一日目 8月13日(水)

最終日 8月23日(日)

 

第4期最高位戦Classic決勝2日目観戦記:園田賢(最高位戦麻雀協会)

 

僭越ながら、わたくし園田が決勝の観戦記を書かせていただくことになりました。

麻雀界随一の文豪、須田さんが一日目の観戦記者とあっては、書くのもつらいものがあるけど。。。

まあ、気にしないで気楽に書かせていただくことにします。

 

注意点

1.  全局、載せています。

 どの局を載せようかとか構成を考えるのがめんどくさかったので、いっそ全部載せたれ〜と相成りました。

 実際にその場で観戦してような気持で読んでいただければ幸いです。 

2. 一部口語が混じっています。

3, 勝手に本人の気持ちになってるところもあります。

 

 

 

classic決勝最終日。

全10回戦のうち、後半5回戦が本日行われる。
選手の紹介は前半の観戦記で紹介されているので、省かせていただこう。


5 回戦終了時トータル

坂本大志 +88.1
有賀一宏 △5.9
根本佳織 △36.8
上野龍一 △45.4

坂本の圧倒的優位。
この差を覆すのは容易なことではない。
対局前の意気込みを3人に聞いてみた。

有賀

「おもしろくはするよ。
このまま坂本さんが走ったらおもしろくないでしょ?
最後の半荘になって誰も目がないなんてことだけにはならないようにはしたいね。」

上野

「男道だよ。男道を邁進します。
まあ、初日の逆をやればいいだけだからね。」

根本

「爪を黄色にしてきたの〜
金メダルにならないかなと思って!
銀と悩んだけどね。」

リラックスしている(ように見える)二人に対して、有賀だけ表情が固い。
緊張なのか、それとも闘志を燃やしているのか?




