コラム・観戦記

第34期Aリーグ第5節観戦記

侍が一人混じっている。
 
 
麻雀プロなら誰もが憧れ追い求めてやまないもの…、タイトル。
ボクなどは、未だ勝負の場である決勝の舞台に立つことさえ出来ず、精進の日々である。
 
佐藤崇 第9期優駿位
張敏賢 第19期最強位
水巻渉 第17期發王位
 
第5節、三人の現タイトルホルダーと同卓となった。
この三人のスコアが現在マイナスであることは、
最高位戦Aリーグのレベルの高さを証明する一端に他ならない。

三人ともこのスコアに甘んじるつもりは更々ないだろうし、もちろんその気持ちはボクも同じだ。
圧倒的な力を持った王達に立ち向かう、孤高の侍が一人。
持っているのは熱くたぎる魂と信念という刀だけ。
武者震いするくらい興奮するシチュエーション!
 

というわけで今回はボク(平賀)の自戦記メインのレポートとなります。
『』でくくったのはその時にボクが考えたことです。
選手の生の声から対局の雰囲気を感じていただければ幸いです。

最高位戦Aリーグ第5節

C卓 佐藤 張 水巻 平賀

1回戦
東1局
配牌
 ドラ

『よっしゃー、ドラ対子でなかなかの好配牌、今日もやったるでー!』
6巡目に分岐点、
 ツモ

下家・佐藤がソーズ染め手模様だったが、親・水巻の第一打を見て切り。
8巡目にリーチ。

周りはオリて一人テンパイで流局かと思われたが、最後のツモでツモって2000・4000。
『ウヒョー!オレ出来る、これデカイ。やっと終わるってとこで、相手にやられたらナエるよなー。』

東2局
中盤に超大物手テンパイ。
 ドラ

『倍満バイマンばいまんBAIMAN・・・(ツモって)』
終盤、下家・佐藤もをポンして対子落とし、だいたいテンパイっぽい。
ボク、最終ツモツモ切り。佐藤に満貫放銃。
  ロン

『オレ、死ねえええEEE。』
守備的な打ち手やドライな打ち手なら、危険牌をひいた時点でオリるだろう。
満貫ツモったトップ目であるし、ほぼ佐藤がを2枚以上持っているだろうから。
しかし、ボクは自分のツモを信じているしツモったらデカイから最後のツモまで押す。
でも、残りは佐藤のツモだけ。ツモれなかった以上、危険牌を押す意味がない。

この前、Cリーグで役満をテンパイしていてハイテイでリーチに満貫放銃した場面があり、
点棒状況的にオリるべき局面だったのにテンパイ形を見せたかったのかという話をしていた。
ほとんど同じミスを自分がしてしまった。猛省。
『やっちまったが前局はラッキーな満貫。気持ち切り替えて丁寧に行こー!』

東3局
親番で一人テンパイのあとに、水巻にリーチ一発ドラ5200放銃。
(丁寧じゃねー・・・。一応自分も5800テンパイ)

東4局
3巡目にイーシャンテン、4巡目テンパイ。
 ドラ

5巡目待ち変えリーチ、6巡目一発ツモ!
 ツモ ドラ

リーチ一発ツモ中、満貫!
『うん、オレ下手だけど力あるなー。はい後半戦後半戦』

南1局
まったく手にならず一人ノーテンかと思いきや、終盤に親・張が2000オールツモ。
どっちが良かったかはビミョー。

次局も親・張が6巡目に早々と先制リーチ!
じつはボクも5巡目テンパイ。
   ドラ

ツモれーって思っていたら、あっさりツモって500・1000。
『ナイスでーす!』

南2局は1000放銃、南3局は3900横移動。

南4局
張    31800
水巻   23000
平賀   35800
佐藤・親 29400
『なんとかトップで逃げ切れないかなー』

張がWを仕掛けると同巡に自分もテンパイ。
   ドラ

『張は満貫無さそうで、ラス目・水巻の手が高そう。打っても二着っぽいし押そう。』
次巡を持ってきたが待ち変えせずにツモ切って張のカン7ピン待ちに2000放銃。
は親の現物だったし1ー4ピン待ちのほうが良く見えた。)

