コラム・観戦記

【36期C2リーグ第5節自戦記】鈴木優

第36期、前期に最高位戦に入会しました鈴木優です。
 
実は数年前、最高位戦に所属していたのですが、地元である愛知県の豊橋市で自分のお店を持つ

とゆう夢を実現させる為に退会し、東京を離れ24歳の時『麻雀ばとるふぃ~るど』をOpenしました。
プロを辞め、田舎の自分の店で若い子相手に牌を握る毎日。来る日も来る日も麻雀牌と触れ合う事ができ、楽しい日々ではあった。しかし、自分の店のフリー麻雀でなかなかマジ打ちする事ができるはずもなく、自分の夢を実現したのだが真剣勝負する場所がなくなってしまった。

手加減などせず、自分本意に目一杯麻雀を打ちたい!という気持ちをずっと押し殺していました。
けれど、元々麻雀大好きでこれしか取り柄のないダメ人間。自分の気持ちを隠し通す事はできません。なかなか自由に休めないスケジュールの中、いつからかタイトル戦の予選などがあれば出場し、他団体様のアマチュアリーグ戦にも参加させて頂いてました。
 
お店の方もやっと少し余裕ができ始め、やはりプレイヤーとしての自分の可能性を発揮してみたくて、最強戦の決勝戦で闘った張プロに推薦して頂き、最高位戦に復帰させて頂ける事になりました。
 
復帰してすぐ、久しぶりのC2リーグ前期では、自分の中で完全にバランスや勝負に対する感覚や

臭覚が機能しなくて、全く麻雀をできていませんでした。
最終節最終戦。

昇級までトップか大きめの2着条件でしたが、満たす事ができずに残留となってしまいました。
かなり生意気なのは承知の上なのですが、ありがたい事に周りの方々に期待や応援などをたくさん頂いて、当然の様に昇級しないといけない!!と強い意志を持っていたのですが・・・。何よりも僕を推薦してくれた張プロに申し訳ない気持ちがいっぱいで、自分がすごくすごく情けなかったです。今冷静に思い返せば、昇級して当たり前だという焦りから、内容なんて全くない酷い麻雀でした。
 
 
前置きが長くなってしまいましたが、リベンジを誓い始まったC2リーグ後期。32名が2組に分かれ、それぞれ3位までが昇級できます。
 
4節終了時のポイントは、
1位 西川 +315.2
2位 僕 +231.4
3位 西嶋 +101.1
 
となっており、最終節の目標は、昇級を確実にする為1トップを取る事。1半荘目にそれをクリアできれば精神的な部分も含めて、かなりのアドバンテージになる。
スタートいきなり2連ラスとかひいてしまって、焦りから変に守りを意識しすぎてバランスを崩したり、自分の麻雀が打てなくなったり、ブレてしまわない様に、1回戦は特に何も考える事などなく、ポイントを忘れて普段通り打つだけ。
 
最終節の同卓者は、阪元、竹内、山崎。いきなり混一のテンパイから3900放銃で始まる。そのままこれといった見せ場もなく29300点の3着で終了。
△10.7。
 
一応別卓を確認すると、トータル1位の西川がトップスタートだったので、ほんの少しだけ頭の片隅にあったトップ昇級の賞金の事は完全に忘れる事にしました(笑)
 
 
そして始まった2回戦。普段より若干守備に気を遣い、押し引きをハッキリさせつつ、いつにも増して、他家の進行状況や打点、目線や手つきなどに神経をつかった。
この半荘も全く本手が入らず、安くても先手を取れる時にセーフティーな間合いまで前に出て、受け流してばかりだった。自分の和了りによる見せ場も、印象的な局も、振り返る場面もなく30800持ちの3着でフィニッシュ。
△9.2。
 
 
3回戦、何か悪い事でもしたかなぁ?なんてオカルトを感じてしまうほど何も起こらず、他家のテンパイを遅らせる、牽制を込めた仕掛や捨て牌。形式テンパイでの収入や、一発消しをしたりさせたり。ハイテイをずらしたりずらさせたり・・・胸を張ってゼンツで自分から向かえない局面ばかりだったので、放銃と親の連荘に気をつけながら、自分の観戦者がいる中、素点をできるだけ減らさない事とラスを引かない事を最大限に考えて打った。
お世辞にも美しいとは言えないが、自分にできる努力を精一杯堂々とした。
 
普段は自分では先手と手数で勝負する速攻派で、結構よく鳴く方だと思う。
この日の対局はメンツ的にも終盤まで局が進行する事が多く、特に受けている時などは情報量も多く、守備にも気を遣いつつ、安手でも前に出やすかったのですごく打ちやすかった。とても展開に恵まれていた。
 
 
最終戦を前に、現状は+198.0でトータル2位。
別卓で3位4位5位が同卓の上、ボーダーまで約80p程の余裕があったので気分的には楽でしたが、これまでの麻雀人生で、幾度となく麻雀の怖さを経験し、麻雀に絶対がない事は分かっているので、当たり前だが気を引き締めて臨んだ。
 
東3局、巡目も場況的にもかなり優秀と感じる両面テンパイが入り、先制リーチ。それに対し、親番の竹内がドラの
単騎の七対子で追いかけてきてツモ。

裏々で8000オール・・・。う~ん、でかいラスは困る。
 
次局の僕の親番。今日これまで5200を1回和了ったのが最高打点だった僕の配牌。

 


 
ドラはなく、
から打ち出した。絶好のツモに恵まれ、

みるみる内に手牌が変化を遂げ、なんと7巡目には

 

 
ポン材はすべて生牌だったが上家から出た
をスルーした瞬間のツモが
 

 


 
は下家が2巡前に1枚切っている。
なら倍満テンパイのまま四暗刻にわたれる・・・が、

当然そっと河にを置いた。上家が次のツモをし、手出しをする時にだなと感じていた。
メンホン
白發・12000。
 

こうして最終節、最終戦をトップで締めくくる事ができた。結果は2位でC1リーグへ昇級!!
 
 
愛知県でお店を経営しているので、何かある度に朝一でなかなか座れない新幹線に乗り上京している。
 
それでもリーグ戦は勿論であるが、どんなタイトル戦も可能な限り参加して、できれば勉強会などにも積極的に行って、勉強させて頂きたいと思っています。僕がたくさん勉強して強くなって、みんなに教えなきゃ。
 
 
僕が18の頃、初めて麻雀に魅せられ、引き付けられてしまって以来、初めて自分と同じ位麻雀が好きなんじゃないか?大切に思っているんじゃないか?と思える人と出会った。
自分の店をOpenしてから空白になってしまっていた真剣勝負場所。もう必要ないなんて思っていた自分の麻雀の向上の為の努力。僕が少しの間忘れかけていた気持ちを思い出させてくれた。
その人は間違いなく、今日もきっとなかなか言う事を聞いてくれない、可愛いくて小さな直方体と真剣に向き合ってる。
 
 
9月でついに30になってしまいましたが、これからもお店の経営、最高位戦選手としての麻雀プロの活動、麻雀界の発展の為に、微力ながら自分にできる事から精一杯やり、近い将来プレイヤーとしてもいい結果を残せる様に、惜しまず努力していきたいと強く思っております。
 
 
文責 鈴木優

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