最高位戦では例年12月から、發王戦が始まる1月末まではシーズンオフの季節。
筆者などはこの季節、歳を重ねる事に麻雀から離れてしまう様になってしまったのだが、
打ち盛りの若手には関係ない様だ。
期待の若手2名が他団体のタイトル戦で目覚ましい活躍をみせたのでご報告しよう。
まずは依田暢久選手。
日本プロ麻雀棋士会のタイトル戦「第10期愛翔位決定戦」に出場し、昨年末
行われた第1節では僅差の2位に付けてタイトル獲得のチャンスを迎えた事は
以前にもお伝えした。
年明け1月16日に行われた第2節(最終節)では、「初日は動くべき所で動けなかったのが
上手く修正出来た」と振り返った様に序盤から快調にポイントを重ね、最終戦開始時点では
2位木間塚選手に29.6P差をつけての首位であった。
一発、裏なし、ウマ4-12、ノーテン罰差2000というルール、更に下位2人はほぼ条件がない、という
かなり有利な状況であったが「ポイント的には楽になったが、その分負けられないとプレッシャーがあった。」
との気負いからか、東場に木間塚選手の「リーチ」を仕掛けて捌きに行き、安めだが3900に飛び込んでしまう。この放銃でトップーラスのウマを考えるとほぼ並びとなり、勝負の行方は全く分からなくなってしまった。
応援団の顔も凍りつく場面であったが、「攻めの気持ちを持ってここまで来たので動揺せず、高めを
ツモられず良かったと考えた(高めツモで3000・6000)」と揺れることなく打って、逆にリー棒付き3900を木間塚選手からアガり返すなどし、オーラスの親番を若干のリードで迎える。
ラス前に満貫をツモり、5200以上か800・1600以上で逆転となる木間塚選手が、序盤から苦しそうな様子を見せると、依田選手は慎重に手じまいを始める。
依田選手にとって非常に長く感じられただろう一局は、読み通り全員ノーテンで終了。
この瞬間、依田暢久選手は「第10期愛翔位」を戴冠したのであった。
本当におめでとう!!!
依田選手談
「木間塚選手のツモ番が終わるまで本当にドキドキだったので、勝った瞬間は喜びというよりはぁ~っと
全身から力が抜けてしまいました。たくさんの人に応援して貰ったのが力になったと思います。
これに満足せず、最高位戦のリーグ戦でも必ず結果を出します!!」
続いて坂本大志選手。
去る1月24日に行われた「第3期RMUクラウン決勝」に出場した坂本選手。
半荘5回戦で戦うこの決勝の面子が凄い!!
土田浩翔、古久根英孝、藤中慎一郎(敬省略、RMU)
RMUを代表する、いや麻雀界を代表すると言える3人相手と決勝を戦うとは何とも 羨ましいが、当の本人はどんな心境でこの決勝に臨んだろうか・・?
1回戦はやはり重圧があったのだろうか、-28.1のラスでスタートした坂本選手。
やはり壁は厚いのか・・そんな観戦者の心の声をよそに落ち着きを取り戻した坂本選手は続く2、3回戦と連勝し4回戦は3着。迎えた最終戦開始時には2位の古久根プロを30p以上離しての首位に立っていた。
ウマ5-15のルール。楽に逃げ切らせてくれる相手ではないとはいえ、2着にさえ入れば相当有利な条件で迎えた最終戦だったが、痛恨のラスを引いてしまった。
優勝は最終戦でトップの古久根プロが。金星を掴みかけた坂本選手は、残念ながら 準優勝に終わった。
昨年は第4期最高位戦クラシックを勝ち、B2リーグも首位通過を決めた坂本選手。
この「第3期RMUクラウン」も準優勝と今最も勢いがある若手選手である。 凡庸に「勢いがある」などと書いたが、その実績は決してフロックではないと彼を知る人間ならば誰しもが思うだろう。それは皆、彼が今時珍しい愛すべき麻雀馬鹿で、日々人一倍努力している事も知っているからである。
今回は惜しくも準優勝に終わったが、今年も本当に楽しみな選手である事は間違いない。