6回戦

起家から 根本・坂本・有賀・上野の座順


                  左より、有賀・坂本・根本・上野



東1局0本場 親:根本 ドラ2p

根本の6巡目

8m1p5p5p5p8p8p9p4s4s白白発

上家から出たのは白

1pは残り1枚、9pは空となれば仕掛ける手もあるかと思ったが、スルー。


上野の7巡目

2m4m6m7m2p4p6p6p2s4s6s6s6s

ここで上家から出たのは3p


根本:5m1m9m南2s4m西
坂本:9p9s2s4p東3s3m
有賀:9m南北9p2m1p3p
上野:9s西9p中東白

ドラを切りたくない。

3m3sともに程よくよさげ。

しかし、上野は当然のようにスルー。

恥ずかしながら、二人のclassicルールを後ろで見るのはこれが初めて。
うーん。二人とも筆者の鳴きバランスとは結構違うみたい。


で、上野、スルーの直後持ってきたのは7p

2m4m6m7m2p4p6p6p2s4s6s6s6s ツモ7p

これをツモ切り。

234の三色にしたいとはいえ、これはどうだろうか。

さすがに手狭にしすぎな気がするが。

ちなみにこの後、5s5m中8pの順番で引く。


坂本の12巡目

3m4m5m9m3p4p6p7p1s1s1s5s6s ツモ白

ここで上家の4mに合わせ打つ。

一見なんとかなりそうな手牌だが、classicにおいて聴牌は意味がない。

和了できなきゃ意味がない。

12巡目でこの手牌だと、万が一にも放銃だけは避けるように打つべきだ。

しかし、この4mが局面を動かす。

有賀

2p2p6p7p3s3s5s7s7s7s チーy4m5m6m

2巡後上野、根本、有賀の順番で聴牌。

上野:4m5m6m2p4p6p6p3s4s5s6s6s6s

根本:1p5p5p8p8p4s4s北北白白発発

有賀:2p2p5p6p7p3s5s カン裏7s7s裏 チーy4m5m6m

全員1枚残りだがこれを制したのは有賀。

値千金の1300-2600。



観戦記は牌譜を見ながら書くのだが、

牌譜を見てるとつい「タラレバ」をやってしまう。

今回、見つけた一つの未来を紹介しておく。

前述上野の7巡目打7p

2m4m6m7m2p4p6p6p7p2s4s6s6s6s

2mないし2sを切っておけば4巡後はこうなる。

4m5m6m2p4p6p6p7p8p4s5s6s6s6s

3p2枚とびとあってはさすがにドラの2pを打つだろう。

有賀はその2pをポンして次巡5p-8p待ちで聴牌。

だが和了るのは根本。

奇しくもその和了牌は有賀が1300-2600を引いたその牌である。

8p8p4s4s北北北白白白 暗槓裏5p5p裏 ツモ4s

根本恐ろしや。




さて、現実にもどろう。

東2局0本場 親:坂本 ドラ南

坂本の5800ヤミテンをかいくぐり、有賀が500-1000ツモ

3m4m5m5m7m5p6p7p4s4s5s5s5s ツモ6m

東3局0本場 親:有賀 ドラ7m

上野6巡目で以下の一向聴。

2m6m7m5p6p7p8p8p1s2s3s5s6s

だが、これが聴牌するのは17巡目。流局。

東4局1本場 親:上野 ドラ4m

4巡目の有賀の中を鳴いて上野は以下の手牌。

4m5m6m5p5p7p5s7s9s東東 ポンy中中中

7pとする。

classicルールで役牌を鳴いた親がさらにダブ東など簡単には鳴けない。

長い道のりになるなぁ〜と見ていたら…

6巡目、北家の有賀の手牌は以下となっていた。

2m4m6m7m2p3p2s4s4s6s6s7s8s ツモ東

東以外、全てが無筋のこの手牌。

ここで東を手放す打ち手もいるだろうが、有賀は少考のすえ2s切り。

だが次巡7sを持ってきてはもう無理である。打東

ポンした上野は山に三枚生きのカン8s待ちを選択し、11600聴牌。

有賀、次巡のツモが5m

2m4m6m7m2p3p4s4s6s6s7s7s8s ツモ5m

上野の河は以下。

1m白1s8m7p白西5s

地獄である。

トップ目なのに、5800確定のほぼ聴牌の仕掛けに打てる牌がない。

えーい。打つなら安い方だ!打7m

次巡ツモ2p

またまた地獄っ!!
「いつまで一向聴で無筋を切らすんだ!」と言いたげに打2m

これで打つならほぼ11600以上だ。

完全に上野と有賀の直接対決に見える。

だが手牌を開いたのは坂本。

危険牌を1枚も押すことなく(まあ1枚も押さないだろうが)和了りきった。

9m9m4p5p6p6p7p3s4s4s5s5s6s ツモ8p

ちなみに坂本の手牌の5pは上野が聴牌を入れた後のツモ牌でリン牌ある。

坂本にとっては相当嬉しい和了となった。

 

南1局0本場 親:根本 ドラ5p

ここまでで点数状況は、

根本 26400
坂本 29500
有賀 36700
上野 27400


有賀にとっては是が非でも坂本にラスを押し付けたい。

自分が間に合わないと思ったら、8巡目からオリ始める。

「根本か上野が坂本をまくる程度にちょこっと和了るのは全然OK!」

ってなもんだろうが、またしても和了ったのは坂本。

面前ドラなしリャンメンをヤミテンもままツモ和了って、300-500。

南2局0本場 親:坂本 ドラ2p

有賀の11巡目

8m8m2p5p5p5p7p7p7p6s7s白白 ツモ8s

白が場に1枚。

下家の上野はヤミテンが入っていてもおかしくない河をしている。

現状トップ目だし、無理してドラを打ち出すこともないか。

いや、ここは坂本に親っかぶらす局面だろ!

って訳で聴牌を取る。

次巡ドラが被ったのはご愛嬌だが、

さらにその次巡しっかり高目をツモりあげる。

8m8m5p5p5p7p7p7p6s7s8s白白 ツモ白

この親っかぶりで下の差は

坂本→1500→上野→1200→根本

となった。

南3局0本場 親:有賀 ドラ6s

本日初の2軒リーチを制したのは有賀。

5m6m7m1s2s2s3s3s7s8s9s南南 ロン1s

放銃した根本もリーチのみでの追っかけだが、

ツモれば2着順あげてオーラスに臨めるとなれば、

仕方ない勝負だったと言えるだろう。

南3局1本場 親:有賀 ドラ4m

4巡目、上野の手が止まる。

5m7m5p6p7p8p1s2s4s5s6s7s8s ツモ9s

長考の末、8pに手をかけるが、

これは打7mの方がよかったのでは?

7mを残すとすれば、当然567の三色を視野にいれているということになるが、 さすがに難しいだろう。

ピンズの横伸びを消す程の価値が7mにはあるだろうか?

さて、局面が動くのは7巡目。

有賀の捨てた発を北家の坂本がポン。

4m4p5p6p1s2s3s4s7s7s9s ポン発発y発

坂本が打9sとした直後、有賀の手牌は以下。

5m6m7m8m8m9m2p2p2p9p9p6s8s ツモ8m

通常のclassicルールなら、もちろんリーチはない。

だがこの局面に限ってはリーチの方がいいのでは?
1. 坂本は絶対に着順を下げたくない。
2. よってリーチを打てばまず押してこない。
3. ここで鳴いてくる以上、坂本は和了れる公算の高い手牌だろう。
4. 坂本に和了られると坂本の2着が濃厚になる。
4. 流局しても、根本が坂本を捲る条件が1300-2600まで緩和される。

「和了るための」ではなく「和了らせないための」リーチを打つべきだったのではないだろうか?
そうすれば次巡、坂本の聴牌打牌でドラの4mは打ち出されなったに違いない。

現実は、根本が追い付きリーチするも

リーチ3m4m5m6m7m8m3p4p5p1s1s6s7s

坂本に1000は1300にリーチ棒をつけて献上することになる。

1s2s3s4s5s7s7s4p5p6p ポン発発y発 ロン3s

またしても坂本においしい和了りとなった。

オーラスは誰も手にならない中、有賀が500-1000を和了りきる。


6回戦終了時トータル

坂本 90.5
有賀 27.4
上野 -55.3
根本 -62.6

もうほとんど坂本と有賀の一騎打ちと言っていいだろう。




7回戦

起家から 根本・坂本・上野・有賀の座順



                   


東1局0本場 親:根本 ドラ中

有賀の4巡目

2m2m4m5m6m3p3p3s4s4s5s発発 ツモ7m

ここから打4s

ん?あせったか?

