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【インタビュー】武中真・石井一馬戴冠インタビュー

―――タイトル。それは競技者ならば誰もが憧れ、夢見るもの。

ほんの一握りの者だけが手にすることの出来る栄冠を求め、数多くの競技者達が集い、闘い淘汰されて行く。未冠の者は一度でもその栄光を手にしたいと求め続けるが、その頂点に立ったとき、それまでとは違う何かが見えるのだろうか。

 

 

武中 真 (タケナカ マコト)
31期前期入会。1980年生まれA型。B1リーグ所属。
競技界では珍しい双子プロの兄。

穏やかな性格で交友関係は広い。
今年2012年3月25日、

日本プロ麻雀協会主催「日本オープン」の覇者となる。

 

 

 

 

 

 

石井 一馬 (イシイ カズマ)
31期後期入会。1986年生まれA型。

Aリーグ所属2年目。
昨年よりAリーグに在籍。

仕掛けを多用する新世代のネット系雀士。
今年2012年4月30日、

日本プロ麻雀連盟主催「マスターズ」の覇者となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今春、最高位戦の若手選手2名が立て続けに他団体のタイトルを獲得した。
日本オープン・マスターズともにアマチュア参加のオープンタイトルで、非常に大きないわゆるGⅠタイトル戦である。
今回は初タイトルを獲得した若手選手二人にスポットを当ててインタビューを行った。

――お二人のことを知らない読者の方も多いと思うので、自己紹介からお願いします。
――まず、プロになった年齢・きっかけを教えてください。

 

石井選手(以下石):プロになったのは・・・19歳のときかな?

 

――19歳ですか!?!?

 

武中選手(以下武):一馬そんなに若かったっけ!?(笑)
石:確か19だったと思います。18歳から入れるらしくて、一年無駄にしたなーって思いました(笑)最速で最高位とってもあれだなーって。

 

――無駄って思うのはすごいです!どうしてプロになろうと思ったんですか?

 

石:ネットで結果を残して、自分の力がプロに通用するのか試してみたかったんですよ。あとは石橋さん(現最高位石橋伸洋選手)が同じネット麻雀をやってて知り合いだったので。

 

――なるほど。武中さんは何故プロになろうと思ったんでしょうか?

 

武:うーん・・・やっぱり弟の影響ですかね?(編注:武中さんの双子の弟さんは日本プロ麻雀協会のプロです。弟さんの方がプロとしては先輩らしいです)
武:会社勤めをはじめるまでは麻雀ってほとんどやらなかったんですよ。点数計算ができないくらい。会社勤めを始めてから麻雀をやるようになって、弟がずっとやってた競技麻雀に興味を持ってやってみようかな、と。

 

――弟さんの影響すごいですね・・・

 

武:弟は高校の頃から麻雀にどっぷりだったので競技団体に入ったのは本当に弟の影響ですね。

 

――石井さんは麻雀を始めたのはいつ頃なんでしょうか?

 

石:覚えたのは中1で友達とやってましたけど、中3からはネット麻雀ばっかですね。

 

――なるほど。それではそろそろタイトル戦の話に行ってみましょう。武中さんは決勝に残ったのは何度か経験されてるんですよね?

 

武:丸一日かけてやる決勝は、32期の麻雀王座決定戦と、この間(2012/2/18)のRMUのスプリントファイナルと今回で3回目ですね。他に1Day大会の決勝は何度か・・・

 

――石井さんは決勝は何回目でしょうか?

 

石:完全に初体験ですよ。ワンチャンス活かしたよ~

 

――初決勝で初タイトルはすごいですね!

 

石:しかもマスターズに出るのも初めてっていう(笑)今までのMAXで日本オープンの準決勝かな?
武:ワシが獲った時か^^

 

――決勝に残るまで本戦での戦い等はどうでしたか?

 

石:案外あっさり通るんじゃないかなー?と(笑)
武:気楽やなーこいつは。。。
石:ほんと通してツイてた。運が良かったので。

 

――決勝の前日は何をしてましたか?

 

石:友達呼んでお好み焼きいってました。明日優勝するから!優勝したら焼肉だから今日は焼肉無しね、って(笑
 

――麻雀はしなかったんですか?

 

石:しないっす。(キッパリ)噴いたら寒いから。案外そういうの重んじるタイプなんですよ。

 

――意外とオカルトなところもあるんですね。武中さんは決勝前日は何をしてましたか?

 

武:仕事してましたね。タイトル戦って決勝まで残ると4日5日かかるので、その分溜まった仕事をやらなきゃならない。嬉しい悲鳴ではあるんだけど。

 

――サラリーマンだと仕事とのバランスは大変ですね。サラリーマンでタイトルを獲るって本当にすごいことだと思います。

 

武:雀荘で1回も働いたことなくてタイトル取ったのは珍しいかもしれませんね。
石:普段いつ麻雀してるの?
武:週1、2回くらい雀荘やセットで麻雀をして、あと最近はネット麻雀も多いですかね。

 

――石井さんは初決勝ということですが、緊張されました?

