コラム・観戦記

第34期Aリーグ第3節観戦記

34期Aリーグ 第3節

A卓 伊藤、平賀、尾崎、冨澤

1回戦 富澤、平賀、伊藤、尾崎 (順番に起家から)

動きがあったのは東3局
親の伊藤が4000オールをつもり、均衡を破る。
次局、平賀がリーチ。
ドラ 

一発でをつもり、裏が乗って満貫のアガリ。伊藤に追いつく。

さらに南2局の3本場、平賀が2600オールをつもりトップ目に。

しかし南3局、伊藤の親番。
6本場までつみ2600オールをつもり、平賀をまくり返す。

1回戦スコア
伊藤 42.0
平賀 18.2
尾崎 ▲48.5
富澤 ▲11.7

Aリーグの採譜を何度かしていて感じたことがある。
平賀のリーチの回数が他のAリーガーに比べてダントツに多いのだ。
まっすぐに手を進め、リーチをかける。
これがサムライ流。

2回戦 富澤、平賀、尾崎、伊藤(順番に起家から)

東2局7巡目に伊藤が打点十分のテンパイを入れる
ドラ

国士イーシャンテンの平賀がで8000の放銃。
そのまま静かに局が進んだが、南3局で北家の平賀がダブリーをかける。
ドラ

これに捕まってしまったのが富澤、で8000の放銃。
しかし、伊藤は冷静にリードを守り切った。

2回戦スコア
伊藤 38.0
平賀 12.0
尾崎 ▲10.2
富澤 ▲39.8

冨澤が苦しい戦い。
この日の終了後に、前節までのマイナスがプレッシャーだったと語っていた。
その焦りか、押し引きのバランスがうまくいかなかったようだ。
しかし冨澤の熱さを持っていれば、光は見えてくるはず。

3回戦 伊藤、冨澤、尾崎、平賀(順番に起家から)

東一局9巡目に平賀がリーチ。
ドラ 

多メンチャンではあるが自身が4巡目にを切っており、フリテン。
11巡目に追いついた尾崎が追っかけリーチ。

ソーズは場に安い。
富澤がで放銃。
裏ドラがで尾崎は8000のアガリとなった。
その後も高いアガリが飛び交うが、放銃が少なく着実にテンパイをとった伊藤がトップ目。
迎えたオーラスにも
ドラ 
 ポン ポン
ここでをつもり、3000・6000のアガリ。
さらに点棒を上乗せした。

3回戦スコア
伊藤 56.6
尾崎 3.4
平賀 ▲18.9
富澤 ▲41.1

冨澤と同様に尾崎も苦しい戦い。
しかし冨澤と違うのは表情に出さず、涼しい顔をしているところだ。
一説によれば鬼モードに入ると止められないらしい。
甘い顔に隠された鬼の強さ、早くこの目で見てみたい。

4回戦 平賀、尾崎、伊藤、冨澤(起家から)
この半荘はここまで3連勝している伊藤の強さを見せつけられた。

南3局 2本場
東家 伊藤 26000
南家 富澤 25800
西家 平賀 35100
北家 尾崎 32100
(供託1.0)
ここから親の伊藤のアガリラッシュが始まる。
まずは8巡目にリーチ。
ドラ 

高めので冨澤から出アガリ。裏がで18000。
3本場で9600、5本場で4000オールとアガり、70000オーバー。
もう誰にも止められなかった。

4回戦スコア
伊藤 65.5
平賀 5.6
冨澤 ▲34.9
尾崎 ▲46.2

前節までポイントが振るわず最下位だった伊藤だが、ここで圧巻の4連勝。
後で本人は、無理をしなくても自然と手が高くなったと言っていたが、
押し引き、粘り強さ、ベテランならではの力強さだった。
リーグ戦への熱意もひしひしと伝わってきた。
パパ強し。

B卓 金子、水巻、石橋、大柳

1回戦 石橋、水巻、金子、大柳(順番に起家から)

東1局から親の石橋が4000オールをつもる・
ドラ 
 チー ポン ツモ
その後、大きなアガリが誰からも出ることはなく、
石橋がトップを守り切った。 

1回戦スコア
石橋 44.1
金子 11.8
大柳 ▲11.3
水巻 ▲44.6

2節目まで順調だった水巻だが、小さな放銃が響きラスに。
本人曰く、今日は石橋に勝てる気がしなかったとか。
發王位様、実力を発揮するのはこれからですよ。

2回戦 大柳、金子、石橋、水巻(順番に起家から)

東1局10巡目、金子が河に置いたに水巻からアガリの発声。
ドラ 

ドラを暗刻にしての8000。
しかし東4局3本場に石橋が供託4本を奪う5200をアガり、トップ目に。

さらに石橋は南3局の親番で8巡目にリーチ。
ドラ 

11巡目にをつもる。
裏ドラがで6000オールのアガリ。
大きなトップとなった。

2回戦スコア
石橋 52.4
水巻 10.5
大柳 ▲17.5
金子 ▲45.4

前節で勝ち頭だった石橋の勢いがまだまだ止まらない。
水巻や冨澤から“最高位”などと冗談めかして言われても、
ぼくなんかまだまだです、と苦笑い。
しかし、その眼は確実に最高位を見据えていた。