ドラが中ということはもちろんドラ表示牌に発が見えている。

6巡目に3pを引くとヤミテンに構える。

タンヤオに進んでいると、7巡目に5sを引いたところで

タンヤオ高め一盃口の聴牌が組めていた。

なかなか表情を顔に出さない有賀も、11巡目に引いた3sは、アツそうにツモ切っていた。

結果、流局。

後で有賀に聞いたところ、7巡目タンヤオの牌姿

2m2m4m5m6m7m3p3p3p3s4s4s5s5s

になっていたらリーチを打っていたそうだ。

この2000-3900和了り逃しがひびかなければいいが…

東2局1本場 親:坂本 ドラ8p

2m3m4m5m6m3s4s4s5s5s6s8s8s

根本に入ったこの聴牌は6巡目。

ヤミテンに構え即上野から4mで打ち取る。

場にはマンズが安くまだ6巡目とあっては、リーチするのが普通だと思うが。

根本もほぼ目無しになった現在の状況でどう打つべきか決めかねているのかも知れない。

東3局0本場 親:上野 ドラ3p

はげしい空中戦が展開される。

根本 5p5p3s4s6s7s8s東東東 ポン9sy9s9s

上野 3s3s4s5s6s7s東 ポンy北北北 ポン中中y中

ここに割って入ったのが有賀。

6m6m8m2p3p3p4p4p5p1s1s7s8s ツモ6s

根本:西9p白4s1m2p4m2m9m
坂本:1p南5m9s7m3m西2m
上野:1p9m8m8p8m南5m4p5m1s
有賀:西北白1p8p1p4m4m

この7mなら勝負をかける価値がある。

6m切ってリーチ!

山には3枚とも残っていた。

ツモって2000-3900。

東4局0本場 親:有賀 ドラ2s

有賀にとっては6回戦と同じ展開である。

自分が大きい手をツモり和了って下は団子。

なんとしてでも坂本をラスにしたい。

有賀、4巡目に七対子の一向聴

2m2m4m4m9m1p1p2p2s4s4s東東

そのままツモ切り続けた10巡目、坂本にチーテンが入る。

2p3p4p5p6p5s5s西西西 チーy3s2s4s

さすがに坂本の勝ちかと思ったが、有賀の次のツモは2p

ドラの2s単騎聴牌にとってこの2sを坂本が即づかみ。

これぞデバサイとばかりにロンの発声。

さて、わからなくなってきたぞ。

東4局1本場 親:有賀 ドラ5p

有賀の11巡目聴牌は

5m7m8m8m5p6p7p3s4s5s5s6s7s

7m4mが振り替わった後、リーチ棒付きで振り込んだのは、上野。

3m-6mは上野のリーチにどうせ出てこない牌だが、有賀は追いかけず。

5800は6100とリーチ棒の和了。

有賀、11600にしておかなくてよかったのか。

しかし、上野と根本は本当に和了れないなぁ。

 

東4局2本場 親:有賀 ドラ6s

5巡目に坂本からのダブ東をポンして2巡後有賀の手牌は以下。

2m3m4m6m6m8p9p5s6s6s ポン東y東東

そして2巡後坂本のリーチ宣言牌は6m

2m3m4m6m2p3p4p6p7p7s8s南南 ツモ5p

有賀はポンして、ペン7pの11600聴牌。

なお、この時点の点数状況は

根本 30300
坂本 18400
上野 16700
有賀 54600

この11600を坂本から、直撃することができれば、

1回戦からずっと首位独走の坂本をついに逆転することになる。

坂本の6s-9s待ちも8sが坂本の目からは4枚見えて、

中々良さそうに見えるが、ヤミテンなら拾えそうな9sだけにリーチはどうだろうか。

有賀の河 8s1p2s8s1s8m3m

坂本も宣言牌をポンされてポン出しが5sならば、

「ヤバイ!ドラドラかも!シマッタ!」と思ったに違いない。
(前巡坂本のツモ切った4sには声が掛かっていない。)

7p(3枚残り)対6s-9s(5枚残り)

の勝負は有賀⇒坂本 2000は2600の横移動。

有賀、がっくし。

南1局0本場 親:根本 ドラ1s

ラス目の上野がツモ和了。

1p1p1p1s2s6s7s8s西西 ポン南南y南 ツモ3s

これで3着目坂本との差は900点に。

南2局0本場 親:坂本 ドラ3m

坂本の手牌、7巡目。

6m7m1p2p3p3p7p8p9p5s6s7s7s ツモ6s

全員、普通の河で、関連牌は4s8mが場に1枚ずつとんでいるのみ。

少考して打ち出した牌は2p

これが大正解で、次巡ツモは5s

リー棒を出せばラス目に落ちるが、

あらかじめ決めておいたのだろう。

微塵の躊躇もなくリーチと宣言。

ここで地獄単騎の北さえ止めてオリていた上野が、不意に8mをツモ切る。

盲牌ミス!!

坂本、この上なくラッキーな5800を手にする。

有賀にとっては腸煮えくり返るような放銃かもしれないが、

5m-8mはまだ3枚も山に眠っていた。

坂本が2600オールを引いていた可能性は十二分にある。

(2600オールなら2着目の根本をかわす。)

このアヤは誰に利するのか。

南2局1本場 親:坂本 ドラ7p

先ほどの放銃でダンラスの上野の5巡目。

6m8m8m2p3p4p6p6p8p6s6s7s発 ツモ中

発中は両方とも生牌。

なんとここから字牌を絞って打6s

理由としては北家の根本の河があるのだろう。

根本 7m2m7s4s

そして、その時の根本の手牌が以下。

2p3p4p9p1s2s東北北発発中中

上野が字牌を切っていたら、さすがに根本も鳴いただろう。

この後、上野は発を重ね、中は13巡目の聴牌打牌とする。

根本はその間なにも鳴けず、13巡目にはすでに七対子に決め打っていた。

その上野の聴牌に飛び込んだのは根本。

6m8m2p3p4p6p7p8p6s7s8s発発 ロン7m

上野のベテランらしい絞りが、細い糸を手繰り寄せた。

ただ、またしても坂本にとってラッキーな横移動となった。
この横移動で各自の素点はこうなった。

根本 23500
坂本 26100
上野 19100
有賀 51300

有賀の顔が引きつっている。


南3局0本場 親:上野 ドラ白

上野が東ポンから仕掛け、道中ドラを暗刻にする。

山に4枚生きているカン8sで聴牌するも、脇に流れて流局。

王牌にも2枚殺されていた。

上野、ツカン。

4m4m7s9s白白白 ポン5p5py5p 加カン東東東y東

南4局1本場 親:有賀 ドラ白

根本、坂本が大物手を育てる中、

根本 5m6m6m9m9m東東南南西白白中
坂本 5m5m7m7m7m4p4p1s1s西西西白

有賀がタンヤオをツモりあげる。

2m2m4m5m6m4p5p6p8p8p2s3s4s ツモ8p

 

