(インタビュー・執筆 徳岡明信)
俺、根が真面目やからおもしろいことも言われへんし、ネガティブやし、自己アピールも苦手やし…
2025年5月11日、最高位戦Youtubeチャンネルで毎週日曜日の夜に放送している「タチアイニーン!」の放送直後に弱音を吐いていた男がいた。それが今回の物語の主人公である。

関西本部所属 44期後期入会
X(旧Twitter):@naga_i1991
筆者と永井は入会当時からの付き合いで永井の優しくおおらか性格に甘えて常にイジったり、ダメ出しをしている。
例の如く今回も「タチアイニーン!」のゲスト後の永井に偉そうにダメ出しをしていた。
いつもであれば、
「なんでやねーん!」「うるさいねん!」「いやいやそんなことあらへんやろ!」など
定型文の様な面白くない返しをしてくる永井も、頭に書いた弱気な発言で返してくる。
(あれ、何か永井さんけっこう追いつめられてない…?)
さすがの筆者も心配になる。それもそのはず。永井の人生を変えるかもしれない一世一代のイベントが控えているのだ。

(画像上段一番右端が永井)
Mリーグ25-26シーズン EX風林火山ドラフト指名オーディション
麻雀プロの誰しもが憧れる、言わずと知れた大舞台。その大舞台に指先が掛かっている。
遡ること、約1年前

EX風林火山『IKUSA2024』を優勝し、第2代SSP(スペシャルスパーリングパートナー)となった。SSPは、チームメンバーが練習会を行う際に練習相手を務めるほか、チームのイベント等へ帯同し選手とともに盛り上げ、外部へチームの魅力を発信していく役割を担っている。
今回はその特典として永井はMリーガーを決めるチームのオーディションに参戦する。
単純計算で3/8×1/4の9.4%でMリーガーになれるのだ。
普段はあまり弱気な発言もしない永井もさすがに重圧を感じているのであろう。
(永井さん、今からMリーガーになろうとしている男がそんな弱気じゃダメでしょう…)永井をもっと世に知らせないと。そして永井の背中を後押しできる様な記事を書かないと深夜1時に芽生えた謎の使命感。
入会当時からお世話になっているツケをここで一旦清算しておこう。今回ばかりはイジり無し(たまにイジっているかも)で永井の生い立ち、人柄、魅力を全世界に発信していこうと思う。
元祖データ派!?
1986年8月10日
愛知県田原市で生を授かった永井。


子供の頃から輪の中心にはおれないけど、目立ちたがり屋ではあったわ。対したエピソードは無いけど、強いて言えば優さん(鈴木優)と同じ高校で、ずっとテニスをやってたんだよね。

麻雀を覚えたのも高校のテニス部の連中と始めたのがきっかけ。子供の頃から一度ハマったらとことん突き詰めるタイプだったから、テニスと麻雀は長く続いているね。学生時代で特に面白い話はないで。
いろいろ聞き出してみたが、本当に特に面白くない話だったので麻雀プロを目指したきっかけに話を進めた。
大学を卒業して今の会社に入ったんやけど、当時住んだ社宅の喫煙所にみんなで麻雀卓を買ってずっとやってた。ほんまにずっと。んで、いつの間にか遊びの麻雀なのに検討するようになっててんな。そこから麻雀をデータで突き詰めていくことに楽しさを覚えたんよね。じゃあもっと強い人がいる所で麻雀打って突き詰めたいってなって。それで最高位戦を受験した。俺、根が真面目やから、ちゃんと志望理由書を作って履歴書と一緒に送ってん(笑)

(永井が最高位戦プロテスト受験時に送った志望理由書)
志望理由書を書いて送るほどの真面目な面を見せる永井は、見事プロ試験に合格。入会後は、データ収集や数字の面からの研究も行っていた。

