【第35期最高位決定戦】全20回戦の闘いを終え、精魂尽き果てた選手たちが、その表彰式で語ってくれたコメントをまず紹介しておきます
[永世最高位飯田正人]…準優勝
「体調面の不安を抱え、決定戦に出場できるかどうかわからないなか、もし出場できる状態に戻れば、最期の闘いにしようと思っていたし、ブログでもそのような想いを書いてました。
でもいざ闘ってみると、やはりこの舞台は最高の舞台だなということが実感でき、新たな闘志が湧いてきました。なので体調を万全にしてリーグ戦に臨み、村上三冠王に挑戦したいなという思いが強くなりました」
[水巻渉]…第四位
「初日・四日目が崇の日、二日目が飯田さんの日、そして三日目がズンタンの日だったから、最終日はきっとボクの日になる、そういう思いで今日卓についてました
ところが全然いいところがなく、情けないくらいの惨敗を喫してしまいました。そんなボクとは対照的に、ズンタンは自分のスタイルを貫いて素晴らしい勝利を収めました
凄いな、ズンタンは!完敗です」
[佐藤崇]…第三位
「DVDの撮影が入り、モニターでの観戦という最高位戦の歴史に新たな1ページを飾る対局に加われたことは、実に嬉しいかぎりでありました
また下のフロアから伝わってくる振動で、いかに盛り上がってるかがわかり、1選手にとどまらない喜びがありました
にもかかわらず、首位で迎えた最終日の私の麻雀ときたら話に全くならない内容で、正直言って今のボクには今日の配牌とツモではムリだったと思います。きっと神様がもっと修業しろと言ってるんだなと思いました
日ごろから仲が良い水巻とズンタン、そして尊敬している飯田さんと五日間、この舞台で闘えたことは財産になると思います
どうもありがとうございました」
[三冠王村上淳]
「高校時代から雑誌を読むにつけ、飯田・金子に憧れ、プロになっていつの日か倒したいと思っていた夢がついに叶いました
水巻は、家が隣だったこともあって、ず~っと一緒に勉強してきて、お互いにデジタル麻雀の先駆者としての自負があります
そしていつも《アホか》とか《こんなリーチ打つ奴いるか》などと罵られ、勝てる気が全くしなかった崇
自分たちの麻雀とは異質のバリバリの古久根派で、きっと究めればカッコイイ麻雀なんだろうな~と思ってた崇
この三人で打てたことが夢のようですし、勝てたこともまだ夢を見てる気分です
勝因をひとつ挙げるとすれば、片山さんの<オカルトシステムNo.1>にある、相手三人を一番リスペクトしていたのが自分だったからなのかなと。あれ?俺オカルト派みたいだ(笑)
みんなのことを尊敬していたから勝てたんじゃないかな、そんなふうに思ってます」
村上三冠王誕生は、根本女流最高位五連覇に勝るとも劣らない偉業であり、間違いなく麻雀界の歴史に燦然と輝くものであります
心から祝福させて貰いたいですし、その偉業達成の場に臨席できたことを感謝したいと思います
さて…最終日の速報についてですが、経過ではなく結果が出てしまった以上、敗者の足跡は観戦記に譲ることとし、村上三冠王の足跡だけ拾わせていただくこと、どうか御容赦ください
尚、観戦記は初日~最終日まで、全五部構成にし、一部ずつ順次公開していきますので楽しみにお待ちください
最終日東1局村上コレクション
No.1《17回戦東1局東家》ドラ
配牌
第一打…
第二ツモ……打
第三ツモ……打
第四ツモ……打
第五ツモ……打
第六ツモ……打
第七ツモ……打
第八ツモ……打
第九ツモ……ツモ切り
第十ツモ……打
第十一ツモ……打
(リーチ)
<結果>…流局・一人テンパイ
No.2《18回戦東1局北家》ドラ
配牌
第一ツモ……打
第二ツモ……打
第三ツモ……打
第五ツモ……打
第六ツモ……ツモ切り
第七ツモ……打
第八ツモ……ツモ切り
第九ツモ……ツモ切り
第十ツモ……ツモ切り
第十一ツモ……ツモ切り
第十二ツモ……ツモ切り
第十三ツモ……打
(空切り)
第十四ツモ……ツモ切り
第十五ツモ……打
第十六ツモ……ツモ切り
第十七ツモ……打
<結果>…第二十巡目、東家飯田からが出て(8000点和了)
No.3《19回戦東1局北家》ドラ
配牌
第一ツモ……打
第二ツモ……打
第三ツモ……打
第四ツモ……打
第五ツモ……打
第六ツモ……打
第七ツモ……打
第八ツモ……打
第九ツモ……打
(リーチ)
<結果>…東家飯田が14巡目に追いかけリーチをし、一発でツモり4000オール(▲4000点)
No.4《最終戦東1局北家》ドラ
配牌
第一ツモ……打
第二ツモ……打
第三ツモ……打
第四ツモ……打
第五ツモ……ツモ切り
第六ツモ……ツモ切り
第七ツモ……ツモ切り
第八ツモ……打
第九ツモ……打
(リーチ)
<結果>…流局(一人テンパイ)
なんと村上三冠王は、最終日東1局すべてにテンパイを果たし、うち3局でノミ手リーチをかけ、うち2局を流局させ一人テンパイに持ち込んでいる
唯一ヤミテンに構えた局のみ和了をモノにしているところが面白く、最終日が村上三冠王の一日になった象徴的な1局だったような気がしてならない
そして決定打の1局も披露しておこう
No.5《最終戦東2局西家》ドラ
配牌
第一ツモ……打
第二ツモ……打
第三ツモ……打
第四ツモ……打
(リーチ)
そしてリーチがかかった直後の飯田の手牌がこれ
そして運命の巡目がやってくる
飯田はこの最終戦、村上に四万点差をつけてトップをとるか、二万点差をつけて村上を三番手以下に落とすか、トップをとり村上をラスに落とせば自動的に優勝が勝ち取れる位置にいた
東1局が、コレクションNo.4の村上一人テンパイの絵図で終わっただけに、この局も怯んだ勝負になると、四万点差をつけられる流れに持ち込めないと永世最高位は考えていたはずである
そして運命の7巡目、村上は飯田がノドから手が出るほど欲しかったを持ってくると、飯田はノータイムでチーし、打
でテンパイをとった
チー
すると次巡、村上はをツモり三冠を決めたのであった
最終戦は残り6局あったが、四万点差をつけなければならない条件が、このハネツモの時点で六万点差をつけなければならない状況に変わってしまったのだった
リーチをかけた時点で、村上の和了牌は、
が空テンで
が三枚山に生きていた
飯田のチーが無ければ…という話より先に、ヤミテンでマンガンある手を村上はよくリーチ宣言できたなと感心した
しかも自身二枚使っている待ちでかけられる村上の器量は、紛れもなく【最高位】に就くもののそれであり、最終日の東1局村上コレクションとともに、称賛に値するものであった
<腹をくくって攻める>という話は、勝負の世界ではごく当たり前の話なのだが、いざ実践できるかと言うとこれがなかなか難しいのである
高さ1メートルくらいにある平均台なら誰でも端から端まで歩けるだろうが、高さが10メートルに上がると、半分以上の者が途中で足がすくんで落ちてしまうはず。ましてや50メートルにまで上がろうものなら、最初の一歩も踏み出せないまま脚の震えが止まらなくなるはずである
でも村上の最終日は、終始一貫高さを意識することなく、<腹をくくって>攻め抜けたのである。本当に見事な勝利であった