南4局2本場 親:有賀 ドラ2s

せめて坂本を捲くる手を作りに行かなければならない二人に対して、

坂本はただ和了れば2着を死守できる。

そのアドバンテージを最大限に活かす。

普段、東風戦を打っている坂本。

オーラスの着順勝負で隙はかけらも見せない。

4巡目、上家に打たれた5s

2m3m4m2p2p3s4s6s7s8s南南西 出る5s

当然のようにチーして聴牌を取る。

そして9巡目有賀の手牌から打ち出されたのは南であった。

1p2p3p4p4p4p6p7p8p9p9p南白 ツモ9p

7回戦終了時トータル

坂本 91.1
有賀 62.4
根本 -74.2
上野 -79.3

有賀、坂本の背中が見えてきた。




8回戦

起家から 根本・坂本・有賀・上野の座順

東1局0本場 親:根本 ドラ5m

坂本、有賀の第一打の南を鳴く。

まだ、攻める姿勢は崩さない。

6m7m7s8s西西北北白中 ポン南南y南

さらに西をポンした坂本。

だが、有賀にも早いリーチが入る。

1m2m3m3m4m5m3p4p7p8p9p2s2s

有賀の河 中6s9py2s

その時坂本の手牌はまだこの形だった。

6m7m7m7s8s北北 ポン西西y西 ポン南南y南

それが結局こうなる。

5m6m7m7m8m北北 ポン西西y西 ポン南南y南 ツモ6m

坂本、有賀のリーチにヒヨることなく最後まで押しきった。

有賀、放銃という最悪こそ免れたものの、痛い痛い満貫ツモられ。

 

東2局0本場 親:坂本 ドラ南

根本、この配牌から親の第一打白を仕掛ける。

4m7m2p2p5p2s6s北白白発発中

根本もまだ死んではいない。

役満和了ったところでまだまだ遠いんだけれども、最後の一瞬までは諦めない姿勢だ。

これにぶつけたのは有賀。上野の西を叩いて、以下。

1m1m1p2p3p1s3s9s南南 ポン西西y西

10巡目有賀がツモ切った中を今度は坂本がポン

1m2m3m5m6m6m7m8m東東発 ポン中中y中

聴牌打牌の発を今度は根本がポンして以下。

南を重ねない限りさすがに厳しいか。

2p2p4p5p2s2s南 ポン発発y発 ポン白白y白

…だが、河は作られている。

根本の河 7m4m6s6s北1s5s1p9m中

ピンズを引かされた坂本・有賀が共に下ろされる。

その後、南4pと引き2sのトイツ落とし。

2p2p4p4p2s南南 ポン発発y発 ポン白白y白

が結局ここまで。流局。


東3局1本場 親:有賀 ドラ8m

上野13巡目聴牌。

2m3m4m6m7m8m7s7s7s東東中中

慎重にヤミテンに構える。

これがなんと山に4枚。

15巡目脇に1枚流れるも、王牌に3枚死んでるとは…

上野、今日はとことん麻雀の神様に見放されている。

流局。

東4局2本場 親:上野 ドラ中

上野の11巡目。

4m5m7m8m8m7p7p北北白白白中 ツモ中

ついに待望の中がきたところ。

8mが1枚と9mが2枚場に見えていて、マンズはそれ以外一切見えていない。

さらに北が1枚と7pが2枚場にとんでいる。

上野の選んだ選択は打7p

11巡目というのが難しい。

まだ、シャンテンを落としてもぎりぎり許される巡目か。

ところが次巡のツモは4m

結果として、7pトイツ落としが、聴牌逃しとなった。

これは仕方がないとして、13巡目に持ってくる7sはどうだろう。

4m4m5m7m8m8m北北白白白中中 ツモ7s

上野 9s8s3s3s1p9s6s2p発4p7p7p
根本 9p9m西南西1s9s1s3p6s発5s
坂本 北2s5s7p2p9p7p3p4p9p8s3s
有賀 南9m8p8p8m2p発8p8s6s4p5s


もう13巡目である。

マンズや字牌が鳴けないことも考慮すると、よさげな7sで七対子に決める手はあったのではないだろうか。

結局7sをツモ切り、次巡5m引きで、7m単騎で聴牌する。

結局和了れずに流局したのだが、16巡目、自分の河に並んだ7sを上野はどう思っただろうか。

 


南1局3本場 親:根本 ドラ6m

坂本6巡目

4m5m5p5p6p1s1s6s6s7s北發中 ツモ6p

ここから七対子に決めてドラ表示牌打5m

上野、坂本の4トイツ時にすでにこの形。

4m5m1s2s3s4s6s7s8s9s西西西

これが、動かないまま、13巡目にツモ切った中で坂本に聴牌即御用。

坂本に5m4mのドラ絡みターツ落としが入っているとはいえ、この手牌に地獄の中では、止めようがないだろう。

4p4p5p5p6p6p1s1s6s6s発発中 ロン中

 

南2局0本場 親:坂本 ドラ5m

ここまでの持ち点は、

根本 26000
坂本 41500
有賀 27000
上野 25500

坂本3巡目に上家から1枚目の東にポン。

1m2m8m9m5p5p5p8p9p南発 ポンy東東東

攻撃の手を休める気は全くない。

…というより、みんな対応してオリてくれても別にいいよといったところか。

ここに根本、3シャンテンから、南発と被せる。坂本の「オリてよ」仕掛けを見抜いているのか?

