コラム・観戦記

【第24期發王戦決勝戦観戦記 ~前置き~ 】玉利一

 第24期發王戦 決勝戦 観戦記

 

「天鳳予選から出場の選手が決勝戦進出!!」

 

「誰が勝ってもGⅠタイトル初戴冠!?」

 

 

「水巻發王位の3連覇なるか!?」という目玉はなくなったものの、今年の發王戦決勝も非常に注目度の高いものとなった。

 

私個人としても、發王戦の本戦から行われる最高位戦ルールを用いたトーナメント方式という大会システムがお気に入りなので、そのトーナメントを勝ち上がった4名の麻雀を勉強させて頂こうと2月11日(木・祝)決勝戦の日を楽しみにしていた。

 

が、2月8日(月)、一通のメールによりその楽しみだったドキドキ感は、プレッシャーのドキドキ感へと変化した。

 

事務局からの観戦記執筆の依頼…。

 

嬉しさからすぐに喰いついたものの、冷静に考えると関西の末端リーグに所属の無名選手がこの大きなタイトル戦決勝の観戦記・・・身に余り過ぎる(汗)。

 

ましてや個人的に観戦記で好きな作品というのは対局者たち“人間”を描いた、まるで短編小説を読んだかのような心地よい読後感を与えてくれる作品だが、私は今回決勝戦へ残った4名についてあまり情報を持ちえていない。

 

ならば対局場へ行き、現場の熱を感じ、対局者から話を聞いたりして・・・という手段もあるのかもしれないが、丁度その日は別の配信に出させて頂ける話が来ていた為、それも出来ない。

 

ならば出来ることは何なのか・・・と考えた結果、今回は麻雀の局面によりスポットを当てた作品にすべく、局面図を多用した作品に挑戦してみようと思う。

 

そこで、観戦記の依頼を頂いてすぐに「オンライン対戦麻雀・天鳳(http://tenhou.net/ )」の運営さんに連絡を取って「牌譜エディタβ(http://tenhou.net/6/)」で作成した局面図の仕様許可を打診。そして快く了承して頂きまして、今回の観戦記作成へと着手することが出来ました。有限会社シー・エッグ様、ありがとうございます。

 

私にプレイヤーの意図は分からない。選手へインタビューしての正解も載せていない。読む人が生放送では感じづらい一人称視点からの局面を見て、自分ならどうするだとか、この時プレイヤーはどう考えていたのだろうかとか、そういった感じで書き手(私)と一緒に考えながら楽しんで頂ければ幸いです。

 

とまぁ少々前置きが長くなってしまったが、ここからが本編。

 

最高位戦日本プロ麻雀協会主催、發王戦。

 

今年で第24期を迎える歴史と伝統のあるタイトル戦である。

決勝以外の対局は全てトーナメント戦で、同卓4人から2人勝ち上がりを繰り返していくシステム。

決勝は5半荘のトータル成績で勝負を決する。

ルールは最高位戦ルール。

 

決勝戦へ進出したのは、設楽 遙斗プロ(最高位戦)、中嶋 和正プロ(最高位戦)、石田 時敬プロ(最高位戦)、夏目さん(一般・天鳳予選)の4名。

 

◇ 設楽 遙斗 (シタラ ハルト)

 

1973年12月26日生まれ O型 東京都出身

 

最高位戦日本プロ麻雀協会 第28期前期入会 Aリーグ所属

 

今期リーグ戦では最終節にそれまで独走していた宇野公介プロを捉え、1位で決定戦進出を決めた。

 

しかし自身初の最高位決定戦では▲212.9ptの4位と惨敗。今シーズン2度目のGⅠタイトル戦決勝の舞台、その意気込みは並々ならぬものがあるだろう。

 

武闘派として有名らしく、今回の観戦記執筆にあたって最高位戦関西本部の先輩である友添敏之プロから「変なこと書いたらぶっとばされるから注意するように」とアドバイスを頂きました。数日後、私の顔が腫れていたら犯人はこの人です!w

 

◇ 中嶋 和正 (ナカジマ カズマサ)

 

1982年2月16日生まれ A型 千葉県出身

 

最高位戦日本プロ麻雀協会 第33期前期入会 Aリーグ所属

 

今期リーグ戦では配信卓となった最終節。最終半荘まで降級の危機を背中に感じながらも、1着順差が20ptある最高位戦ルールにおいて11位と10.1pt差、12位と24.8pt差の10位でAリーグ残留を決めた土俵際の魔術師!

