いよいよ女流リーグも準決勝に突入しました。
予選通過した14名に野添ゆかり・石井あやの前年度決勝進出者2名を加えた16名で争われる準決勝。全3日間12半荘で決勝進出者3名を選ぶことになるわけですが、まずはそのシステムをご説明します。
準決勝システム
全3節、1日4半荘の12回戦
◎6回戦終了時 上位12名が勝ち上がり。下位4名敗退。
◎8回戦終了時 上位8名が勝ち上がり。下位4名敗退。
◎11回戦終了時 上位1名が女流最高位決定戦進出、下位3名が敗退。
◎12回戦終了時 上位2名が女流最高位決定戦進出、2名が敗退。
ポイントは準決勝の間常に持ち越し。
このように徐々に敗退者が出るシステムを導入しているため、より下位と上位との直接対決が増え、逆転の可能性もそれだけ大きくなります。いかに途中の足きりを逃れ、上位との対決に備えるかが重要となってきます。
準決勝進出者
野添ゆかり(前年度準優勝) |
石井あや(第10期女流最高位・前年度4位) |
根本佳織(永世女流最高位 女流Aリーグ1位) |
日向藍子(女流Aリーグ2位) |
内間祐海(女流Aリーグ3位) |
谷崎舞華(女流Aリーグ4位) |
吉川愛莉(女流Aリーグ5位) |
池下真里子(女流Aリーグ6位) |
京杜なお(女流Aリーグ7位) |
花本まな(女流Aリーグ8位) |
北島朋子(女流Aリーグ9位) |
桐生美也子(女流Bリーグ1位) |
西嶋千春(女流Bリーグ2位) |
櫻田由樹(女流Bリーグ3位) |
涼崎いづみ(女流Bリーグ4位) |
宇佐美うみ(女流Bリーグ5位) |
女流Aリーグを2位・3位で共に勝ちあがった新進気鋭の若手女流プロ、日向藍子と内間祐海。
若手とはいえ昨年も女流Bリーグを勝ちあがり準決勝に進出。今年からは女流Aリーグに所属となったものの危なげなく上位通過するあたり、その実力は本物だろう。それを証明するかのように、二人ともが1回戦でトップを獲り順調な滑り出し。
第10期女流最高位、昨年敗れその座を追われるも、今年奪還を目指す石井あやも初戦トップで首位スタート。かつて2冠を達成した女王の存在感を示した。
1回戦トップを獲った4人目は、櫻田由樹。プロボクサーという一風変わった経歴を持つ櫻田。所属するC1リーグでは今期、節成績200勝ちと200負けの両方を経験するという珍しい成績を記録している。やるかやられるかと割り切った勝負をしてくる生粋のファイターである。
逆にラススタートで苦しい立ち上がりとなったのは谷崎舞華、涼崎いづみ、池下真里子、宇佐美うみの4名。全員がタイトル戦の決勝を戦ったこともある実力者達だが、それほど実力伯仲、厳しいのが準決勝リーグということだろうか。
1回戦終了時スコア
1 石井 あや 45.7
2 櫻田 由樹 42.7
3 内間 祐海 37.9
4 日向 藍子 36.6
5 吉川 愛莉 17.3
6 京杜 なお 17.2
7 桐生 美也子 13.1
8 野添 ゆかり 10.6
9 根本 佳織 -7.0
10 北島 朋子 -9.9
11 花本 まな -17.0
12 西嶋 千春 -17.5
13 宇佐美 うみ -37.3
14 池下 真里子 -38.1
15 谷崎 舞華 -42.5
16 涼崎 いづみ -51.8
☆2回戦☆
◆A卓 内間-谷崎-日向-根本◆
調子の良い日向、内間の若手が女王・根本に挑むこの卓は、東1局から激しい展開となった。
根本が
ドラ
軽く仕掛けてテンパイを入れると、ドラもツモ切って臨戦態勢。
そのドラをポンしたのは親の内間。ポンテンを入れてこちらも準備万端。
ドラ
待ち牌であるはテンパイのぎりぎり直前に日向に処理されていた。その日向は
なんとこちらも勝負手。全員が譲らずツモ切りを続けるが、オリにまわる谷崎にすべて流れたか3人テンパイで流局。
開けられた手牌を見て4者は何を思ったのだろうか。
東3局 親 日向
内間がポン、ポンで一気に場に緊張が走る。
ドラ
内間の手牌はまだこの形だったが、を重ねるとそこから一気に
大三元テンパイ!!ツモで両面との選択が生まれ少考するが、ツモ切り。次巡ツモで結果ハネツモを逃してしまう。
その間隙を縫って親の日向がドラ切りリーチ!!
