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【最高位戦Classic本戦1日目レポート!!】

 

夏の訪れを感じさせる厳しい日差しの中、涼を求めて週末で閑散とした八丁堀の地下に入る。

すると、そこにあったのは外気より遥かに熱い空間。勝負の熱に浮かされ、懸命に摸打を繰り返す選手たちがそこにいた。

 

最高位戦Classic――数ある麻雀プロ団体の中で最も歴史のある最高位戦日本プロ麻雀協会。15年前、 一般に広く受け入れられるよう一発裏ドラを導入するまでの22年間その歴史を作ってきた旧最高位戦ルールによるタイトル戦である。一発・裏ドラ・カンドラ 無し・ノーテン罰符無しのアガリ連荘。元祖競技麻雀ともいうべきこのルールは未だに一部には根強い人気を持っている。

今年で第7期を迎える最高位戦Classicは、今年から本戦の人数が48名と大幅に増え、システムも若干変わっている。それではまずは本戦のシステムからご紹介しよう。

 

■本戦システム

 全二日間開催。

48名を16名3組に振り分け、総当たりの大会形式で行う。

 

・1日目全5回戦。終了時各組1位が準決勝進出、14~16位の下位3名が敗退。

 

・2日目全5回戦。初日で残った各組12名、計36名で開催。初日のポイント持越しで行う。

2回戦終了時、各組1位が準決勝進出、下位3名が敗退。(残り各組8名計24名)

4回戦終了時、各組1位が準決勝進出、下位3名が敗退。(残り各組4名計12名)

各組残る4名で最終5回戦を行い、1位が準決勝進出。各組次点より一番ポイントの多い1名が準決勝進出。

 

1日目終了時から上位1名、下位3名が抜けていくサバイバルマッチの様を呈してくる。

気を抜けば途中で脱落。大きく叩けば本戦終了を待たずに勝ち上がりが決定する。半荘半荘が常に正念場となってくるこの戦い。名乗りを上げたのは以下の48名。

 

 1組

佐藤 崇
須田 良規
土田 浩翔
中嶋 龍太
佐藤 聖誠
五十嵐 毅
菊崎 善幸
矢島 亨
濱 博彰
大川戸 浩
齋藤 敬輔
山田 田
多聞
下山 和生
吉村 豪介
村田 光陽

 2組

嶋村 俊幸
有賀 一宏
村上 淳
土井 泰昭
近藤 誠一
三ヶ島 幸助
谷井 茂文
山田 昌和
平井 淳
松ヶ瀬 隆弥
西嶋 千春
嶋村 恭介
鳥居 裕一
日向 藍子
稲岡 佑介
橘 哲也

3組

石橋 伸洋
新津 潔
坂本 大志
冨澤 直貴
下出 和洋
平林 佑一郎
沖野 立矢
佐久間 弘行
田中 実
松田 猛
大浜 岳
堀 慎吾
栗田 恭宏
コウ
竹村 淳
山内 啓介

 各組8名が1・2・3組。8名が4・5組の予選を通過してきた選手たちである。

各組の戦いの模様をハイライトでご紹介しよう。

 

 ☆1組

 

・1回戦から抜け出したのは日本プロ麻雀協会の若きAリーガー、矢島亨。

持ち味の攻撃力を存分に発揮し、1回戦から56800の大トップ。

足切りもあるこの本戦、早めにポイントを持ってしまえば気の持ち方として相当楽に戦える。

反対に苦しいスタートとなったのがプロ麻雀棋士会の大川戸。初戦7100のラスで-35ポイント。早くもがけっぷちか。

 

 

・2回戦

初戦27700持ちという厳しいラスを引いてしまった101競技連盟の村田。

その村田はまたしても展開。24200のラス目で南2局の親番を迎える。

するとここから怒涛のアガリを見せ44600のトップ目にまで踊り出た。更なる加点を狙う村田に勝負手が入る。

 

 ドラ

 

他家をケアしながらも しっかりと手役を作り、ツモでリーチに踏み切った。これが成就すればこの半荘は決まったも同然か。。。しかし!この時すでに大物手のテンパイを入れていた者がいた。RMUの山田である。

 

 

 

2巡前から国士無双のテンパイ。もちろん他家も気付いてはいるだろうが、まだテンパイはしていないと見ているのか幺九牌を打ち出してきているためアガリも見込めそうなところで親リーを受ける。

もちろん早々は降りることはないだろうため、二人のめくりあいになるかと思われたが・・・

親リーの同巡なんと3人目、大川戸からもリーチが入る。

 

 ドラ

 