だが、この発が重なったばっかりの坂本に喰われる。

8m9m5p5p5p8p9p南 ポンy発発発 ポンy東東東

こうなると坂本の独壇場。

全員が前に向かえない間に、ゆっくり混一を育てる。

9巡目聴牌は以下。

3p4p5p5p5p8p9p ポンy発発発 ポンy東東東

12巡目、ツモ2pで待ちかえて打8p9p単騎。

2p3p4p5p5p5p9p ポンy発発発 ポンy東東東

すると次巡のツモが7p
仕方ない。再度待ちかえて6p7p待ち。

2p3p4p5p5p5p7p ポンy発発発 ポンy東東東

そして15巡目8pを引き戻す。

2p3p4p5p5p5p7p ポンy発発発 ポンy東東東 ツモ8p

先ほど切った9pに合わせ打たれた9pは、1枚のみ。全員必死にオリているのにである。

場には1p8p9pが2枚ずつ、7pが1枚切られている。

「この9pは2枚山にいる!」

誰も通っていないピンズを打ち出すなんてことはしないから、もはや振聴の概念など関係なくなる。残りツモ番3回なら、振聴6p-9pの方が6p-7pよりいいのでは?とは観戦していた新井啓文(B2リーグ)の談。

そんなことは百も承知だが、手変わり多門張の可能性も考慮したら、ぎりぎり8pツモ切りだと思ったとは坂本の談。

実際は次巡3pを引き、1p3p4pに待ちかえしたものの、ツモれず流局。


南3局1本場 親:有賀 ドラ7m

坂本→14500→有賀→1000→根本→500→上野

下の3人は大接戦。

で坂本の下家の有賀が親。

山ごししてもよし
親っかぶらせてもよし。
他にアシストしてもよし。
最悪、他に打ってもよし。

坂本はそんなことを思っていただろう。

すると坂本にとって相当嬉しい和了りが出る。

上野、12巡目。

1m2m3m4m5m7m8m9m北北 チーy3m2m4m ツモ3m

これで有賀は根本と同点ラスまで落ちてしまった。(同点の場合、順位点は分け)


南4局0本場 親:上野 ドラ7s

根本 24900
坂本 40400
有賀 24900
上野 29800


親の上野、4巡目にして2副露。

4m5m5p7p3s4s7s チーy3m1m2m ポンy発発発

一方、北家の有賀は3mを鳴かせた時すでに以下の手牌。

5m6m6m7m8m5p6p2s2s4s4s5s6s

次々巡に聴牌を果たす。

5m6m6m7m8m9m5p6p2s2s4s5s6s ツモ7m

リーチ棒は出したくない。
有効な手変わりは4m5m8m7sと4種もある。
だがこのままでは直撃でもツモでも上野をまくれない。

リーチしたい。
リーチしたい。
リーチしたい。

そんな囁きを払いのけ、有賀の下した結論はヤミテン。

同巡、上野がイーシャンテンから、ドラの7sを手出しした。

2副露の仕掛けがドラを手出し。

外から見るとさすがに聴牌に見える。

ゆっくり構えている余裕はない。

即、根本が切った7pに牌を倒した。


…まだ、2回戦ある。

今は最悪を回避できただけ良しとしよう。



8回戦終了時トータル

坂本 113.5
有賀 55.3
上野 -75.5
根本 -93.3



9回戦

起家から 坂本・上野・根本・有賀の座順

東1局0本場 親:坂本 ドラ7p

11巡目、有賀の聴牌

3p4p4p5p5p6p1s1s2s3s4s中中

その後、イーペーコー振り替わりなどあるが、

全員受け切り、流局。

東2局1本場 親:上野 ドラ6s

上野、2巡目にして、この形。

2m2m2m3m4m5m5m6s7s8s8s9s9s

8巡目ツモ9sでリーチと行くが、全員に受け切られて流局。


東3局2本場 親:根本 ドラ9m

根本バック仕掛けで連荘に望みを繋ぐが、流局。

6m6m4p5p7s7s7s ポンy発発発 チーy6s4s5s


東4局3本場 親:有賀 ドラ5s

有賀、10巡目は以下。

1m1m3m4m5m7m8m9m4p5p5s6s7s

次巡ツモ4sをなんとツモ切り。

345や456の三色は見ないのか?

場に4sが一枚切れていて、下家の坂本はソウズを一枚も切っていない。

ポンで手を進めさせたくないし、坂本にネックを食われるのも嫌。

供託の1000点と3本場の900点をものにするための最善を尽くすということだろう。

すぐにツモって700は1000オール。

さあ、膠着状態から頭ひとつ抜け出した。

後は坂本をラスにすることだ。


東4局4本場 親:有賀 ドラ5s

有賀、8巡目聴牌は以下。

1m1m3p4p5p7p8p1s2s3s5s6s7s

根本と坂本が9pを一枚ずつ切っている。

なるべく下家の坂本から和了りたい。

他家からの6pなら見逃す手もある。

…と思ったら対面の上野が3枚目の9pをツモ切り。

これは見逃せない。

しぶしぶ和了り宣言。


東4局5本場 親:有賀 ドラ6m

有賀の6巡目、上野の東をポンして聴牌。

2m3m4m5m3s4s5s6s7s8s ポン東y東東

この2m-5mは自分の手牌を合わせて5枚見え。

とは言え、ドラ引き、ソウズの多門張変化など楽しみは多い。

と思ったらまたしても上野が2mを打つ。

これをスルーすれば2m-5mは2枚しかない。

今回もしぶしぶロン。

 

