9月29日(日)、第13期女流最高位決定戦第1節が開催されました。
昨年までは最終日のみニコニコ生放送で生配信しておりましたが、今年は新たな試みとしてアルバンスタジオ様のご協力の下、ニコニコ生放送「スリアロチャンネル」にて第1節から生放送を行いました!
14000人を超える多くの方にご視聴頂き、誠にありがとうございました。
運命の最終節は10月14日(月)15時から、ニコニコ公式生放送にて生配信されます!
どなた様も無料でご視聴いただけますので、皆様是非ともご視聴ください!
日時 : 10月14日(月祝) 15時放送開始
実況 : 小林未沙
解説 : 新津潔
水巻渉
放送URL: http://live.nicovideo.jp/watch/lv154858170
第13期女流最高位決定戦を戦うのは以下の4名。
花本まな 第12期女流最高位
小池美穂 準決勝1位
西嶋千春 準決勝2位
石井あや 準決勝3位・第10期女流最高位
花本 まな 女流最高位 小池 美穂 選手 西嶋 千春 選手 石井 あや 選手
準決勝レポート・選手の直前インタビューはこちら
【挑戦者決定!!女流最高位戦準決勝レポート】
☆1回戦☆
「緊張」から来るものかはわかりませんが、やはり序盤も非常に慎重な幕開けとなりました。
やや意外かもしれませんが、4人の中で最も硬かったのは女王・花本まな選手に見えました。
見ていて思い出したのは、昨年の女流最高位決定戦。
花本選手の長所は、一手で押し返して前に出られる手組と、思い切りのいい攻め。それでいて点棒状況を意識した押し引きのバランス。
それが、この日はどこか不安定。
女王にのしかかる重圧は誰よりも重く、また一年間の公式戦ブランクは余りにも大きい。それを補うべく一年間誰よりも勉強し、予選から観戦してテンションを合わせようともしていた花本選手ですが、想像を上回るプレッシャーがあったのでしょう。
それは、東1局から如実に現れていたようにも見えます。
親の小池選手が
ドラ
で先制リーチ。
それに対し、石井選手、西嶋選手はなんとかギリギリまで戦い、ドラ単騎でのテンパイを入れるも終盤危険牌を引いてオリ。
一方、花本選手唯一人が配牌から遠いホンイツを見たオリ気味の進行をしており、一度も形になることがありませんでした。にも関わらず毎巡のツモで手が止まっていたことにも花本選手の緊張を象徴しているでしょう。
小池選手は今年で入会10年目にして、初の決定戦。
リーグ戦も欠かすことなく出場している選手。
正直、開始前こそ緊張が見てとれた小池選手でしたが、始まってからはすっと自然に勝負に入り込めていました。
東1局の先制リーチや、
東2局には
ツモ
500/1000ながら嬉しい初あがり。悩む部分も少なく手牌が後押ししたのもあるのでしょうが、やはり10年間の経験からくるものが大きかったのではないかと思います。
そして、決勝の経験ではこの中では群を抜いているのが石井あや選手。
常に穏やかで、緊張知らずに見える石井選手は、この日も序盤からその強さを遺憾なく発揮。
押すべき所を押し、引くべきところを引く。当たり前の事を、高い完成度でやってのけるのが石井選手の強さ。
その石井選手は東3局北家で
一発ロン ドラ 裏
この満貫でトップ目に立つと、南1局ではメンタンピン即ツモ裏の跳満で一気に突き放しにかかります。
それを追うのが小池選手。花本選手から満貫を出アガリ追随。
結局石井選手には届かなかったものの、普段通り・あるいはそれ以上にポテンシャルを発揮出来ているように感じました。
この半荘、出アガリでの決着は満貫2回のみ。
そのどちらもが花本選手の放銃でした。1回目は親番での追いかけリーチ宣言牌での放銃と仕方ない部分も多かったのですが、この2回目。
小池選手のリーチを受けて
ドラ
ここから發をポンして打。次巡のをツモ切り放銃したのですが、非常に疑問が残ります。
点棒が無いラス目とはいえ3着とは1万点、2着目と15000点差で親番も残る子番。
普段の花本選手であれば仕掛けない事の方が多いようにも思う。なるべく早い内にバランスを取り戻さねば、このまま終戦ということもあるだろうが・・・
1回戦スコア
石井 42.7p
小池 20.5p
西嶋 ▲18.8p
花本 ▲44.4p
☆2回戦☆
東2局2本場
1回戦は中々いいところが見せられなかった西嶋選手。
ツモ ドラ
ここから、七対子決め打ちの打。
しかし来る牌来る牌が想像を超えた重なりを見せ、結局
ツモ
こんなフリテンの四暗刻になってしまった。
しかし西嶋の本領は、スリムな手牌進行からの押し返し。
好形を求め先切りを多用しながら、放銃を避け安全牌を手牌に置くスタイル。
こういった結果もある程度は織り込み済みかもしれない。
その分、型にハマった時の爆発力も十分あり、安定感もかなりある。
東2局3本場
チー ポン ツモ ドラ
東3局1本場
ポン ドラ
ようやく訪れた初アガリから連続満貫和了。ようやく西嶋選手もエンジンがかかってきようだ。