これに山田が一発でで捕まってしまう。メンタンドラの5200。

Classicルールは早めに降りるケースが多く、手がぶつかり合うことはあまり無いが、仮に数人がぶつかり合うとこのような勝負手でのギリギリでの斬り合いになり見ていて非常に面白い。

 

 

・3回戦

ここまで2着・2着と着実にポイントを伸ばしてきた土田の東3局。

 

 ドラ

 

ドラ暗刻の勝負手。対面の齋藤がをポンしているが、待ちとしては悪くはない。

淡々とペースを変えずツモ切りを続ける土田だが13巡目にもってきたでピタリと止まる。

長考の後ツモ切ると齋藤の1000に放銃。まぁ、そうだろうなといった顔で点棒を払う土田。ちなみに前巡にも無筋を切り飛ばしているのだが、これはノータイムだった。見ていた筆者には差があまり感じられなかったのだが、やはり抜群の読みの精度を感じさせた。

 

 

・3回戦南3局 親番 五十嵐 33400

 

1.2回戦と鋭い攻めで連帯を重ねたプロ麻雀協会代表の五十嵐。

守備型として名を馳せた五十嵐だが、ここ数年見たところかなりの攻撃型へシフトチェンジを遂げている。

 

 ドラ

 

トップと7700差で迎えた親番。7巡目に上家から打たれたをチーすると、次巡ツモ。かなりしぶしぶといった様子打とし、待ちの2900テンパイを組む。

そのときを鳴かせたトップ目の下山は

 

 ドラ

 

このイーシャンテン。を叩いて軽く局を進めたい場面ではあったが、五十嵐の仕掛けにすぐに反応。ツモもテンパイを取らず打、ツモとまわしうち、その後もすぐにを抜いておりていった。

下山は最高位戦に所属して1年半と浅いが、今季B2リーグに昇級を決めた有望新人である。かなり繊細かつ丁寧な打ちまわしをする選手で、Classicは向いていそうだ。この日52.6Pを積み上げ1日目を終えて4位につけた。

 

――本戦1組 1日目終了時スコア――


1     矢島 亨    78.5
2     齋藤 敬輔    78.1
3     土田 浩翔    69.0
4     下山 和生    52.6
5     五十嵐 毅    19.0
6     佐藤 聖誠    18.0
7     菊崎 善幸    3.2
8     大川戸 浩    -1.2
9     佐藤 崇    -7.6
10     多聞    -23.9
11     村田 光陽    -25.3
12     山田 田    -26.6
13     中嶋 龍太    -30.0
14     濱 博彰    -45.7
15     吉村 豪介    -74.2
16     須田 良規    -80.4

 

協会の矢島が早くも準決勝進出を決めた。2位の最高位戦齋藤はわずか400点差で1日目での通過を逃すが、2日目かなり有利なポジションで迎えることとなる。 最高位戦の土田・下山が後に続く形となった。2日目の2回戦終了時1位が準決勝に抜けるため、この4名の1,2回戦は注目である。

協会の濱・須田、棋士会の吉村は1日目にして無念の敗退となった。須田は予選1組で奇跡の通過を決めたので今回もあるかと期待していたのだが、残念である。

 

☆2組

 

第5期Classic覇者の村上、昨年度決勝進出の三ヶ島、山田さん、2期Classic決勝の嶋村、4期Classic決勝進出の有賀、とClassicルールで実績を残す選手が多く集まった2組。

 

 

・1回戦。2着目で迎えた南3局の一般参加山田さん。

 

 ドラ

 

ツモれば跳満の超勝負手。しかしなんとが1枚、は2枚切れており自身の河にはが。相当アガリは厳しくも勝負手なのである程度は押すしかない。願わくばメンホンチートイへの変化だが、、、

上家のRMUの松ヶ瀬はピンズ模様の仕掛け。

 

 ポンポン

 

ここに打ちづらいを引き打。ドラとのくっつきに受けた。

このまま流局かと思われたが、もってきたを止めることが出来ずに山田に8000の放銃。

松ヶ瀬は痛恨のラスに。山田はなんとか2着のRMU谷井をかわすことができトップとなった。

 

別卓では最高位戦嶋村俊幸が55000の大トップ。余談だが1回戦は3組でもプロ麻雀協会の大浜が55200のトップをとるなど全ての組で55000オーバーのトップ者が現れ、波乱の予感を感じさせた。

 

 

・2回戦東3局

重厚かつ豪胆な麻雀の嶋村。打点が見込めそうな手牌は必ず仕上げてくる。

 

 ドラ

 

ヤミテンで押しているとを振り変え高めツモ跳ねに。惜しくもこれは流局してしまうのだが、最終手番でツモって来たドラをなんとツモ切り!!もちろん周囲3人がオリている気配だったからだろうし、うっかり出るかもしれないが、ほぼアガリがないところでもこの胆力は凄まじい。