 

石:するかと思ってたら全然しなくって。ふつーに。いつもどおりでした。噴けばいいんだろって思ってました(笑)

 

――しなかったんですか!メンタル強いなぁ。武中さんは緊張しました?

 

武:あんまりしなかったですね。大なり小なり1Day大会も含めれば何度か決勝残ってるから。1Day大会の方が緊張するかも。日本オープンくらいになると緊張のバロメーターが振り切れちゃう。

 

 

――それではそろそろ決勝の内容についてお聞きしたいと思います。石井さんは3着3着スタートで

 連勝した首位とは離されますが焦りとかはありましたか?


石:とりあえず一人芽がなくなりそうだったので、芽を摘んで3人の勝負にしたいな、と考えていました。できれば5回戦終わった時に二人目無しにしたかった。ガチで二人の勝負にすれば分はあるな、と。

 

――なるほど。

 

石:3回戦目トップ取れて、でも次トップ取れなきゃ優勝は出来ないな、って思った。そしたら4回戦で開幕6000オール引かれて。ああ、だめか・・・
 

――だいぶ大きいビハインドですよね。

石:そしたら5200直撃して、12000直撃して、2000オールをツモって、あれ?これオレじゃね?オレじゃね?って(笑)
 

――結局4回戦の大きなトップでトータル首位に立ち、その差を守りきる訳ですが。

 

石:そこからはずっと、1つ下の順位の人をマークしてました。5回戦は暫定3位が噴き始めたんで早めに2着狙いに切り替えて、暫定ラスの仕掛けを多少助けたり、局面作りをすごく意識してました。

 

――優勝を意識した瞬間ってありますか?

 

石:確信と意識って違うと思うんですけど、意識したのはやはり4回戦目の時。2着を結構離したトップ目の南場の親で6000オールをツモれた時。これでトータルトップ目に立てたんですよ。マスターズは最終戦トップ目がラス親なので、これを6回戦目まで守りきれば獲れるなって思った。

 

――その6000オールが決定打で後は狙い通りのゲーム運びが出来たんですね。

 

石:一番確信したのは、3着目で迎えた最終戦オーラスに、トータル2位の平田プロ(日本プロ麻雀連盟)がその半荘のトップで、俺は3着だと6400点差ついてたらアウト。2着目に上がれれば大丈夫。そこで周りを抑えるために中膨れの1枚切れシャンポンの愚形リーチを打ったんですよ。結局流局して一人テンパイで2着目に上がって、平田プロの条件が厳しくなって。ああ、もう降りて伏せれば大丈夫だと思った。

 

――すごい度胸ですね!優勝がかかったオーラスでそのリーチが打てるのはすごい!

 

石:次局も配牌はそれなりに良かったので第1打にドラの西を切ったら下家の平田プロに鳴かれて、そこからベタ降りして全員ノーテンで無事流局。
武:確かにそれは大きいね。条件も厳しいしオタ風のドラポンが見えたらだいぶ楽になるなぁ。

(マスターズでの激闘の模様は日本プロ麻雀連盟サイト第21期マスターズ観戦記をご覧ください。)


 

――武中さんは決勝戦中はいかがでしたか?

 

武:協会ルールなので、そんなにポイントが沈まなければ最後の方までチャンスがあるかなと思ってました。

 

――トップが大きいルールですからね。

 

武:初戦がラスじゃなかったのが入り方的に良かったかな。オーラスラス目だったんですが3着目が2着目のリーチに放銃してくれて3着にあがれて。これはツイたなーと。

 

――印象に残った局は?

 

武:プレーとして一番良かったのは2回戦目のオーラスですかね。234の三色でドラの⑤を切ってカン⑧待ち。5200で同点トップなんですが一発であがれて単独トップが取れた。あれは牌譜的に良かった。

 

――上手く打てた、と。

 

武:最終形は同じ形の人が多いんでしょうけど、第1打から最後の方まで自分の明確な意志を持った打牌ができて、すごい感触が良かった。

 

――そういう打牌が出来てあがれるのは気持ち的には大きいですね。

 

武:3回戦目は点棒に余裕があったので並びを結構意識していました。オーラスドラドラ平和をダマでツモって2600オールだったんですが。

 

――リーチして決めに行っても良さそうでしたよね。

 

武:2着目がトータルラスだったので、このままの並びを維持したいという気持ちが大きかった。リーチ棒を出すと2着目の条件も楽になるし。終盤2着目から出ても伏せようと思ってました。

 

――その考えならツモって2600オールなら上出来ですね。優勝を意識したのはどこでしょうか?

 

武:意識というか大きかったのは最終戦東1局に番手の小室プロ(日本プロ麻雀協会)からあがった8000ですね。2軒リーチが既に入っていてどこまで押すか難しかったけどあっさり出てくれたので。
石:運がいいね。
武:ね、ツイてたね俺ら。

 (一同笑い)

(日本オープンの激闘の模様は日本プロ麻雀協会サイト内日本オープン観戦記をご覧下さい。)


 

――優勝が決まった瞬間はどうでしたか?

