単なるゲームを人生になぞらえるのは好きではないが、日常での思考・志向・嗜好はこれだけ深く(?)係わってしまったマージャンにはどうしても反映してしまう。
最初の回ではっきりさせておいたが、僕を支えてきたのは「二元論」であり、ひとつの事象に両義性を観てしまう。
「正」と「負」、「陰」と「陽」、「混沌」と「秩序」が絡み合って、生き方や世界を造りあげていると信じている。
おおげさな表現まで持ち出してみたが、マージャンというゲームにもこのことは当てはまるように思える。
デジタル的な側面と、アナログ的な思考も、そう簡単に対立させてしまえるだろうか?
(オカルトまで行ってしまうと、無神論者で在りたい僕は立ち往生してしまう)
自分の事で申し訳ないが、カタチ、手組みに関してはかなりデジタル的に対処するが、総体的な姿勢はアナロジーである。
まず、13枚の配牌から、どこをより良い四面子一雀頭にしていこうか計算していく。完成した、または見込めるブロックを消去していき、13枚を10枚に、7枚に、そして4枚マージャンへとたどり着く。この4枚マージャンは入門者への指導法として取り入れられているが、この単純なカタチへの移行が、僕の基本・原点である。(特に7枚段階での完全イーシャンテン形へのこだわりが強い)
Aリーグの打ち手にこんな事まで持ち出すのはかなり気が引けるのだが、この単純な進行が、どの局面、分岐点で対応を余儀なくさせられていくのか?この時点で打ち手の個性がどうしようもなく浮かび上がってくる。
ここが観戦者としての一番の楽しみどころ。結果が数値として「プラス」になろうが「マイナス」に出ようが……
さて、Aリーグ5節B卓では、デジタル派の巨頭二人、村上と石橋が、やはり独自の世界を確立している平賀と山口まやと共に顔を合わせる。
その1回戦。
東1局ドラ
北家山口が順調なツモでなんと6巡目に
のテンパイ。そこへ8巡目に西家村上からピンフドラ1の待ちリーチが入る。
もちろん山口は現物のをツモ切りで追いかけリーチと出る。そこで親の石橋の手が止まった。
この段階ではまずアガリは望めないだろう。二軒同時の一発消しが頭をよぎる。完全な安全牌はのみ。まぁは打てるだろう。一瞬の逡巡後、ヤマに手をのばす事に…
しばしば石橋はこういう所から動いていく事もあるが、もう少しアガリを望めるカタチからか、完全な安全牌の枚数と残り巡目の計算が出来る時に限られるようだ。
実戦では南家平賀にドラ単騎をツモられ、石橋は2000点の支出となったが、万が一動いていた時は平賀のツモアガリ牌を村上に掴ませて山口の倍満のアガリを演出する事になった??
全体牌譜は次局のもの。二対子しかない南家村上の、どうしようもない部類に入る配牌がなんと五巡目に
ドラ
の三暗刻ドラ1テンパイ。
そして四巡ツモ切りの後、ツモで四暗刻単騎に!
ドラが二枚打たれているので待ちに取った。
さてこのドラがなんと、石橋から二枚続けて手出しされている。
から打。
次巡ツモで四面子一雀頭の5ブロックが見えて、ワンズの下を見切り打。ところが次巡ツモで、ドラの一飜かタンヤオの一飜の選択。動きを入れることも視野に入れるならと、石橋らしいドラの続け打ち。こんなカタチから様子を見て、仕掛け1000点のアガリを取るのもいかにも彼らしい。
三者から見ると、単独のドラ対子落としは石橋のこのおとなしい捨て牌からは考えにくいので、一枚目はともかく二枚目はカラ切りかスライドにしか見えないだろう。
現在待ちの村上も、待ち牌が一枚減って見えるだろうが、石橋に二枚というのは考えにくい。山口の手にはまず0枚。
そして石橋がツモでイーペーコーに変化して打で32000点の放銃へ。
きれいに育てた手だったが、は純カラ、も平賀に暗刻と苦しい。
今期石橋がこの位置に甘んじているのがこの局の結果にも見える。それでも最終戦にはプラス60を超えるトップを取り、次節以降に期待を持たせてくれた。
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