東1局1本場は先手が取れずにオリ、東2局2本場は14巡目にタンヤオドラ2の
チーテンをとるも流局、さらに次局もオリて流局と4連続流局スタートとなった。
ただ一人テンパイ料が取れない崇が25000点、残り三人が31000点。
展開は悪くない。供託が2000点あって4本場、次局はかなり大事な局だ。
次局アガれば崇とのトップラスが出来上がり、この半荘一回で追いつけるかもしれないからだ。
祈るように配牌を取る。
かなり良い。体温が上昇するのを感じた。この手はアガれる。
ただ、首尾よくタンヤオにまとまりそうでも、なるべく鳴かないようにするつもりだった。
もちろん状況次第であるのは言うまでもないが、供託や本場に惑わされ て自分を見失っては
いけない。「何が一番得か」「最も勝ちに近づくのは何か」14年間追及し続け今のスタイルが
あるのだ。この局の目標はとにかく「場に 合った待ちでリーチをかけアガりきること、
ツモアガりならなおよし」である。結果は最高であった。
ドラ 裏ドラ
普段はアガりに向かう時にはなるべく早めに処理 するダブ東だが、5巡目にツモって来たことに加え水巻が2~5巡目に中張牌を4連続手出ししたことがを絞る判断材料となり、最後はを重ねての一発ツモ。裏も乗って20004000、大きくリードすることとなった。
そ して次局、
「今回はあなたがトップになりなさい」と神様に言われていると錯覚しそうなダブリー。
ドラ 裏ドラ
土田さんは観戦記で崇の心の有り様が原因だと書い ていらっしゃったが、
デジタル派の私からすればもちろん全くの偶然である。誰も悪くないし、
自分の打ち方が良かったからこの手が入ったわけではない。
偏り があるのが麻雀、それをどう生かすかは打ち手次第。
運が良くなる方法などあるわけがないと、私は思う。
東4局
ドラ裏ドラ
5巡目にこうなった。
ドラがなのでまたもチャンス手である。
親の飯田が4、5巡目に、と手出ししていて、これがかなり不自然。
西家の水巻が、という切り出しなので、を嫌う理由はない。
よって飯田はすでにイーシャンテン以上であるか、そうでないなら十中八九トイツ手であると
読める。ピンズの一色手や下のサンショクも一応あり得るが、その後の手出しで判断するしか
ない。
こんな時、自分は親の現物である南は絶対に切らない。
ファンパイを切るのを嫌がる人もいると思うが、ひとつ鳴かれたらそれから対応すれば良いと
考える。放銃が最悪の場面、鳴かれるまではさほど悪くはない。
まずはを切った。どこからも声はかからず。次巡ツモで打、鳴かれず。
ちなみに飯田は手出し。よりも大事だったとも読めるし、単にターツ落としの最中に持って来たとも読める。メンゼンの手牌は完全には読みにくい。
可能性だけならまだなんとも言えないが、トイツ手のケースが大半だろう。
次巡、ツモでターツができる。続けてを打つ手もあったのだが、の三枚飛びを見て
打。
次巡、ツモでタンヤオイーペーコードラのイーシャンテン。にがくっつき、
にがくっついた。大して嬉しくはないが、そんな贅沢は言ってられない。DVDの解説ではから切って欲しかった、と言われてしまったが、はギリギリまで切るつもりがなかった
(飯田の現物)ので仕方ない。予定通りも 切るが、またもや鳴かれない。
この時点では「飯田も水巻もチートイのみのイーシャンテンが濃厚。俺がリーチすれば
2人とも降りるんじゃないか?」と考えて いた。自分にドラがトイツなのでチートイドラドラの
可能性は低い。ドラがない、あるいはドラが一枚の状態のチートイのイーシャンテンから
リーチに押し返す のはかなり難しいからだ。
次巡飯田がを手出し。1打目にを切っているが、場には一枚切れの。
ますますチートイに見える。トイツ手であれば四暗刻の可能性もあるのだが、
チートイの可能性のほうが圧倒的に高い。
飯田が2巡ツモ切った後、カンを引いてテンパイが入った。
待ちはカン、捨て牌的には一見悪くないようにも見えたが、変則手が2人もいたら
そんなことは関係ない。場に一枚も出ていない時点で自信など全く持てない。
普通の選択はダマテンであるのは百も承知だ。2着目と25000点以上も離れたトップ目、ダマテンでも8000、待ちに自信はない…
ダマテンにした場合、飯田も水巻もまだ前に来るだろう。が打たれることもあるかもしれない。
ただ、前に来る以上テンパイが入ることもあるだろう。
水巻はともかく、親の飯田はリーチと来る公算が高い。その場合、自分はほぼ降りることになる。
もともとカンに自信がなくてダマテンにするのだから、2着目の親リーチには素直に
頭を下げることになる。
その後、飯田がツモアガったりしたら最悪だ。リーチツモチートイでも3200オール、
裏が乗れば6000オール。
この局での最悪は、自分がダマテンにしたことで飯田にテンパイが入ってしまうことだ。
賛否あると思うが、少なくともこの時はそう考えた。
よって、わりとノータイムで即リーチに踏み切った。リーチに対して向かって来て、
それでアガられるのは仕方がない。これも14年作り上げてきたバランスだ。
結果は譜の通り、純カラ待ちでリーチをかけたトップ目が、親に追いかけられて親マン放銃、
という一見「これがトッププロの麻雀なのか!?」というものであ る。だがしかし、
私はこの局ミスをしたとも思っていないし、この放銃を恥ずかしいとも思わない。
飯田の手牌はだいたい読み通りであったし、(ファンパイの ないチートイ形)、
が山にないのも読み通りだったからだ。
ギリギリまで読みを入れて、最も勝つ可能性が高い方法を選択する。
この局もそれができたと思う。必ず勝つ方法などないのだ。
結局、この半荘は飯田の大トップ、私は42100点持ちの2着という結果だった。
この局が飯田トップのきっかけになったのは間違いないが、私にはいささかの 後悔もなかった。
自分の麻雀が打てている。日本オープンを勝った時も、クラシックを勝った時もそうだった。
最高の精神状態で、第18回戦に突入した。
続く
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