東4局6本場 親:有賀 ドラ1p

坂本、5巡目聴牌。

3m4m5m6m7m8m5p5p4s5s7s8s9s

今日の坂本はここぞというところでさらっとこういう聴牌が入る。

しかも6巡目にロンした相手は同点着目の根本。

1000点と侮ることなかれ。

1000は2800を直撃で生まれた5600差というのはかなり重たい。

有賀、またしても並びが最悪。


 

南1局0本場 親:坂本 ドラ白

坂本 31800
上野 19500
根本 25700
有賀 42500

坂本、3巡目にポンシャンテン。

1m1m6m7m6p7p7p3s4s5s ポンy南南南

6巡目に持ってきた白をノータイムツモ切り。

すごい。

攻めきる気満々である。

上野に喰われでもしたらこの半荘ラスになる可能性もある。

常人なら聴牌まで引っ張りたいと考えるのではないだろうか。

坂本は着順降下のリスクより、有賀を捲くることを優先させた。

9回戦開始時で58.2の差がある。

坂本が有賀より上の着順だと、10回戦での逆転は不可能に近い。

この親番が勝負どころだ。

9回戦で勝負を決めてやると。

次巡、ツモ5mで打7p。さらに2巡後ツモ和了りとなる。

結果は全く変わらないが、この7p白の切り順の意識の違いは大きい。


南1局1本場 親:坂本 ドラ8m

坂本の5巡目。

6m7m8m2p3p4p6p6p3s5s6s6s8s ツモ7p

河はこうなっている。

坂本 白北9s3m
上野 1p8p白7s
根本 南白2s1m
有賀 9s9m2p南

ここから打8sとしてしまった。

さすがに形で打6pと行った方がいいだろう。

上野が7sを一枚切っているのに気が行き過ぎたか。

おもしろいように裏目が来て、

次巡7s、次次巡6sとツモってくる。

6pとしていたらこうだったのが、

6m7m8m2p3p4p6p7p6s6s6s7s8s

実際は以下。

6m7m8m2p3p4p6p6p7p3s5s6s7s

結局、5m4mと引き、9巡目にフリテン立直は6枚見えている3m-6m-9m待ち。

4m5m6m7m8m2p3p4p6p6p5s6s7s

安めの9mを引き和了り、2600は2700オール。

坂本が5巡目に打6pとし、さらにヤミテンを選択していると、

有賀の聴牌打牌の8pを捕らえていた可能性が高い。

そんなこと知る由も無い有賀は苦渋の顔。


南1局2本場 親:坂本 ドラ2m


根本 5m5m1p2p3p4p5p6p6s7s チーy8p7p9p
上野 1p2p2p3p4p4p5p6p9p9p南南南

根本・上野が聴牌を入れるが、和了ったのは坂本。

6m7m2p3p4p5p6p7p7p7p4s5s6s ロン8m

これで坂本と有賀の差は5600に。

これを逆転しなければ、有賀の優勝の目はほとんどない。

 

南1局3本場 親:坂本 ドラ6p

8巡目、坂本の切った南をポンして、有賀が聴牌一番乗り。

4m4m2p2p7p8p9p2s3s4s ポン南南y南

根本、坂本も追いつくが、有賀和了りきる。

4m5m2p2p7p8p9p2s3s4s ポン南南y南 ツモ6m

300-500は600-800。

長い連荘が終わった。

 

南2局0本場 親:上野 ドラ8s

2枚目の発を仕方なく仕掛ける有賀。

1m2m3m2p4p7p9p9s白白 ポンy発発発

すぐに3pを鳴いて聴牌。

1m2m3m7p9p白白 チーy3p2p4p ポンy発発発

次巡、ツモ白、打7p

1m2m3m9p白白白 チーy3p2p4p ポンy発発発

次々巡、ツモ中

1m2m3m白白白中 チーy3p2p4p ポンy発発発

なんと!あのクソ仕掛けが満貫になってしまった。

これをツモり上げ、2000-4000。

とりあえず鳴いてみるもんだ。

 

南3局0本場 親:上野 ドラ南

根本、5巡目。

1m2m3m4m4m4m1p1p6p6p8p4s5s ツモ3s

場に見えているピンズは1pが一枚と自ら切った9pが一枚のみ。

根本の選択は打8pリーチ。

親の5巡目リーチに立ち向かう人は無く、流局。

 

南4局1本場 親:有賀 ドラ発

有賀と坂本の差は7200。

供託があるので1000-2000以上で坂本は有賀を逆転することが出来る。

さて、坂本の5巡目はこう。

7m7m8m8m9m9m7p1s1s3s3s8s9s ツモ7p

リーチ+ツモで有賀をまくれば、ほぼ優勝となる。

まだ4巡目とはいえ、根本がソウズに染めていそうな河だから、

ヤミテンに構えて、よさそうな単騎探しの旅となる。

坂本の選択は10巡目に持ってきた生牌の9pに待ちかえてリーチ。

8pが3枚見えとはいえ、有賀も根本も変則的な河だから、いるかどうかわからない。

しかし、巡目的にもそろそろ曲げなければならない頃合いだろう。

これが実際には3枚とも山に眠っていた。

 

さて、次の有賀の手番。

4m6m8m3p4p5p2s3s4s6s7s発発 ツモ5m

・坂本に捲くられれば、終わり。

・リーチ棒を出せば2600直撃でもかわされる。

・1000-2000条件だけに坂本リーチが2600ってのは結構ありがち。

・坂本を3着以下に落とすには、30000点弱必要。

8sがソウズ染めっぽい根本含め3枚切れている。

リーチを打たないためのネガティブな条件はそろっている。


しかし、有賀の選択はリーチ。

すでに優勝の目は相当うすい。

もはや目先の損得ではない。

どこかで不利な勝負に勝たなければならない。

勝負所は遅かれ早かれ巡ってくるのだ。

 

有賀の当たり牌が上野に流れ、残りの山にいる枚数は、有賀1枚、坂本3枚。

有賀、ピンチ!!