 

◇ 石田 時敬 (イシダ トキタカ)

 

1978年2月7日生まれ A型 神奈川県平塚市出身

 

最高位戦日本プロ麻雀協会 第34期後期入会 B2リーグ所属

 

今期リーグ戦では+3.0ptの15位で残留。

 

好きなタイプは「知性と可愛さを兼ね備える人」。

 

◇ 夏目 (ナツメ)

 

360万ID、アクティブユーザー30万人超というインターネット麻雀の中でも最もハイレベルと言われる「オンライン対戦麻雀・天鳳」において、最高段位十段、現九段という一握りしかいないトッププレイヤーの一人。

 

その天鳳にて行われた鳳東(鳳凰卓・東風戦)予選を1位で通過し、本戦2回戦シードを獲得。数々の強豪プロ、シード選手を一蹴し、決勝戦へと駒を進めた。

 

着順にのみ評価ポイントの付く天鳳ルールでの対戦は、当然着順への意識が最も優先される。1着順差がそれぞれに等しく、かつ20ptと大きな差を持つ最高位戦ルールにおいても着順取りの重要性は高く、ましてやトーナメントともなるとそういった着取りの巧さが勝敗を左右すると言っても過言ではないだろう。つまり、今回のような天鳳のトッププレイヤーである夏目選手の勝ち上がりは、納得の事象であると言えよう。

 

京都市下京区寺町通り五条上ル西橋詰町762番地 京栄中央ビル8階で「マールカフェ」というオシャレなカフェを経営している最高位戦関西本部所属の先輩・友添敏之プロの話によると、ニ年前に發王戦トーナメント4回戦で夏目選手と対戦したことがあるという。

 

そこで調べてみると、2013年11月に開催された天鳳・鳳凰卓予選では鳳南(鳳凰卓・東南戦)予選を1位で通過し、本戦3回戦シードを獲得していた模様。高い雀力もさることながら、「發王戦」という大会との縁も感じずにはいられない。

 

「發王戦」は18歳以上であれば誰でも参加できるオープン大会となっているが、競技団体に所属していない選手の優勝は過去なく、一般代表であり、天鳳プレイヤー代表である夏目選手がこの決勝戦でどのような活躍を見せてくれるのか、最も注目の選手であるのは間違いないだろう。

 

第22期より發王戦決勝は「麻雀スリアロチャンネル(http://threearrows-ch.com/)」にて生配信を行っている。今年は「ニコニコ生放送(http://live.nicovideo.jp/)」に加え、「Ameba FRESH!(https://amebafresh.tv/)」でも配信。

 

実況は当会所属、今期B1リーグへの昇級を決めた日向藍子プロ。解説は水巻渉プロ、石橋伸洋プロ、佐藤聖誠プロの歴代發王位・御三家。

 

石田「すごい緊張しています。結果はなるようにしかならないと思いますけれども、勝っても負けても視聴者の皆様に印象の残る闘いを見せたいと思います。」

 

中嶋「今回初めて決勝ということで、一番を獲りに行く麻雀をできればなと思っています。ちょっと緊張しています。」

 

設楽「今日の面子もみんな初めてっていう面子ですけど、実際予選の準決勝準々決勝とか見てももの凄いレベルの高い面子をやっつけてきている面子なので、今日はみんなで凄い楽しい対局を作りたいと思いますので、はい、がんばります。」

 

夏目「今日も緊張しています。こんな機会は2度とないと思うので、悔いが残らないように頑張ります。」

 

各プレイヤーが意気込みを語り、いざ対局開始!

 

 

 

(文 : 玉利 一)

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