『あちゃー、同点トップかー。まあ酷いミスした半荘だったし、ここはこれで良し。』
張   +23.8
平賀  +23.8
佐藤  -10.6
水巻  -37.0

2回戦
東1局
配牌ドラドラでポンして中盤にテンパイ。
     ドラ

対して下家・張もポンしてドラ切ってソーズ染め手のテンパイ気配。
結果は張が東ホンイツ1000・2000ツモ。

『ちょっと待てオレ。なんでポンしてねえんだよ。
脇の二人は明らかに仕掛けに対応してるんだから、ポンして満貫にして待ち変えしたほうがいいだろ!』
1回戦の大ミスに続いて、ここで中ミス。ショボーン・・・。

何も出来ぬまま東4局
親・張が仕掛けているが構わずに終盤リーチ!
   ドラ

『よし、裏が1枚のればハネ満だな。なぜならフリテンだからな、ハハハ・・・。』
リーチ後にドラ持ってきてドキッ!すぐに水巻に2600放銃、ショボーン・・・。
『まあここでフリテンリーチするのはオレぐらいだからな、ハハハ・・・。』

『何も出来ん、何も出来ん・・・。パトラッシュ、ボクもう疲れたよ。』
南3局の親も2000放銃であっけなく流れていった・・・。

南4局
佐藤  23100
水巻  38500
平賀  20800
張・親 37600
『遥か遠くに天上人たちがおる。なんとか3着になれないかなー。』

染め手を目指すが、結局終盤七対子でリーチ。
  ドラ

『3着目・佐藤もテンパイくさいし、ここは致し方なし。ツモって裏裏でミラクル2着じゃー!』
1回もツモ番が来る前に佐藤がピンフのみアガって終了。ショボーン・・・。
水巻  +38.5
張   +16.6
佐藤  -14.9
平賀  -40.2

ブレイクタイム
2回戦を終わって外に飲み物を買いに出た。
ボクは2回戦と3回戦の間が一番大事だと思っている。
後半に向けて気持ちを切り替えていくのはもちろんだが、
前半の結果を踏まえて4人の出来や調子から、後半の戦略を立てるからだ。
じつは前半2半荘は、あわせて19局2時間強とかなりスピーディーに終わった。
各々肩も温まってきて、後半戦は激しい闘いになるような気がした・・・。

3回戦
東1局
張が4巡目に早くもリーチ。
その時のボクの手牌
  ドラ

三色含みのゴツゴツしたイーシャンテン、安牌も無いしそれなりの手なので押す。
さらにじつはこのとき2半荘で一番勝っていた張に、
トップを取りきれずにのれていないイメージを自分は感じていた。
『ここが後半戦のターニングポイント!振ってもいいから全部かぶせよう』

無筋を切り飛ばし、ドラを重ねて追っかけリーチで真っ向勝負!

2巡後にをツモって、リーチツモ三暗刻中ドラ3、4000・8000!
『侍キターーー!気持ちいい、チョー気持ちいい。』

さらに加点を試みるが実らず、東3局に親・張に12000、2900と連続でアガられ迫られる。
しかし、同2本場は佐藤とのリーチ合戦で張が満貫放銃。ホッと胸を撫で下ろす。

東4局、きな臭い雰囲気を感じて一通を闇に構えるが、
親・水巻にチートイドラドラ4000オールをツモられる。

南1局、佐藤の親は仕掛けて1000で軽く流す。

迎えた南2局・親番
水巻が6巡目にリーチ。
そのときのボクの手牌
  ドラ

『ドラ対子だけど全然間に合ってねー。まわり気味にいこう。』
安牌を切ってまわっていると、リーチ者からドラが出たのでポンしてイーシャンテン。
しかし結局テンパイせず流局。

南3局、南4局と自力でツモって終了。
『来たでえ来たでえー。ええ感じで最後の半荘に突入やー!』
平賀  +47.3
張    +8.9
佐藤  -18.0
水巻  -38.2

4回戦
東1局
張と親・佐藤のリーチを受けるがチートイツでしぶとくテンパイしてテンパイ料ゲット。
同1本場は、先制リーチするが佐藤に1500放銃。『あちゃちゃ』

同2本場
またまた中盤に先制リーチ!
  ドラ

すると親・佐藤が暗カンして追っかけリーチ!(カンドラ
『おーい、聞いてないよー。こうなったら高目しかないしハネ満確定。
裏のせてツモって倍満じゃー。ガルル、ガルルー!』
結果は流局。ホッとが半分、ザンネンが半分。

さらに同3本場も佐藤に1500をアガられ、同4本場でやっと流局親流れ。

東2局5本場(いきなり5本場かよっ)
『こうなったらオレだっていっぱい連荘してやるんだからなー!』
いきなり4巡目に水巻がリーチ。『えっ!』
その時のオレの手牌
   ドラ