3回戦 水巻、大柳、石橋、金子(順番に起家から)

この半荘初めにアガったのは水巻。
東2局1本場 14巡目にこの形に。

流局かと思われた17巡目にツモ、4000・8000のアガリとなった。

しかし南2局、西家の金子がダブリー。
ドラ 

5巡目にトップ目の水巻から出たで8000を直撃。
続く南3局でも2000・4000をつもり、トップをとる。

金子の逆転劇。麻雀プロに詳しくなくとも金子の名を知っている者は多い。
長年有名プロと呼ばれ続けているのはやはり強さが伴っているからだ。
金子の卓では何が起こるかわからない、そんな期待を常に抱かせる存在である。

3回戦スコア
金子 47.2
水巻 8.5
石橋 ▲11.7
大柳 ▲45.0
(供託1.0)

4回戦 大柳、金子、石橋、水巻(順番に起家から)

東3局、大きな動きを起こしたのは絶好調の石橋。
親番で11巡目にテンパイ。
ドラ 
 ポン ポン
17巡目にをつもり、4000オールのアガリ。
最後まで他者に大きな手は入らず、丁寧に打ち切ってトップを守った。

4回戦スコア
石橋 39.9
金子 8.7
水巻 ▲12.0
大柳 ▲36.6

去年も振るわなかった大柳が今年も苦しんでいる。
やはりそう簡単にはいかないのが猛者揃いのAリーグなのか。
しかしまだ3節しか終わっていない。踏ん張りどころだ。

C卓 張、佐藤、上野、村上

1回戦 佐藤、村上、張、上野(順番に起家から)

東2局5巡目に張がリーチ。
ドラ 

一発でをつもる。
2000・4000のアガリ。

張は続く東3局の親番で2600オールをつもり、頭ひとつ抜ける。

そして東3局2本場、4巡目に北家の村上がリーチ。
ドラ

しかし西家の佐藤が一枚押し、次巡に追っかけリーチ。

2巡後にツモの声を発したのは佐藤。高めので2000・4000のアガリとなる。

佐藤が張に喰らいつこうとするも、
張はその後も一発ツモを含むアガリを続けトップを守り切る。

1回戦スコア
張 48.9
佐藤 12.2
村上 ▲8.6
上野 ▲52.5

張の麻雀は、非常に安定している。
放銃が少なく、一発ツモが多いのは山読み、相手の手牌読みに
長けているからではないだろうか。
普段は料理人…しかし牌を握ると顔つきが変わる。

2回戦 佐藤、上野、村上、張(順番に起家から)

東2局2本場、11巡目に佐藤がリーチ。
ドラ 

一発でをつもる。
2000・4000のアガリ。

この半荘は佐藤の勢いが止まらず、東4局にも8000をアガり、
迎えたオーラスでこの手。
ドラ 
 ポン
ダブ南・發・三暗刻・トイトイの12000を上野からアガりきり、
大きなトップをものにした。

2回戦スコア
佐藤 60.9
張 6.8
村上 ▲23.5
上野 ▲44.2

個人的にAリーグの中で1番昔から知り合いなのが佐藤。
Aリーグに昇級したときの嬉しそうな顔が忘れられない。
しかしリーグ戦に賭ける信念は、私の中での“崇さん”像よりも遥か上にいた。

3回戦 佐藤、村上、張、上野(順番に起家から)

ここまでラス、ラスと苦しんでいた上野が爆発。
東2局5巡目にリーチ。
ドラ 

一発でをつもり、裏をのせて3000・6000のアガリ。
さらに次局の親番でも4000オール、2000オールとアガり、ダントツのトップ目に。
その後も他者に見せ場を作らせない展開で局面をすすめ、トップを守る。

3回戦スコア
上野 61.0
佐藤 8.3
村上 ▲16.0
張 ▲53.3

Aリーグのベテラン上野。
大人しい印象があるが、会話の節々に鋭さを感じる。
やはり勝負師、やるときはやる男。

4回戦 張、上野、佐藤、村上(順番に起家から)

この半荘は大きなアガリもなく、静かに局が進んだ。
オーラスを迎えて点棒状況は以下。
東家:村上 29600
南家:張 34600
西家:上野 29300
北家:佐藤 26500
誰にでもトップとラスの可能性がある。
上野がを仕掛けて300・500のアガリで2着をとりにいった。
目立ったアガリこそなかったが、着実にアガリをものにした張がこの半荘を制した。

4回戦スコア
張 34.3
上野 10.4
村上 ▲10.9
佐藤 ▲33.8

4連続3着の村上。
発声はいつ聞いても会場に響き渡る威勢のよさ、というかちょっと可愛らしい。
自分の成績が振るわなくても後輩に優しくする姿はまさにアンパンマンだった。
むろん、このままで終わるはずがない。

第3節を終え、ポイントは上位から順に石橋、金子、水巻、
そして本日驚異の4連勝をとげた伊藤。
若者組が走り続けるのか、ベテラン組が追い上げるのか。
あと9節もある。
結果はまだまだわからない。

次回、第4節は4月22日、正午から神楽坂ばかんすにて行われます。
観戦は無料ですので、是非お越し下さい。

レポート 幡井梨花

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