門前で守備に若干重きを置く日向のリーチ、しかも染め色のドラまで切り飛ばして、、、白を重ねたか?と思ってみると
守備型の日向は明白に危険な仕掛けに役有りリーチを被せるイメージはあまりないが、5200放銃直後ということもあってか、腹を括った勝負リーチに出た。
結果は内間がをツモってハネマン。結果をみればどっちでもハネマンではあったものの、親リーを食らいホッとした部分もあったのではないか。
これで内間は楽になったかと思ったが、そうそう甘くはなかった。立ちふさがったのは女王、根本佳織。
根本のバランス・押し引きは独特だと思うのだが、攻めに回られるとこれほど嫌な相手もいない。
あがれても沈んでも次々と二の矢、三の矢を繰り出されるプレッシャーはやわなメンタルでは折れかねないほどの圧力である。
その切れない攻めでじわりじわりと内間を追い詰め逆転。やはり女流永世最高位は伊達ではない。ここぞというところの勝負強さ・粘り強さは凄い。
谷崎も要所で粘りを見せ、結局根本への放銃が目立った日向が一人沈みのラスを引いてしまう。
◆B卓 野添-池下-石井-西嶋◆
最高位戦ルールは一発裏ドラはあるものの、倍満なんてなかなか出ないものである。
しかし、なんと1半荘で2度倍満が飛び交うことになった卓があった。
まずは東3局。
親の石井が8巡目に先制リーチ。すると南家の西嶋もすぐさま追いかけリーチ。その手牌がこちら。
ドラ
どちらでも出アガリ倍満の恐ろしいリーチ。石井の親リーも役牌アンコの両面リーチだったのだが・・・
西嶋がをツモりあげ4000-8000。石井はリーチ棒込みで9000点の失点とはなんともやるせない。
続いては南2局、野添がこのリーチ。
ドラ
高目と安目でえらい差があるが、見事高目のをツモ。ペロリとめくったウラドラにはなんとが・・・
こうしてこの半荘2度目の4000-8000。2度もツモられた二人はたまったもんじゃない。放銃もしてないのに12000点も減るとは・・・
続く親番では石井が2600オールで上位を伺うも野添がしっかりと捌き終了。
可哀相なのは池下である。道中一通出来合いのサンメンチャンや、山に居そうな三色ドラ1などリーチを打って攻めていくも流局だったり他家にかわされたり。1回戦ラスの池下は相当苦しくなってしまった。
2回戦終了時スコア
1 櫻田 由樹 97.7
2 内間 祐海 56.1
3 野添 ゆかり 55.0
4 吉川 愛莉 35.3
5 根本 佳織 33.9
6 石井 あや 29.8
7 京杜 なお 25.0
8 宇佐美 うみ 9.3
9 西嶋 千春 -0.3
10 日向 藍子 -17.4
11 北島 朋子 -25.3
12 桐生 美也子 -34.3
13 谷崎 舞華 -47.6
14 涼崎 いづみ -64.2
15 花本 まな -71.2
16 池下 真里子 -83.8
☆3回戦☆
3回戦、震撼の半荘があった。
◆D卓、桐生-谷崎-花本-野添◆
東1局、桐生から8000。
東2局、桐生から12000。
東2局1本場、野添から12300。
東2局2本場、2600は2800オール。
東2局3本場、4000は4300オール。
東2局4本場、桐生から13200。
怒涛の連続和了は谷崎。放銃なしツモられただけの2着目花本でも役満を直撃されたくらいの点差が離れてしまっている。
谷崎はこの半荘実に96400点の超超特大トップ。借金を悠々返した。箱を割ってしまった桐生はマイナス100ポイントをオーバーしてしまう。
◆B卓 石井-吉川-内間-北島◆
では石井が大爆発。5万点を越え安全圏へ。残る吉川、内間、北島の2着争いとなるが・・・
吉川26300 内間22500 北島16800で迎えたオーラス。
ドラ
内間はここから打という決め打ちを見せ、
このチャンタ三色のヤミテンを入れる。2着目吉川は中盤から既にオリてゆくが、のアンコ落としをはじめた2枚目が、ヤミテンの親北島の789三色のド高めにつかまり12000。
着順入れ替わった次局は、内間がピンフ一盃口ドラドラを丁寧にヤミテン。見事にツモり2着に滑り込んだ。
◆A卓櫻田-根本-池下-宇佐美◆
唯一の2連勝で首位を走る櫻田。3回戦も快調に飛ばし南1局の親番連荘しトップ目に立つ。
そこに立ちはだかったのはまたしても女王根本。女流決定戦に向け立ちはだかる壁はやはり永世女流最高位か。
南2局の親番であっさりと逆転。しかしオーラス迎えて点差はわずか2000点。
まずは根本が自風のからしかけていきテンパイ。
ドラ
そこへ櫻田がリーチ。
親の宇佐美も仕掛けて追いつく。
この時点で根本のは純カラ。櫻田はが3枚、宇佐美もが2枚山に残っていたが、なんとその5枚全てが王牌の中へ消え流局。