…と思ったら、根本がこの手牌から打5s

3s4s5s6s6s7s7s9s9s白白中中 ツモ西

有賀の河 2s6p4m7p8p3m1p4s1p8py8m東南
坂本の河 2m中5p南9s8s9s9m6py4m1p8p5m

一見、有賀の河は変則っぽいが、1pは両方手出し。

間の4sはツモ切りだから、七対子はほぼ否定されている。

とすると5sは相当危ないところだが…

ってか坂本にも危ないぞ〜。

まあ、確かに七対子の重なりだけ見たら5sが一番いらない。

この根本の超ゼンツのおかげで有賀、相当うれしい7700。

南4局2本場 親:有賀 ドラ1s

有賀、坂本ともに聴牌を入れるが、流局。


9回戦終了時トータル

坂本 128.6
有賀 96.6
上野 -97.8
根本 -127.4




最終10回戦

6回戦開始時に94.0あった坂本と有賀の差は今や32.0。

トップラスで満貫の差があれば逆転である。

逆転がだいぶ現実的になってきた。

坂本「全部連対してるのに60以上詰められるってどうなってんだよ!!」

うむ。確かに。

 

有賀の今日の最初のコメントを思い出してほしい。

「おもしろくはするよ。このまま坂本さんが走ったらおもしろくないでしょ?
最後の半荘になって誰も目がないなんてことだけにはならないようにはしたいね。」

有賀、有言実行。そのまま差し切れるか。


起家から 有賀・上野・根本・坂本の座順

最終戦はトータル首位の選手がラス親になるように決められている。

席が決まれば親決めはせず、自動的に有賀が起家となる。

東1局0本場 親:有賀 ドラ9p

坂本2巡目、ここから3sをノータイムでポンして有賀のダブ東を切り飛ばす。

2m3m4m5m2p3p3p8p2s2s3s3s東

坂本はずっと攻めてきた。

最後まで攻めて勝つ気だ。

それにしてもタイトル戦の決勝最終半荘、大勢の観戦者がいる中で、

こんなに堂々とこの3sをポンできる選手がどれだけいるだろうか。

こんなタンヤオのブクブクの手牌で鳴き散らかした結果、

大きい手でも振り込んで、並びを作られて、優勝を逃しでもしたら、

「やっぱり、あのあせった仕掛けが敗因だったね。」

などと言われてしまうものだ。

 

有賀に自由には打たせない。攻めきってやる。そんな強い意志を感じさせる。


結果、有賀から1000点の和了り。

まず親を一つ潰した。

2m3m4m5m7m2p3p4p2s2s ポン3sy3s3s

 

東2局0本場 親:上野 ドラ9m

上野のツモ和了り。

6m7m3p4p5p6p6p3s4s5s7s8s9s ツモ8m

700オール。

有賀にとってはありがたい。

局がつぶれず、坂本の着順が落ちた。



東2局1本場 親:上野 ドラ3p

先制聴牌は11巡目上野。

2m3m4m5m5m5m2p3p4p6p7p7s7s

場には8pが一枚切れているだけだが、ヤミテン。

有賀、13巡目に追いつきこの聴牌。

1m1m1m6m6m6m6p6p6p3s3s中中



一撃で決められる!

次のツモ番、ツモる指にも力が入る。


が、ツモ抽選を受けれたのは一度だけで、根本が上野に8pで放銃。

有賀、お〜〜〜きな溜息。

気を取り直していこう。


東2局2本場 親:上野 ドラ発

最初に聴牌を入れたのは有賀。

8巡目、根本の切った8sにポンテンを入れる。

2m2m3m3m3m3p4p5p5s7s ポン8sy8s8s

11巡目、ツモってきたのはドラの発

さすがにこの手じゃね。

と聴牌を外したが、このはずし方が秀逸。

 

ドラの2枚引きを夢見て5s7sと払いたくなるところだが、
ほぼ、和了りはないと考えて、安全に2mのトイツ落とし。

実はこの時すでに坂本にヤミテンが入っていた。

4m5m6m6m7m8m2p3p4p3s4s6s6s

危ないところだった。

そして、根本が15巡目に聴牌即リーチ。

5p6p7p7p8p9p2s3s4s5s5s発発

根本、一発目のツモは1s

ヤミテンに構えていたら坂本に放銃だったかも!