(永井作成のトーナメント通過率まとめ表)
んで、さっき話したようにデータ取りが好きで、入会から今までのリーグ戦の成績、着順、素点とか全部まとめてる。こんだけ数字とデータが好きで対戦相手のデータとかも取ってんのに、いざ対局中にアウトプットするのが苦手で…
(致命傷もいいとこやな…)
そうしたデータ収集を行いながら、麻雀の勉強も怠らずにひたむきに取り組んできた。
一番お世話になってるのは牧野さん(牧野伸彦)と浅井さん(浅井裕介)やな。当時牧野さんのYoutubeでやっていた「まきラボ」っていう勉強会に出してもらってて。厳しく指導されてくじけそうになったこともあったけど、まきラボのおかげで今の自分があると言っても過言ではないくらい感謝してるよ。
ここで、永井が一番お世話になっているという牧野、浅井から永井についてのコメントとオーディションへの応援メッセージをもらったので見て頂きたい。

牧野伸彦
永井さんは最高位戦関西の後輩で入会してから麻雀を教えたり、遊んだりしてます。人当たりが良くて永井さんのこと嫌いな人はいないですね。顔も広いです。(物理的にも)オーディションは、周り凄い人ばかりですけど、緊張せず自分に出来ることをやってきてほしいですね。面白くないけどこれで!

浅井裕介
まきラボで麻雀見るようになったんだけど、とんでもなく下手で。他の参加者は着実に成長を感じさせるのに対して、永井さんはやってる意味ある?ってくらい変わらなくて。
プロが何年もやって成長もせずに下手なままって事に対して私はかなり悪い感情を持ってるので、このまま変わらないくらいなら嫌になって辞めても良いくらいのつもりで結構厳しく教えてたつもり。ただ天性の人の良さもあって人間的には大好きで。だからこそ色々思うところがあった。
ようやくここ最近麻雀が変わってきたのではと感じ始めてきたタイミングでSSP勝って、1個でも形になった事は今まであれだけ言われても続けてきたご褒美で本当に良かったなあと思いました。
相手は正直死ぬほど格上だけど、真っ当にやったらそのメンバーが本当に人生をかけて全力でぶつかってくる対局に出られることは今の永井さんにとってむしろ一生の財産になると思います。
結果は水物だけど、今出せる力は出し切って戦い抜いてください。お互いMリーガーになろうな。
要所でツイてきた人生、そして初の栄光へ
まぁさっきも言ったように麻雀はめっちゃ下手やったけど要所要所では何かツイててん。
それが最初に発揮されたのは第45期新人王戦やな。予選から準決勝までまぁ中々のツキ方で決勝まできたけど、決勝では2ラス引いてほぼ目無し。それでも最終戦に南2の親番で11本場まで連荘してさ、全員の終電を無くして総合3位まで上がったなぁ。
(なんて迷惑なやつなんや…)
本人曰く要所で「ツイていた」麻雀プロ人生。しかし最高位戦のリーグ戦では、入会当初マイナスを叩いていた。
しかし永井の真面目な勉強の成果あってか、徐々にプラスを積み重ね、成績を伸ばしていく。そして訪れたのが、EX風林火山の2代目SSP決定戦だった。
ほんでよ!やっぱ人生で一番ツイてたと言っても過言では無いのが2代目SSP決定戦。これはいっぱい語らせてや。
まず地方在住のプロっていうのは大変やなっていうのを改めて実感した。予選、準決勝、決勝と東京に通ったけど、めっちゃお金かかるのよ。夜行バスで行ったり、ホテル高すぎるからネカフェに泊まったり。ぶっちゃけめちゃくちゃ大変でしんどかったけど、だからこそ優勝した時は報われた感が凄くてめちゃくちゃ嬉しかった。
決勝では同じ関西から通っていた連盟の覚野くん(覚野陽生・日本プロ麻雀連盟)と優勝争いをしたのも一つの思い出やな。最終戦は俺と覚野くんトップ獲った方が優勝っていう構図で、東2局の時点ですでに覚野くんに32500点差付けられて、正直もう無理やと思っていたんよね。途中、こんだけ応援してもらったのに敗退コメントどうしようとかも考えたりしてたくらいで…
そしたら東4局の倍満ツモと南1局の親での跳満直撃でまくれちゃって。もう本当にツイてた。手がめちゃくちゃ震えてたもん。