しかし、このあと西嶋選手は小池選手のリーチにテンパイ打牌で満貫放銃。
ロン ドラ
差が縮まると、南2局2本場。
一発ツモ ドラ
この倍満を一発でツモったのは小池選手。一気に西嶋選手をかわしてトップを獲得。これが決定戦の厳しさか・・・
何も出来ずに箱割れ寸前になった花本選手でしたが、ラス前にドラ単騎七対子をリーチすると、終盤に完全に手詰まった石井選手からこぼれてなんとか12000をアガリ素点を戻しました。
2回戦スコア トータルスコア
小池 54.5p 小池 75.0p
西嶋 14.4p 石井 19.9p
石井 ▲22.8p 西嶋 ▲4.4p
西嶋 ▲46.1p 花本 ▲90.5p
花本選手は2連続ラスで早くも危険信号。
どちらもオーラスに大きなアガリは見せるものの、内容としてはかなり厳しく、復調の兆しはまるで見えません。
☆3回戦☆
今期女流予選開始時に、観戦に来ていた花本選手のコメントで、オフレコにしていた部分がある。
「この1年間、連覇したいとかって言葉は他の人にはほとんど口にして来なかったんです。
去年女流最高位を取って、『運だけで獲れた』なんて他の人から言われることもありました。自分でも実力では他の3人に劣ってると思っていたし、嬉しかったけど怖かったです。
だから、絶対に、絶対に連覇してやると思った。誰にも負けない。今度こそ自分自身の力で勝ったって、観てる人全員に思ってもらいたい。」
いつも自分に自信がなさそうだった花本選手が滅多に見せない「勝ちたい」という確固たる意志。
そして、ようやく花本選手が目を覚ます。
東1局、先制リーチは絶好調の小池選手。
ドラ
しかしこの時、石井選手もテンパイ。
西嶋選手も七対ドラドラをテンパイ中。
これを受けて花本選手は
ツモ
から今通ったばかりの打。
字牌が場に高く不穏な空気、石井選手も押しているのも見え、後々よりオリやすいようにキッチリオリ手順を踏む。
そして1本場、西嶋選手のリーチにドラドラで追いかけると満貫ツモ!初めて点棒を先行します。
しかしすぐさま石井選手にメンタンツモドラの4000オールでかわされると、続いては西嶋選手。
ポン
ここからツモでチンイツへ移行して満貫ツモ。
大きな分岐点は東3局。
ドラ
小池選手が先制のドラ暗刻リーチ!カンテンパイから宣言牌がでのリーチ。
これにうまく追いついた花本選手が追いかけ一発ツモ!
一発ツモ ドラ 裏
最高の跳満をモノにします。
続く親番の花本選手。
ドラ
から2枚目のを微動だにせずノータイムでスルー!
つい鳴いてしまいたくなるが、点棒を持った状況で、これを鳴いて軽くしてしまうのは勿体無いと解説の石橋選手、新井選手もこれには賞賛。
そして目論見通りにこのヤミテンを入れる。
同時のことだった。
ツモ ドラ
現在ラス目の小池選手。前巡の打牌は打。既にリーチに踏み切っていてもおかしくない状況でヤミテンにして掴んだピンズ。
小池選手の選択は打での撤退。すると次に掴んだのはでテンパイ復活!
仮に先制リーチを打っていたら・・・
あくまでも冷静な小池選手のファインプレーが光ります。
その後西嶋選手が細かくアガリ加点。花本選手が大トップ、小池選手がラスとなり差がぐっと縮まります。
3回戦スコア トータルスコア
花本 44.8p 小池 23.7p
西嶋 17.5p 西嶋 13.1p
石井 ▲12.0p 石井 7.9p
小池 ▲51.3p 花本 ▲45.7p
☆4回戦☆
1、2回戦と同一人物とは思えない花本選手が3回戦に引き続き好調をキープ。これまでの鬱憤を晴らすかのように手が軽くなります。
上下動が激しい花本選手とは対照的に、ここまで終始安定した戦いぶりを見せてきた石井選手。
東2局に満貫をツモると、東4局の親番では小池選手のリーチ、花本選手の仕掛けをかいくぐり、
ツモ ドラ
対応してまわってのこの技巧派な4000オール。
花本選手・石井選手のツモり合いが続き、4回戦は完全に二人のマッチレース。
石井選手が微差で花本選手を追いながらオーラスを迎えます。
そのオーラスのこと。
ラス親の石井選手は仕掛けてテンパイ。そこへ西嶋選手のリーチが襲いかかります。
ドラ
3着西嶋選手までは3万点以上の差。石井選手も当然トップを狙い押しますが、一発でを掴んでしまい放銃。すると裏ドラにはがペロリ。・
リーチ一発ドラ6の倍満で、順位こそ変わらないものの手痛い一撃を受けてしまいました。
4回戦スコア トータルスコア
花本 50.9p 石井 18.6p
石井 10.7p 花本 5.2p
西嶋 ▲10.5p 西嶋 2.6p
小池 ▲51.1p 小池 ▲23.7p
2連ラスを引いた花本選手が2連勝で盛り返し、逆に70ポイントあった小池選手が連続ラスで唯一のマイナスに転落。
しかしほぼ横並び一線の戦いとなりました。
非常にツモでの決着が多く、出アガリでの決着はかなり少ない戦いとなった今期。守備寄りかつ、門前打点重視な4名が集まったため、ふと気を抜けば一瞬で勝負が決まってしまいそうな印象もあります。
最終節にも是非ともご期待ください!