第36期B1リーグ第8節自戦記を担当いたします、浅埜一朗です。
Aリーグでトッププロ達と戦いたいという夢を持って、第32期後期に開いた最高位戦への扉。
ここまで自身の予想を上回る早さで、Aリーグの一歩手前まで辿り着きましたが、初となるB1リーグは厳しい現実が続いています。
それが麻雀であり、おそらく今の私の実力なのだと思います。
麻雀の魅力を簡単に言うならば、「それぞれが違った思考や意思を持つ人間4人で行うゲーム」ということだと思います。
そういったゲーム性から、私は何切る問題で毎回正着打を回答出来る人よりも、卓上の他の3人の心理状態を完璧に読みきれる人の方が強いと思ってます。
極論ですけどね。
私自身は他家の心理状態を完璧に読みきれるどころか、まだまだ相手の手牌読みや山読みの技術もトッププロには及びません。
それでも普段の麻雀から「1巡の大切さ」や「球際(=勝負どころ)の強さ」は特に意識して打つ様心がけています。
そんな思いを抱えて臨んだ第8節、この日一番のターニングポイントとなったのは2回戦オーラスの出来事でした。
現状3着目ですが、満貫ツモでトップ、2000点出アガリで2着の場面。ラス目もそんなに離れてはいない状況です。
(西家、9巡目)
ドラ
関連牌はとが場に河に1枚ずつ。
勿論2着でも良しでピンズは全て鳴くつもりでしたが、この時私の一番の気がかりは、ラス目の北家が早そうなこと。
7巡目にを手出しで切っており、将来的にがかなり危険な牌になると予測していました。
そんな状況下で10巡目に引いてきた牌は2枚切れの。
ツモ
点棒だけを考えれば、少しでも受け入れを広くしておきたい状況。
しかし北家からまだ聴牌気配は出ていないものの、先に触れた通りは抱えることで巡目を追う毎に危険度が増して行きます。
勿論相手が聴牌する直前まで抱えられれば理想的なのでしょう。
しかしどんなトッププロでも、聴牌した人の待ちをある程度読むことは出来ても、その人がいつ聴牌できるかまでは分かりません。
熟考の後、選択したのは打。
打
の受け入れが無くなるのは痛いですが、先のリスクを回避する為に安牌を残す形としました。
同巡ラス目の北家がリーチをし、一発目に引いた牌は!
ツモ
迷わずを横にして追いかける!!
紙一重で危険牌を処理して作った最終形、流石に勝ったか?
そして13巡目にツモ!!!
(北家、13巡目)
ツモ ドラ
私自身はこの局最善と(思える)手順を踏むことができましたが、結果は失意のラス落ち…。
「麻雀というゲームは、実らないかもしれない最善手を選び続けるゲームである。」
最高位戦HPの村上現最高位のコラム冒頭に書かれていたこの言葉が頭を霞めました…。
結局第8節の結果は1,4,3,4で計▲48.6。
好スタートを切るもその後が続かず、ポイントをかなり減らす結果となりました。
ここ何年か各リーグの成績を節毎に見ていると、(特に中盤以降)上位陣が勝ちを積み重ね、下位陣との差を更に広げて行くケースが多い様に感じます。
「現状のポイントは気にしない方が良い」という考え方は一理あるとは言え、各々に目標(昇級or残留)があり、意志があります。
そして何より一人の人間として、それぞれが違った思考や意思を持って勝負に臨んでいます。
今節は1回戦でトップを取ったものの、この2回戦のオーラスは昇級を目標としている私にとって痛すぎる結末となりました。
(認めたくはないですが)その焦りが3回戦以降のバランスも崩すことになったのかもしれません。
半荘毎の利益/不利益でバランスを悪くしている様では、これから先上位との差を縮めることはおそらく難しいでしょう。
技術力と共に、精神力もまだまだ未熟であることを痛感しました。
―36期B1リーグ第8節終了時結果
1 中嶋 龍太 257.6
2 山口 まや 206.5
3 清原 大 199.0
4 谷口 竜 180.1
5 山内 雄史 161.3
6 浅野 剛 123.1
7 嶋村 俊幸 112.6
8 新井 啓文 21.0
9 坂本 大志 13.9
10浅埜 一朗 -53.1
11武中 真 -79.7
12齋藤 敬輔 -112.8
13 冨澤 直貴 -123.1
14 篠原 健治 -244.8
15 中村 英樹 -301.8
16 いわま すみえ -419.6
泣いても笑っても残り4節16半荘。
高い目標に冷静さを失わずに戦いたい。
文責:浅埜 一朗(文中敬称略)