 

 

そのまま嶋村はアガリを重ね40600のトップ目で迎えた南3局。

・南3局5本場 北家ドラ

 

 

このリーチ。なんと2巡目の出来事である。が既に1枚打たれている上トップ目なので片アガリのヤミテンでもいいかと思うが、あくまでも強気に出た。「第1ツモ、第2ツモがだからノリノリで曲げちゃったな!」とは本人の談である。しかしながらが場に顔を出す前、6巡目に早々と2着目谷井の追いかけリーチを受けてしまう。

 

 

結局嶋村が当たり牌を掴み3900は5400。決定打となる直撃でトップ谷井、2着嶋村となった。

 

 

 ・3回戦、事件が起きる。

最高位戦の新人稲岡が親番で国士無双和了!掴んでしまったのは最高位戦嶋村恭介。先に挙げた嶋村俊幸の息子である。先制リーチ後の無防備な所をばっさりと切られた。 嶋村はこの後も点棒の外出が止まることなく、箱下40000点のラスを引き、敗退となってしまう。

一方あがった稲岡はこの役満で一気に順位をあげるも、4回戦では南2局からトップ目→ラス目に転落するなど厳しい洗礼を受けてしまう。

 

 

予選4、5組を勝ち上がった西嶋・日向の女流選手が相見えたのもこの2組。本戦に残った女流選手はこの二人だけなので期待が寄せられる。

 

・5回戦 南4局 西嶋34400 有賀33000 日向27300 土井25600

親番の西嶋が、

 

 ポン チー ドラ

 

この超弩級の仕掛けを入れる。更に白を加カン。これに敢然と立ち向かっていったのが日向。

 

 

条件クリアの勝負手なのでも切り飛ばしてひたすらに押し続ける。

軍配は日向に。ツモの2000-4000でこの日初トップ。プラスで1日目を終えた。

西嶋は親被りで3着に転落してしまうが、トータルでは21pのプラス。準決勝が狙える位置につけた。

 

――本戦2組 1日目終了時スコア――

1     松ヶ瀬 隆弥    53.6
2     谷井 茂文    50.9
3     鳥居 裕一    48.8
4     山田 昌和    37.3
5     平井 淳    35.5
6     嶋村 俊幸    26.2
7     西嶋 千春    21.1
8     近藤 誠一    7.4
9     日向 藍子    3.3
10     橘 哲也    -9.5
11     稲岡 佑介    -10.6
12     村上 淳    -19.1
13     三ヶ島 幸助    -33.0
14     有賀 一宏    -42.2
15     土井 泰昭    -75.0
16     嶋村 恭介    -95.7

 

4回戦終了時まで70ポイント近くもっていた谷井・山田が5回戦ともにラス。最終戦見事トップを獲ったRMUの松ヶ瀬が準決勝進出を決めた。

2組は1組・3組に比べて上下のポイント差が少なく、2日目の結果次第で大きく順位変動がありそうなので注目していきたい。

 

 

☆3組

 

圧倒的だったのが第4期Classicの坂本。1-1-2-1-1と4トップで94.6ポイント。悠々と準決勝に駒を進めた。「とにかく今日はついてた。すごく恵まれていたと思う」と語っていたものの、それだけには尽きない。押し引きのバランス・思い切りの良さ、そして打牌選択の丁寧さなど非常に完成度が高 い。再びの戴冠に向けて大きく前進した。

 

・2回戦東2局

北家の坂本が1巡目から仕掛けていく。

 

 ポン ドラ

すぐさまを引き入れ、すぐにアガリが見込めるかと思うとわずか5巡目に

 

 ロン ドラ

 

親の沖野が下出から3900。1手変わりタンピン三色まである手だが、、しかし早い。

下出はこの後石橋のニ盃口の8000に放銃などで大きく点棒を減らしてしまい痛恨のラス。

坂本は要所を制して危なげなくトップをとる。

 

 

・2回戦南3局3本場

親番の新津に大物手が入る。配牌から字牌を丁寧に重ねると、

 

 ポン→カン

 

倍満から役満まで見えるこの2シャンテンに。続いても鳴いてイーシャンテンに。

しかし北家平林が索子の混一をツモあがり切り抜ける。

 

 チー ツモ

 このあがり、直前にを打ってのツモ。親の新津の仕掛けにが切りづらく、冷静に現物のを打って対応したのだろうがこれが、これが見事に上手く行った形となった。

 

3回戦東4局4本場 冨澤の手牌。

ドラ

 