1本場も先手を取ったのは根本。再びをポンするが今度は手が遅い。
そうしている間に親の宇佐美がドラをポン。櫻田がリーチと襲い掛かる。
宇佐美 ドラ
櫻田
ハイテイ1牌前となった宇佐美の最終打牌。場に放たれたを降りていたかに見えた池下がポンしてテンパイを組む!!ハイテイに居たのは・・・櫻田のハイテイツモとなるはずだっただった。宇佐美はと入れ替え、根本の一人ノーテンで流局。
オーラス2本場、今度は順位が入れ替わり根本が900点差の櫻田を追う形となった。
しかしまたしても先手を取ったのは櫻田。
がカンされているがリーチに踏み切る。これを受けタンヤオで仕掛けていた根本も追いつく。
息詰まる戦いは池下のリーチ宣言牌を捕らえた女王根本に軍配があがった。
3回戦終了時スコア
1 櫻田 由樹 114.9
2 石井 あや 82.7
3 根本 佳織 75.8
4 内間 祐海 66.9
5 谷崎 舞華 48.8
6 日向 藍子 27.2
7 野添 ゆかり 27.1
8 西嶋 千春 14.9
9 京杜 なお 7.5
10 宇佐美 うみ -1.5
11 吉川 愛莉 -12.5
12 北島 朋子 -41.2
13 花本 まな -72.0
14 桐生 美也子 -102.0
15 涼崎 いづみ -106.5
16 池下 真里子 -132.1
☆4回戦☆
3回戦大トップを取った谷崎だが、オーラス痛恨の選択をしてしまう。
トップ目で迎えた親番、流局にこぎつけたが、まだ点棒を叩こうとテンパイ宣言して続行。
しかしこれがまさかの仇となり、2着目の京杜が早々にリーチ、とのシャンポンをツモり2000/4000でトップをまくられてしまった。
短期決戦のため開ける選択は悪くはないのだが、きっちりと満貫ツモの条件を作ってきた京杜選手が上だったか。
2、3回戦と連勝してきた根本だが、4回戦はどうにも噛み合わなかった。放銃とツモられで一人ずるずると沈み、気付けば箱下のラス。印象的だったのが東3局、親番の北島が
ドラ
先手ではあったがこれを打のテンパイ取らず。狙い通りを重ねると切りリーチ。これに根本が一発でを放銃してしまい12000。北島の高打点打法と根本の手牌が見事にリンクしてしまった。
勝負は根本以外の3名のマッチレースとなったが、西嶋がオーラスの親で連荘を重ねトップ目花本を猛チャージ。微差だがトップを捲るところまで来る。
しかし最後は未だ完全に死んではいなかった根本が執念の倍満をツモ和了。親被りで西嶋は2着となった。
ここまで絶不調の涼崎いづみ。目立ったミスもなく、きっちり打ってリーチもかけているのだが、とにかくあがれない、掴む。マイナスポイントが重なり後がなくなった涼崎だったが、南3局にこのリーチ。
ドラ
リーチ前にと並べてのリーチ。盲点となったでトップ目の野添から大きな8000直撃。
オーラスはトップ目涼崎、6600点差で野添、更に500点差で内間が追う展開。
3者にほぼ同時にテンパイが入る。
涼崎 ドラ
内間
野添
涼崎は素点も欲しいためリーチ。内間は2着を確実に拾いたいためダマ。野添はリーチ棒を出すと3着に落ちるため出しづらく、ツモ直トップにかけたヤミテンに受ける。
結果は内間がを掴んで涼崎に8000献上。ラスに落ちる放銃だったためこれは痛い・・・
野添もテンパイ時の待ち取りの選択でツモあがりを逃していたため悔しそうにしていた。
4回戦終了時スコア
1 櫻田 由樹 100.0
2 谷崎 舞華 68.6
3 石井 あや 67.4
4 京杜 なお 51.0
5 野添 ゆかり 36.7
6 西嶋 千春 32.3
7 内間 祐海 28.0
8 根本 佳織 27.8
9 日向 藍子 16.0
10 吉川 愛莉 -1.0
11 花本 まな -30.6
12 宇佐美 うみ -49.5
13 北島 朋子 -52.0
14 涼崎 いづみ -62.3
15 池下 真里子 -89.0
16 桐生 美也子 -145.4
最終戦、下位が奮起し上位が多少落ちたため、上下が圧縮され密度が高い成績分布となった。
次回、2回やったところで下位の4名は敗退してしまうが、本当に2回でひっくり返りかねない位置に多くの選手が居るため、気の抜けない緊迫した戦いになること必至である。
今回レポートに書ききれなかった素晴らしい闘いも数多くあった。
一進一退全霊を込めた彼女たちの戦い、そして真剣に麻雀に取り組む美しく艶やかな姿を是非とも会場で生で見ていただきたいと思う。
準決勝第2節は、10月4日(木)正午より、神楽坂「ばかんす」で開催されます。
観戦自由となっております。皆様是非、是非ご来場くださいませ。
(文中敬称略)