 

武:なんか全然実感が沸かなかった。
石:ほんとは獲ってないんじゃない?(笑)
武:え、そうかな・・・いやほんと実感なかったんですけど、他人が獲ると実感が沸くんですよ。一馬が獲った時、すげぇなどんな気分なんだろう?あ、俺も勝ったなそういえば、みたいな(笑

石:俺も終わった瞬間は全然実感なかったけど、友人知人がおめでとう!ってメールや電話を沢山くれて、それでああ獲ったんだって実感しました。

 

――タイトルを獲って何か変わりましたか?

 

石:やはり周りがすごい連絡をくれて。俺こんなに知り合いいたっけ?ぐらい。働いてるお店にもいっぱい来てくれました。
武:知り合いが働いてる店とかに行っておめでとう!って言われるのがなんだか気恥ずかしくて
・・・ネット麻雀をやる回数が増えました(笑

 

――普段はどこで麻雀されてますか?やはりネット麻雀が多いんですか?

 

武:平日はネットが多いですね。実際に牌を持つのは週1、2回くらいですかね。競技セットをしたり一人で打ちに行ったり。
石:週1ってすごいね!俺は27時間やらないと麻雀下手になるから・・・赤無し麻雀は全くやらないけど。競技セットとか1回しかやったことないよ。

 

――赤無しやらないんですか?

 

石:俺赤あるほうが強いもん(笑)競技麻雀はフィーリングで打ってるんであんまり自信がない。ただ、周りが何やってるかわかりやすいから自分がやるべきことが割と見えてくるからなんとかなってるかな。

 

――お二人の麻雀スタイルについてお聞きしたいと思います。石井さんは仕掛けを多用して先手を取っていくと聞いていたんですが、今日(インタビューはAリーグの対局後行いました)見ていたら思ってたより鳴いてなかったんですが?

 

石:どっかで情報が曲がって伝わってる(笑)まぁ今年から少し門前寄りにバランスを変えたしね。本当はあんまり鳴きたくない。鳴いて圧をかけられる局面だったら鳴きたいけど、無視される局面が多すぎて。無視されるのは嫌いなんですよ!
石:なるべく自分で主導権を取っていきたい。あと、沢山打ってるのでメンタルはだいぶ強いと思う。揺れない。自分を曲げない。

 

――確かに、自分の麻雀を貫ける人は強いと思います。武中さんはどうでしょう?

 

武:うーん・・・我慢強さはあるとは思うけど、型とかはよくわかんないです。まぁ一馬よりは鳴かないと思いますよ。

 

――意識している人はいますか?

 

武:真っ先に頭に浮かぶのは同期の坂本大志・佐藤聖誠・涼崎いづみの三人ですね。皆先にGⅠ級のタイトルを獲ってるし。
今回の決勝は特に聖誠が發王を獲った直後だったので尚更獲りたいな、と思った。彼の方が僕より強いしモチベーションも高いから、
聖誠が先にタイトルとってくれて嬉しかった。
そして自分も彼らに続きたいなという思いが強かったです。

石:俺は佐藤聖誠が發王獲ったのは正直悔しかった。歳も近いし、俺じゃないのかよ、って。
それもあって今年は絶対タイトル獲ろうと思ってました。あとはAリーグあがるまでは誰とも馴れ合わないで、全員敵だと思って麻雀をしてた。絶対負けれないじゃん。だからあんまりよく話したり意識する人はあえて作らないようにしてた。

 

武:最近はよく喋るようになったよね。

 

――それでは最後に、今後の抱負についてお聞かせください。

 

石:最高位になります!!常に最高位は目指しているし、最高位戦に入ったからには最高位が一番獲りたい。

 

――おお!!すごい決意ですね!

 

石:去年まではあまりタイトル戦も出なかったんですが、今年はできるだけ出ようと思っています。今年はタイトルいっぱい狙っていきたいと思います!

武:自分はあまりそういうのは意識していないですね。ただ、現状サラリーマンと麻雀プロは両立するのは大変な面もあって。それを変えるために今後の後輩たちのために同じ立場の自分が結果を残して将来へ繋げていけたらいいな、と思っています。

 

――そういう志を持った方は貴重だし素晴らしいと思います!頑張りましょう!

――最後に、この記事を見ている方に伝えたいことを何かお願いします。

 

武:今回大きなタイトルで結果に恵まれはしましたけど、私自身は一介の麻雀ファンです。土日はなるべく競技麻雀に触れたいと色んな大会に出ているので、どこかでお会いすることがあればよろしくお願いします。

 

石:麻雀って、色んな打ち方ができる。でも自分は、他の人に真似できないような麻雀、他の人とは一味違う麻雀を打っていきたいと思っています。よろしくお願いします。

 

――本日はお二人ともありがとうございました!

 

 

二人の若きタイトルホルダーのインタビュー、いかがでしたでしょうか?
タイトルを手にしたと言っても二人の競技人生はまだ道途中のようです。

今後の二人の活躍にご期待ください!

 

 

途中リンク先、日本プロ麻雀連盟様日本プロ麻雀協会様サイトに二人がタイトルを手にするまでの詳細な観戦記がございますので、そちらも是非ご覧ください。

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