(東4局は高め三色でド高めの赤5萬ツモ)

(南1局は永井の現張り三面張でオリられない覚野からの一発ロン この2局が永井の麻雀人生暫定1位の輝きだ)

晴れて永井はEX風林火山二代目SSPとなった。無名の地方麻雀プロにとってはこの上ない称号を手にしたのである。
永井は関西から全国のタイトル戦予選やプロアマ等の対局によく参加している。いわば「フッ軽」系雀士だ。しかし、このモチベーションを保つのも簡単ではない。莫大な交通費や時間を割いて負けが続けばモチベーションは必然と下がっていくものである。
しかしながら、負け続けても永井の心は折れなかった。逆に年々永井のモチベーションは上がっているようにも感じた。麻雀が心底好きでいろんなところで麻雀を打ち、いろんなところで負けを経験し、次こそは、次こそはと日々野心を高めて全国を行脚した。
その行動が報われた瞬間だ。
二代目SSPになってからはほんまにええ経験させてもらっているわ。
まず一番大きいのが付き合いの幅が大きく広がったね。風林火山の藤沢監督(藤沢晴信・日本プロ麻雀連盟)、亜樹さん(二階堂亜樹・日本プロ麻雀連盟)、勝又さん(勝又健志・日本プロ麻雀連盟)、松ヶ瀬さん(松ヶ瀬隆弥・RMU)、瑠美さん(二階堂瑠美・日本プロ麻雀連盟)をはじめ、チーム関係者の皆様にとてもよくしていただきました。
特に勝又さんとはとても仲良くさせてもらっています。麻雀で分からない事があってLINEしたら丁寧教えて頂いたり、自分が出ている配信も見てくれていたりと。ほんまにありがたいです。
凄い思い出に残っているのが、SSPになって初めて勉強会に参加させてもらった時に勝又さんからボロクソにダメ出しされたんよね、もうこの先やっていけるのかめちゃくちゃ不安になって…。んで後日に園田さん(園田賢)がその話を勝又さんから聞いて、心配してLINEくれたのよ。
「かっちゃんはズバッと物言うタイプだけど麻雀にとても真面目だから。適度に気にして頑張って!」って。
凄く救われたし、こうやって先輩に気にしてもらえてめっちゃ有難いなと強く思ってんな。
あとは同じMリーガーの元太さん(竹内元太)にもよぉ仲良くしてもろてる。コロナ渦のときはほぼ毎日天鳳で勉強会開いてくれたりして。今はオーディション対策で赤アリ麻雀を教えてもらっているし。あと、元太さんがMリーグでトップ獲ったら毎回「おめでとうは?」ってLINE来るのよ(笑)
こんなにMリーガーの人達から愛されて俺は幸せ者よ。なので今度は自分がMリーガーになって後輩達に愛を持って接していきたいって強く思ってる。

(EX風林火山のメンバーとのオフショット)
伊達に永井は全国を飛び回っているわけではない。持ち前の明るさとイジられやすさ。永井は最高位戦選手の中でもかなりの人脈を持っている。先輩後輩関係無く交友が多いのだ。
ひとたび会えば打ち解けられる、そしてイジってもらえる。これはもう立派な才能である。
永井さん頑張れ!応援メッセージ
前述の通り、永井の人脈の広さから「永井軍団」なるものが結成されている。
(本人は認めていないが内心喜んでいる)
ここからは永井軍団所属者からの永井軍団長へのメッセージをもらっているので紹介していく。

竹内元太 第47・48期最高位 セガサミーフェニックス所属
東京来たらよくうちで飯食っていくよ!大きいやかんと小さいやかんくれた!Mリーグで戦おうね!
(小学生の感想文かな?)

