進出者

佐藤聖誠(現發王位)
「見ていても、勝てる気が沸かないほど水巻さんが本当に強い。
 ただ、今日は苦しい中なんとか通過することが出来たので、連覇したいです!」

平賀聡彦
「ビッグタイトルの決勝は初めてで、すごく気持ちが高ぶってます。

己を信じて真っ向勝負!決勝でも思いっ切り暴れます。」

 

水巻渉
「久々に決勝という舞台に行けて嬉しいです。
 まずは今日飲みすぎないことだけ気をつけて明日に備えたいと思います。
 勝つZ!!!」

山田昌和
「少しでも長く楽しみたいという気持ちだけ持っていましたが、決勝に来ることができて嬉しい。
 タイトル戦の決勝はかれこれ5,6回目になるのですが、まだタイトルを獲る、という経験はありません。良い戦いが出来ればいいなと思います。」

(文中一部敬称略)

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