『聞いてないんですけどー。こうなったらオレの必殺技を見せるしかないな。
やぶれかぶれ作戦発動!』
無筋を切って、ドラまで切ってようやくテンパイ。

『待ち悪っ。』
しかしリーチ者の筋でが出て2000出アガリ。
『ツイとる。オレ、めちゃツイとる。』

同6本場
配牌ドラドラでを仕掛けると上家・佐藤がリーチ。自分も終盤テンパイして二人テンパイ。

同7本場
7巡目にピンフのみでリーチ。流局して一人テンパイ。

同8本場
イーシャンテンのまま動かず、結局一人ノーテン。ショボーン。

東3局9本場
7巡目にテンパイ即リー!
  ドラ

2巡後にツモって500・1000は1400・1900&供託2000。
『うまー!ていうか9本場って、点数申告若干もたついたわ。長い半荘になりそうだな。』
この時点で佐藤を再びまくってトップ目に立つ。

東4局
親・水巻がドラをポンして場に緊迫感が漂うが、親の現物でテンパイしてピンフのみで捌く。
『いけてるなオレ。本手とかわし手のバランスがいい感じだ。』

南1局
配牌
  ドラ

『くっつけ、くっつけ・・・。キターーー!もうこの半荘オレのもんだろ!』
をツモって切ってダブルリーチ!!!
その後、とツモる。『えっ、そっち?』
さらになどいろいろツモるがアタリ牌がいない・・・。
『マジで?アガって勝ち決まりじゃないの?』 
結局、張に追っかけリーチされて二人テンパイで流局。ショボーン・・・。

南2局1本場
4巡目イーシャンテン、5巡目リーチ、6巡目一発ツモ!
   ツモ  ドラ

メンピン一発ツモドラ4000オール。
『ひゃっほーい!なるほど前局はこの布石ね、それなら納得納得。
やっぱ星重要だな、うんうん。』

同2本場
水巻が2巡目リーチ。『あれっ、ボクのビジョンと違うよ?』
まわりながら打っていると、14巡目に張がリーチ。『打ちあえー、ていうか潰しあえー。』
一発で水巻がドラで放銃して満貫横移動。
『呪い成功?あと2局しまっていこー。(野球の2アウト2アウトみたいなかんじ)』

南3局は2局連続して流局して、いよいよオーラス。

南4局2本場
点棒状況
佐藤  27700
平賀  53200
張   28700
水巻・親 7400
供託3000
『二着争いも熾烈だし、親にうたなければだいたいオッケーだろ。』

親・水巻が、5巡目までにポン・チー・ポンとがむしゃらに仕掛けて、佐藤から5800出アガリ。
     ロン  ドラ

同3本場
12巡目の手牌
  ツモ  ドラ

形だけなら切りだが、親・水巻の現物がだけだったので切りとする。
次巡ツモ。『あちゃちゃ』 も親の現物になったので切り。
すぐにをポンしてテンパイ(真っ直ぐ打ってればロン牌だった・・・。)

すると親・水巻がリーチ。『アガリ逃ししたしやっちゃったかな(まあオリるけど)。』
と思っていると、佐藤が一通ドラをツモって2000・4000で終了。

平賀  +50.9
佐藤  +11.2
張   -13.6
水巻  -48.5

1.5(1位2位同点)、4、1、1で+80くらいと上出来の成績だったが、まだ12分の5。
三人の王をはじめ他の選手も虎視眈々と上位進出を狙っている。
孤高の侍の闘いはまだまだ続いていく・・・。
真っ向勝負!

B卓
上野 尾崎 金子 石橋
1位2位4位直接対決の天国卓。決定戦にむけての天王山。
ここで奮起したのが尾崎。石橋から国士無双をアガるなど破竹の三連勝!
ポイントを200近く稼いで一気に3位に浮上した。

A卓
伊藤 冨澤 村上 大柳
こちらは11位12位直接対決の地獄卓。降級逃れの崖っぷち。
大柳・冨澤ともにプラススコアで借金を地道に返済。
そのあおりを食ったのが村上、一気にラスまで転落してしまった。

上位陣がマイナスし下位陣がプラスしたので全体的に上下の差が縮まり、
まだまだ気の抜けない白熱した争いとなった。

なお、盛り上げるために若干面白おかしく書いたのでご了承ください。

文中敬称略 文責平賀聡彦

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