永井軍団長がEX風林火山のIKUSAで、東京通っとって大変そうだなと思っていたら、ある日財布を忘れて東京に来たことがあってうちでメシ食わせてやったのですよ。ぜひオーディションを優勝してあの日のメシを100倍返しにしてください応援しております!
(見返り求めすぎでは…)

永井軍団長にはいろんなところで大変お世話になっています。同じサラリーマン雀士として仲良くしてくれていることにも凄く嬉しいし、関西に行ったときはご飯も必ず誘ってくれるし。人望もあってまさに関西本部のシンボルですよね。オーディション優勝してMリーグの舞台で活躍する永井軍団長期待しております!
(そんなおだててもいいことないよ)
他多数(人数不明)の軍団員からの応援メッセージを頂いたが尺の都合上抜粋して掲載させて頂いた。そして永井が最高位戦で最も仲がいいと語るこの人にもメッセージを頂いた。

多分麻雀プロ仲間で1番一緒におる時間長いし、めちゃくちゃ色んなところ一緒に行ったりしたから思い出ありすぎてキリが無いからから応援メッセージだけ。
ほんとに麻雀が大好きで、色んな対局にも出て、色んな勉強会にも参加していたの知っているからほんまに頑張ってほしいと思っているし、永井さんがMリーガーになったら喜ぶ人たくさんいるのやろうなって、周りの人達の笑顔が思い浮かびます。関西のみんなの応援を力にして、頑張ってね!
前者3名より遥かにクオリティの高いコメントをありがとう。永井がインタビューの際にどうしても記事内に書いて欲しいと懇願してきたことが1つある。それが、足立玲が経営する「麻雀Bar Hana Hana*」のことである。

(麻雀Bar Hana Hana*での写真)
Hana Hana*はほんまに俺の競技モチベーションになっていて、勝っても負けてもこの場所でいろんな人が話題にしてくれんねん。その度に麻雀プロやっいてよかったなって思う。
今回のオーディションで優勝してHana Hana*のお客さんに喜んでもらいたい。
筆者の見るからに、ここ最近で永井を応援する声は莫大に増えている。もちろんIKUSAでの優勝が大きな要因ではあるが、根本は永井の人柄に付随するものであると思っている。
天性の愛されキャラが応援を力に変えたとき、理論では語れない強さを見せてくれるのではないだろうか。
掴め!麻雀ドリーム!
最後に6月15日より行われるオーディションについて意気込みを語ってもらった。
結果は時の運、とにかくいい内容で麻雀を打ってそれを多くの人に見てもらいたい。
本音をいうと俺は先頭に立って何かをしたりするのは苦手やし、目立ちたいっていう欲は無いねんけど、沢山の応援してくれる人達が喜んでくれる事を願って勝ちたい!俺がこのオーデションメンバーの中で一番恵まれているんやで!
永井らしい意気込み、それでも冒頭の弱気は既に払拭した清々しい意気込みだ。
このFACESを作成するにあたって永井と沢山の話をした。最初は本当に不安であった。自己アピール力が乏しすぎて全然話を聞き出せなかった。それでも必死に聞き出した。永井孝典という男がMリーガーになる前に。永井孝典という男が沢山の人に伝わる様に。そして永井孝典という男が成長していく様を見てもらう為に。
全国約3000人はいる麻雀プロ。その中でも無名に近い男が麻雀界最高峰の舞台に立つ。こんな麻雀ドリームは過去を見ても絶対に無い。その第一人者になって欲しいと心から思っている。
永井がこれから挑む大舞台、そこには人生変えちゃう一牌が眠っているはずだ。永井の麻雀人生の沸点はすぐそこまで迫っている。