根本即リー大正解。

結局流局。

東3局3本場供託1.0 親:根本 ドラ3s

根本、11巡目リーチ。

3m4m5m2p3p4p6p7p6s7s8s南南

ここでの点数状況は、

有賀 28300
上野 36300
根本 24100
坂本 30300

並びを作りたい有賀、ツモれ〜〜と祈りつつも残念、流局。

東4局4本場供託2.0 親:坂本 ドラ発

有賀、6巡目聴牌。

3m4m5m4p5p6p6s6s7s8s9s中中

これを坂本から和了りたいが、

供託2本に4本場、さらにこの待ちとあっては見逃すわけには行かない。

有賀←上野 1300は2500(+R×2)


                   ギャラリーも目が離せない

 

南1局0本場 親:有賀 ドラ8m

さあ、いよいよやってきた有賀の最後の親番。

ここまでの点数状況は、

有賀 32800
上野 33800
根本 23100
坂本 30300

有賀1着坂本3着なら、16000点差が必要。

有賀1着坂本4着なら、8000点差が必要。

とにかくここでツモり殺すぞ〜と有賀は思っていたはず。

…で取った配牌がこれ。

有賀配牌 1m2m5m2p5p8p8p4s6s8s東南白発

…ひどすぎる。和了り連荘でしたっけ?


まあ、遅い巡目の勝負になればなんとかなるかもしれんし、

なるべく鳴かれないように丁寧に進めていくしかないわ。

と有賀が選んだ第一打は東

これを坂本がポン!!

「あのポンは今世紀最大の「イラっ(怒)」だったわ」

とは後の有賀の談。


坂本はここから東のポン。

4m7m8m8m9m1p7p8s東東南南中

うん。そうだね。攻めきって勝つんだもんね。

この後、9巡目に坂本が聴牌するまで字牌は一枚も河に打たれない。

上野も根本も坂本を勝たせた「戦犯」にはなりたくない。

有賀でさえ、手牌を狭めて字牌を切らない。

「おれの勝負どころはここじゃない!」

 

坂本、9巡目の自力聴牌は

3m4m7m8m9m南南南中中 ポン東東y東

悠々の一人旅だが結局ツモれず、流局。

有賀、首の皮一枚繋がった。


南2局1本場 親:上野 ドラ9p

坂本、7巡目ポンテン。

1p2p3p1s2s3s5s5s中中 ポン発y発発

その時有賀もドラドラのイーシャンテン。追いつけるか!?

1m1m1m3m4m5m5p6p9p9p6s8s8s

が、願い空しく上野が5sを打ち込んでしまう。

 

南3局0本場 親:根本 ドラ白

ここまでの点数状況は、

有賀 32800
上野 32500
根本 23100
坂本 31600

このままの並びだと、有賀は坂本と16000差つける必要がある。

有賀のオーラス条件を2000-3900以上ツモとするためにこの局の条件を逆算すると、

・600-1200以上のツモ
・坂本から1600以上ロン
・根本から2900以上ロン
・上野からは和了れない

となる。

さて、有賀の配牌。

2m5m9m2p3p4p5p8p7s9s南西発

一番現実的なのは、メンピンツモだろう。

ところが有賀、序盤の手組で字牌を絞ってしまう。

3巡目までの河が2m8p9pとなっている。

ここはさすがに自己都合で字牌をブンブン切り飛ばした方がいいのではないだろうか。

結局4巡目からは字牌を切り飛ばすので、結果的には9巡目には同じ形になる。

3m4m5m6m8m1p2p3p4p5p4s7s9s

ここから打9s

そう。リーチツモに意味はほとんどないのだ。

平和かタンヤオをつける必要が大いにある。

そして、裏目というべきか、11巡目のツモは8s

3m4m5m6m7m8m1p2p3p4p5p4s7s ツモ8s

もちろん自分の河には9sが並んである。

が、フリテンとか関係ないのだ。

坂本直撃がほぼない以上、ツモ専みたいなものだし。

4s切って、広いイーシャンテンだなぁと思ってみていると、なんと打1p!!



有賀、タンヤオと平和を両方つけようとしているのか!!

ここで1300-2600引いても、オーラス1300-2600ではぎりぎり届かない。

条件はほとんど変わらないということだ。

なら、ここで700-1300を引くために全力を尽くすべきだろう。

後で、聞いたら、ラス前の条件まで細かくは考えていなかったらしい。

まあ、こんな大舞台でそこまで考えるのは難しいよね。

結果はどのみち流局。

南4局1本場 親:坂本 ドラ4s

有賀の条件はハネツモか満直。

そして、9割9分、最後の局である。

有賀の配牌。

4m6m1p4p5p5p9p5s7s9s南南北

ホンイツ七対子しか手はなさそう。

一心不乱に筒子と字牌を集める。

そして、13巡目。

6m8m1p4p4p5p5p8p9p南南北北 ツモ8m

ここでホンイツを諦めて、場に2枚切れている1pを捨てる。

坂本は後に「あの1pを見て生きた心地がしなかった」と語っている。

たしかに坂本の立場から見れば恐ろしい。

有賀の河 9s1s7s2m7m5s1s1m5m3s3s4m1p

有賀はこれから5回のツモ番の間に6組目のトイツを作り、さらにドラの4sを2回引かなければならない。

奇跡に近いようなことだが、ここからホンイツ七対子をツモりあげるよりも簡単だろう。

 

奇跡は起こらず。

有賀が最後の牌を河に置いた瞬間、坂本大志の優勝が決まった。


 

 

 



坂本大志は努力の人だ。
12時間雀荘で働き、フリーを打ちにいき、セットをし、少し仮眠。
そんなことを週に3回も4回もやっている。
雀荘で時間が空けば、手出し・ツモ切りを覚えるトレーニングを始める。
なるべく観戦に行けるように対局場の近くに引っ越した。

強くなるために努力をする。
それを常に生活の中心に置いてきた。
積年の思いがあっただろう。
優勝スピーチで坂本は涙を流した。


必死に単語をつなぎ合わせて語る言葉はたどたどしかったけれども、
その姿に会場からは大きな拍手が起こった。

まさし、おめでとう!!

 

 

 

 

文責:園田賢(最高位戦日本プロ麻雀協会)