北家の竹村がと仕掛けてタンヤオ模様だが、ここにをツモってきた冨澤は打でチートイツに決め打つ。この選択がズバリでツモですぐに単騎のチートイツをツモりあがる。冨澤は攻撃型でかなり押しの強いイメージがあるのだが、他家には打ちづらいを抱えチートイに決め打つなど非常に繊細ですばらしい打ちまわしを見せてくれた。冨澤は1回戦こそラスだったがその後4連勝を飾り、見事3位で1日目を終えた。

 

 

・最終5回戦、奇しくも暫定上位陣4名が激突した。

起親から暫定3位コウ(56.6p)4位沖野(41.7p)2位大浜(69.6p)6位新津(17.4p)

 

先行したのは大浜だったが、東3局、新津が

 

ツモ

 

 この2000/3900で追撃。

 対する大浜は南1局に

 

 ドラ

 

このリーチ。「悩んだが、ツモれて1300/2600なら決定打になると思った」とは本人談だが、この時すでに親のコウがと2副露しており、親の押し返しやドラそばで出辛いことなどを考えると相当に怖いリーチである。

しかし、リーチ後親のコウが更に第1打フリテンのをポンして前に出ると、挟まれた新津からがこぼれ出る。競っている相手からの嬉しい直撃となった。

 

南2局 親番沖野23700 大浜39100 新津32700 コウ24500

コウが7巡目にドラのを叩き切ってのリーチ。

 

 ドラ 

 

これも若干怖さがあるリーチである。待ちこそある程度良い両面だが、初牌のドラを切ってMAX500/1000の1300リーチ。親番がなくなりあとがなくなったことが背中を押したか。

このリーチに対し親番の沖野がすぐさま追いかける。

 

 

高め三色の本手リーチ。 沖野もこの親番で大浜を差したいところ。点棒を持っている二人がオリにまわり、勝負は二人のめくり合いとなったが、13巡目、沖野がを掴み放銃となった。

 

続く南3局は流局し、迎えたオーラス。新津がカンの789三色をツモあがり2000は2100オールでついに大浜をかわす。

 

迎えた3本場

新津39000 コウ24700 沖野19300 大浜37000

 トップ目に立った新津が軽快に仕掛ける。

 
 ポン  ドラ

ドラにくっつけば最高だったが、ツモで少考の後打でテンパイ。すると沖野がをポン。一気に場に緊張が走る。沖野は更にチーポンと仕掛けてゆきついにテンパイを果たす。

 

新津 ポン

沖野 ポンチーポン

 

索子のめくり合い。枚数的には新津のの方が若干有利だな、と思いながら見ていると沖野がツモ。沖野はしばし考えると、打で新津と同テンに受け替えた。これには正直驚いた。4枚まで仕掛けたこの状況ならばわざわざ手出しを入れて待ちを変えるのはデメリットが大きいし、何よりの危険度はほぼ変わらない。2000/3900までは耐え切れる新津はツモで打とするも、次の無筋で安牌を中抜きする。

そして沖野のツモは。1着順と素点で12ポイント強の大きなアガリだった。

 終了後、何故を切ったのか、どこの情報で待ちを変えたのか聞いてみると、返ってきたのは意外な答えだった。

「普段なら絶対にはツモ切る。でもあの時ふと、飯田さんが『こういう時は後から引いてきた牌を残したほうがいい』って言ってたのを思い出した。その言葉は特に普段実践してるわけじゃないんだけど、あの時はなんでか思い出してそうしたんだよなぁ」

 

 

――本戦3組1日目終了時スコア――

1     坂本 大志    94.6
2     大浜 岳    78.4
3     冨澤 直貴    63.5
4     コウ    37.1
5     沖野 立矢    35.5
6     新津 潔    34.3
7     山内 啓介    7.0
8     平林 佑一郎    1.3
9     堀 慎吾    -6.8
10     栗田 恭宏    -28.6
11     竹村 淳    -33.6
12     田中 実    -35.8
13     佐久間 弘行    -44.9
14     松田 猛    -64.9
15     下出 和洋    -70.0
16     石橋 伸洋    -71.1

 

1位の坂本は準決勝進出。第3期Classic下出、現最高位石橋がここで敗退となった。

 


 

 

いよいよ迎えるは本戦二日目、各組12名、総勢36名による準決勝勝ちあがりをかけたサバイバルマッチ。

2回戦、4回戦と上下のカットが進むに連れ上位との直接対決が増えていくため、見ごたえのある対戦が続きます。

 

最高位戦Classic本戦二日目は7/11(水)正午より、 「柳 銀座本店」にて行われます。

観戦は自由となっております。皆様のご来場お待ちしております。

 (文中敬省略)

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